フェリジットに食われるシュライグ

フェリジットに食われるシュライグ

半端でごめんね

 ツ…と舌が這う感触に、シュライグはぞくりと震える。

 フェリジットは先程から焦れったく汗ばんだ首筋を舐めあげ、甘噛を繰り返すばかりだ。耳元で「おいしい…」と甘く囁く声に、それはわかったからこれ以上焦らさないで欲しいと出かかる声を抑える。

 大人しくしていてね、と押し倒されてから、シュライグはずっとフェリジットに玩味されている。体に押し付けられる豊かな胸、その硬くなった先端に啄むようにつつかれる感触、絡みついてくる湿った身体の感触に、免疫のあまりないシュライグのそれはガチガチにそそり勃っていた。懸命に存在を主張するソレを、慈しむような手付きでフェリジットは包み込む。

「あ…こんなところにもこんな美味しそうなものが」

 フェリジットはくるりと向きを変えてシュライグのモノに顔を近づける。その先端にちゅ、とキスを落とし、子猫じみた舌使いで下から上へ。今度は先走りの汁を舐め取っていく。代わって彼の顔面に迫って来たのは蜜で濡れそぼった秘部。強くなる彼女のにおいに、おずおずとシュライグも舌をだす。塩気と酸味と苦味…不思議だが、とても愛おしい味。彼の吐息を感じてか、キュンっとうずく奥からまた蜜が溢れてくる。ここぞとばかりにやり返そうとしたシュライグを、下からやってくる快感が遮った。

 フェリジットが…あの小さな口にシュライグ自身をくわえこんでいる。

 ちゅぷ、ジュルル…

 亀頭は柔らかな唇に覆われ、その先端は舌先でつつかれ、にゅるりと舐めあげられる。そのままカリが丁寧になぞられたかと思うと亀頭ごと吸い上げられ、絡みあった二人の体液でじゅぷぷ、と音を立てる。舐めて、吸って…熱をもった口内に奉仕され反撃どころではなくなったシュライグをよそに、フェリジットは思うまま愛しい人を味わう。ちゅぷ、ジュルっというまぐわう音。二人の荒い息遣い。響くのはそんな音だけだったが。

「んくっ…」

 もっと食べてしまいたいと欲張りすぎたのか、喉奥まで呑み込んだペニスにフェリジットは軽くえずく。

 猛攻から開放されたシュライグは無理をするなと言う代わりに彼女の小さなおしりをつかんで顔に寄せる。自分も彼女を気持ちよくしたい。目には目をとばかりにぷっくりとしたその突起を優しく吸った。

「ひゃんっ」

 が、びくっと跳ねて顔から離れたおしりが戻ることはなかった。

「ダーメ。大人しくしてなさいって言ったでしょ?」

 今度は顔がよく見える位置に陣取ると、意地悪な笑みを浮かべて裏筋をつーっと舐める。利かん坊なんだからと問答無用で再び頬張られ、ジュポジュポと先程よりも激しく貪ってくる。

「っ…出る、フェリジット出ちゃうからっ」

 すっかり余裕を失って制止するのも虚しく、そのままシュライグはフェリジットの口で果てた。

 おいしいものでもないだろうに、彼女はごっくんとそれを飲み込む。そのきれいな顔を精液で汚して、「へへ、シュライグの、おいしいよ」と満たされたような笑顔で言ってくるフェリジットに、シュライグのそれはまたむくりと頭をもたげた。それを見たフェリジットは目を丸くしたあと、ちょうどよかったと言いながら指先で亀頭をよしよし撫でる。

「こっちの口でもね、シュライグを食べたかったの…」

 今度は俺がと主張する間もなくフェリジットはしなやかなにシュライグに跨った。滴るほどに蜜を蓄えた、女性の最も大切な部分。シュライグの先端はその花弁に呑み込まれるように沈んでいく。

「は…ぁ……、おっきい…」

 ぬぷぷ…と音を立てて入ってくる質量を、フェリジットは息を吐いて受け入れた。まだ少し痛みが伴うようだ。ゆっくりゆっくり、力を抜いて腰を落とす。解れていく腟壁が、今度は侵入者に仕返しするように絡みついていく。

