ヒータちゃんはストーカーなんてこわくない

ヒータちゃんはストーカーなんてこわくない

ベリーメロン



 ヒータは指先に灯を点し、夜道を急ぎ足で歩く。

 相棒の狐火はこういう日に限って食べ過ぎで他所に預けられている。

 逸る気持ちで足早に。一刻も早く家に駆け込みたい。

 そんな一心がヒータの心を支配している。


(そんなわけない、ただの気のせいだ)


 勝ち気な性格のヒータに怖いものなんてない。そう友人たちには思わせているが、それはただの虚勢でしかない。

 そして今のヒータが何に怯えているのか、それを教える勇気はなかった。


「ひっ!?」


 目の前を横切った黒い影にヒータは柄にもない悲鳴を上げる。

 早鐘のように鳴る心臓をおさえつつ、暗がりに目を凝らせばそれは怯えるようなものではなかった。


「なんだ、猫かよ……」


 ニャーと不思議そうに鳴く猫がそのまま何処かへ走り去っていく。

 少し落ち着いたヒータはため息を溢した。

 気が張りすぎていたのかもしれない。そうきっと心配事だって杞憂なはずだ。

 そう結論付けて再び歩み始めた時だった。


「――え?」


 小柄なヒータに背後から覆い被さる大きな影。抵抗する暇もなく、数秒後には火霊使いはその場から忽然と姿を消していた。


○○○


「な、なんだよ、オマエ!?」


 何かを嗅がされ気を失ったヒータが目覚めたのはベッドの上だった。しかし自宅のベッドではない。

 汗臭く、それとはまた別の臭いもこびりついた汚いベッドにヒータは寝かされていた。

 そして目の前にはヒータも見知らぬ男。醜男だとか美形だとかこれといった特徴はなく、ただ普通のどこにでもいるような若い男。

 それはなんとも気さくに挨拶でもするように、おはようと口を開いた。


「おはよう、ヒータちゃん」

(なんだコイツ……)


 まるで近所の人にでも話しかけるような軽いノリ。なのに妙に粘液質で気持ちが悪かった。

 怖気が走って固まるヒータに、男はなんとも普通ににこにことしている。


「本当に可愛いなぁ」


 何を言い出すんだこの変態野郎は?ヒータの思考はその言葉を理解するのを拒絶する。


「君みたいな可愛い女の子は初めてだよ」


 だから何を言って……そこでようやく自分が下着姿であることに気付いた。


「きゃあっ!?な、なんだよこれ!」


 慌てて身を隠すヒータ。普段着からしてシャツを全開にしつつ、チューブトップや腹を丸見えにする彼女だが、こうして下着姿を異性に晒すことには慣れているはずもない。

 ましてやそれがこの異様な男相手なら尚更だ。


「ふふっ、恥ずかしがってるところも凄く良いよ」


 男がそう言いながらヒータの肢体に手を伸ばそうとした瞬間、その手は弾き返される。

 小動物のように震えながらも、ヒータはなんとか拒絶の意を隠さずに男を睨みつけた。


「触んなっ!てめぇ何なんだよ!ここはどこだよ!?」


 背筋を嫌な汗が伝う。

 起きたらこんな意味のわからない男と一緒にいるなんて、ヒータには理解できない。


「ここかい?僕の家だけど?」


 何でもないように言う男にいよいよヒータは混乱していく。


「僕たち結婚するんだから当たり前じゃないか」

「けっこん…………はぁっ!?」


 一体全体どうなっているのか。

 そもそも自分はどうしてこんなところにいるのか。

 いきなり結婚とか言い出す男に、ヒータはいよいよ悪寒と不快感が隠せなかった。


「ふざけんじゃねぇぞ変態ヤローっ!誰がテメェなんかと結婚するかよ!」


 今は恐怖よりも怒りが勝った。

 ヒータは精霊術を使うために魔力を集中させていく。杖がないので精度は落ちるが、これで逃げる程度なら……と。


「そんなこと言わないでよ?これから夫婦になるんだからさ」

「うるせぇ!誰がオマエなんかに……っ!?」


 このまま顔面に火の玉ぶつけて逃げてやる!と力んだヒータだったが、魔力はそのまま霧散してしまう。

 混乱するヒータ。ニヤニヤと笑う男は、ヒータに魔力を抑制させる指輪を付けていることを指摘すると、そのまま彼女を押し倒してしまった。


「ひゃぅ!?」


 可愛らしい悲鳴を上げつつベッドに仰向けに倒れ込むヒータ。その上にのし掛かるように男は彼女を拘束した。ギシギシと簡素なベッドは振動で軋み、もがくヒータを嘲笑うかのよう。

