ビッチホリデイ

ビッチホリデイ



血を飲み過ぎたパワーがマキマに連行された翌日。いつものように出勤したデンジは公安内の会議室に、アキと共に移動した。それぞれのバディである天使の悪魔、サメの魔人ビームも一緒だ。

「ごめんね、朝早く」

会議室でデンジ達を待っていたマキマが口を開く。

「いえ」とアキは要件を目線で尋ねた。

「最近、都内で男性の失踪が続いているんだけど、みんなは知ってる?」

「知り合いの警官から聞いてます」

「そ〜なの」

デンジは興味なさそうに呟く。天使の悪魔はつまらなさそうに足元に視線を落としている。ビームはデンジの隣で静かに立っている。

マキマは部下達に事件の概要を説明する。連続失踪の範囲は都内全域に及んでおり、屋内、屋外問わずシチュエーションは千差万別だが、突然目の前に美女が現れて行為に誘ってくる点だけが共通している。

「生存者も少なくないから、危険度はあまり高くないみたい」

声をかけるのは一様に男性であり、誘いを拒んでも攻撃を仕掛けてくる事はないらしい。長々と現場に留まる事はなく、早い時は十数秒で姿を消す。

「へぇ〜、美人なんすか?」

「らしいね」

マキマが説明した概要にデンジは食いついた。性に興味を持ち始める年齢であるからだろう。アキはマキマから資料を受け取り、記されている報告に目を通す。

「もう少し取っ掛かりが欲しいですね…」

資料にあるだけでもかなりの目撃例がある。しかし、狙われた男性側に一切の共通点が見出せない。

また、現れる美女の容姿も報告者によって差異がある。

「この悪魔…仮にビッチの悪魔としようか。誘い出す手段は私の方でも考えてみるけど、ひとまず普通にパトロールに出て欲しい」

「現れたらどうします?」

「うん…一人が時間を稼いで、もう一人がこっちに報告して」

ビッチの悪魔への方針が定まり、その場は解散となった。

(ビッチの悪魔か〜)

デンジは件の悪魔に興味を持っていた。完全に人間の姿をしているらしい…そこまで考えて、デンジは思索を打ち切る。

(俺にはマキマさんがいるんだ!)

デンジは初めてはマキマに捧げると決めている。ビームに声を掛けると、デンジはパトロールに出発。


パトロールに励んでいたアキは路地裏から動けずにいた。遭遇した悪魔の駆除を終えた彼の前に、下着に身を包んだ女性が前触れなく現れたのである。

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下着姿の女はアキに向かって手のひらを差し出してくる。

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