 シュライグのが入ってる…。

 はぁ…と上気した声をついてフェリジットはまたシュライグを貪った。大丈夫かと発する口はそっと彼女の唇で蓋をされる。下の口はぬちゅ、ぬちゅと調子良くシュライグの分身をしごきあげていたが、上の口はまだぎこちなく触れ合うだけ。

「シュライグ…いい…?」と潤んだ瞳で問いかけられ、シュライグはお互いの顔を寄せあうように後頭部に手を添える。指にはさらりとなめらかで心地いい感触。やさしい花の香りがする。どちらともなく再びキスして、今度はお互いの舌を絡ませる。

 舌同士が、存在することを確認するように。ふたりが生きていることを確かめるように。息遣いを感じながら吸い付く。クチュ、チュルと遠慮がちだった音はいつしかグチュグチュと激しいものになっていく。舌先で歯茎をつつけば、フェリジットの肉壺がキュンっと反応した。離れた口を繋ぐのは銀の糸。もー、と蕩けた表情のままフェリジットは耳元へ。なにかと思えば突然耳を咥えられ、そのまま舌でいじめられる。

「ひゃっ」とつい発してしまった情けない声がおもしろかったのか、シュライグの敏感な部分に狙いを定めるフェリジット。怒張は焦れったくゆっくりとしゃぶりあげられ、耳に熱い息を吹きかけながら指先で胸の粒をつっつかれる。 

「は…、フェ、フェリジット、そんなところ…っ」

 ころころと転がされると電流のような快感が走ってしまう。気持ちがいい。しまいにはそこも舐められ、はぁっ…と声をあげてしまう。

「ふふ、シュライグ…かわいい」

 そんなシュライグを見下ろしてフェリジットは舌舐めずりする。暗い部屋の中で金に光る、獰猛な肉食獣の眼光。対してひっくり返ったシュライグは既に陥落寸前。二度目だというのに、もう限界が近かった。

「いい子…もうちょっと頑張ってね」

 フェリジットは上半身を起こしてシュライグに座り直し、本格的に上下に揺れだした。すっかり愛液でびしょびしょになった肉同士がぶつかり合い、ばちゅんばちゅんと音をたてる。

「んっ…あっ、はぁっ…シュライグっ…」

 食い尽くしてやるぞと言わんばかりにフェリジットの肉はシュライグに絡みつき、きつく締めあげてくる。感じ入っているのか、だんだんと倒れかかってくるフェリジット。ゆっさゆっさと揺れていた豊かな胸が近づいてシュライグの胸板に触れると、キュっと腟が更に絞ってくる。

「シュライグっ……好きっ、好き…っ、シュライ…んっ、はぁ…っ」 

「俺も…好きだっ…フェリジット…」

 たまらずシュライグは細い腰をつかんで強く揺すった。深く抉られて、フェリジットは「あっ!」と鳴き声をあげる。もう耐えられないと下からガンガン激しく突き上げる。 

「あっ、あああっ、シュライグ、だめ、イッちゃっ…!」

「イけ…よ…、フェリジット、俺も、もう…!」

「はあっ…あああぁ……っ」

 フェリジットの肉壺が律動するのを感じて、シュライグも彼女の中に散々抑えつけられていた欲望を注ぎ込む。そのまま倒れこんでくるフェリジットを抱きとめて、くたくたのまま電池が切れるように二人して眠りについた。




 

 ふと目を覚ましたシュライグは、自分の腕に抱かれて寝息をたてるフェリジットの髪を指で漉いていた。

 戦いの日々が終わって数カ月。戦乱の被害者の保護に追われ、街の復興作業に追われ、戦線の解体とその事後処理に追われ、ずっとけじめをつけられない日々が続いていた。

 …明日。というか今日。やっと二人しての休暇を得られた。

 ベッド脇の小さなタンス、その鍵付きの引き出しに目をやる。フェリジットの白く細い薬指にそっと指を這わせて、シュライグはレストランの予約時間と頭に叩き込んだテーブルマナーを頭で反芻した。…今まで、レストランなどに縁のない人生を送ってきたが、多分大丈夫だろう。

 自分は今日、彼女にプロポーズする。

 もしそれを受け入れてくれたなら…必ず幸せにする。絶対に離すものか。彼女を包む腕に思わず力が入ってしまう。安らかに眠っている愛しい人。そのぬくもりを感じながら、シュライグは再び目を閉じた。

 













ちなフェリジットさんは起きてます。

おわり。

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