 精霊術を使えなければ、ヒータはただの強気な少女でしかない。男の腕力に勝てるはずがなかった。


「離せよ、変態野郎!ぶっころ……ひっ!?」


 そこでようやくヒータは気付いた。この男の部屋の隅々に自分の隠し撮り写真と思われるモノが大量に貼り付けられていることに。

 それも着替えの時や、お風呂の時まで。自分のプライベートが惜しげもなく晒されている。

 ヒータの悩み事。それは最近誰かに見られている気配がすることだった。下着が足りないとか、夜道に誰かが追いかけてきていることまで含めて。

 その元凶(ストーカー)を前にして、胃の底から込み上げてくる不快感と恐怖に身が竦むヒータを、男はニヤニヤ笑いながら欲望のままに進めていく。


「可愛いねヒータちゃん。好き、大好き」

「い、イヤだ……やめろ……」


 気持ちが悪かった。怖気が走って涙目で懇願するヒータ。しかしそれで止まるはずもなく、むしろ逆効果だったようでストーカー男の興奮は増すばかり。

 普段は強気なヒータだったが、男の本当の怖さなんて知らなかった。友達には経験豊富なフリこそしていたが、こんなことになってしまえば勇気は霧散してしまう。

 そしてついにヒータの身体を弄り始めた。


「んんっ……」

「大丈夫だよ、気持ちよくしてあげるね」


 男の手がヒータの肢体を這っていく。恐怖のせいか、より敏感になった彼女の身体は男の指先が触れただけで震え上がった。

 チューブトップがずらされれば、ヒータの薄い乳房が晒されてしまう。強がりな彼女に対して可愛らしい色の乳首まで。

 男はさらけ出されたソレを恍惚と眺めながら触っていく。

 そしてもう片方の手をショーツの中に差し込んでいく。本来なら他人に絶対触らせない場所を触られて、ヒータはカッと顔を赤くする。


「あっ、やめ……そこはっ……」

「へぇ、やっぱり女の子なんだね。もう濡れてるよ?」

「ち、違うっ……これは……!」

「いいよ、もっと濡らしてあげるね」


 実際ヒータは愛液を滲ませたわけではなかった。じっとりとした冷や汗がほとんどだ。

 されど男は気にせずにヒータの乳首を摘みあげ、ショーツの中で指を動かしていく。


「ぁっ、んんっ……くっ……やめ、ろ……」


 デリケートな部分を好き勝手触られて、否が応でも声が出てしまう。

 かなり独り善がりな男だが、ヒータの身体を触る手付きは彼女の弱い触り方をしている。


「知ってるよ?ココをこうされるのが弱いんだよね?」

「なん、で……んぅっ……」

「たくさん見てきたからねぇ」


 ねっとりと囁く男。部屋の壁の写真には、ヒータが自慰をしているモノまであった。意味を察して顔を青くするヒータに、男は行為を続けていく。

 乳首をコリコリと指先で弄くり回し、浅いトコロを掻き回すように弄られればヒータの声は甘いものへと変じた。


「ひうっ……♡」

「ほら、こんなにびしょびしょにして。本当に可愛いなあ」

「うる、さいっ!黙れヘンタイ!」


 こんな男に触られて濡れているわけがない。なのにヒータの思考とは裏腹に、身体は性感帯を触られて準備を進めてしまう。


「ふふふ、じゃあそろそろ良いかな?」


 男がズボンを脱ぐと、そこから出てきたのはグロテスクに脈打つ肉の棒。

 ヒータの想像していたものより大きいソレは、小柄な未経験の少女に向けられるには凶器と変わらない。


「ひっ……!?く、くるな!やめろ!絶対ヤダっ……!」


 カタカタと小動物のように震えながらヒータは懇願するが、興奮しきった男は肉棒をヒータの秘部に向けていく。


「やめろ!やだっ……やめて、ください……おねがいだから……それだけは……」


 強気な言葉が失せてヒータは懇願する。

 今まで見てきたどのモンスターよりも凶悪そうなソレに、恐怖が限界を超えたのだ。


「大丈夫だよヒータちゃん。すぐに気持ち良くなるからね……」

「お願いします、なんでも、何でも言うこと聞きます、だから……だから、それだけは許してください……」


 しおらしく懇願するヒータ。友達には隠していたが、ハジメテは好きな人になんて幻想を抱いていた彼女にとって、こんな理由でロストバージンなんてアリエナイ。

 しかしそんな彼女の願いも虚しく、男の剛直は彼女の割れ目を擦り上げた。


「いやっ!だめっ……やめてっ、やだっ……!!」

「今更何を言ってるんだい?僕たちは結婚するんだから当然じゃないか」

「やだぁっ……!助けて……誰か……エリアぁ……アウスぅ……ウィンっ……こんなのやだぁっ……」


 泣きながら友達の名を呼ぶヒータ。その度に男の興奮は高まっていき、やがて彼は腰を前に進めていく。

 ミチミチと処女の膣を押し広げ、男の肉棒はヒータのナカへと無理やり収められていく。


「ひぐぅっ……!やだぁ……やだやだやだぁっっ!!」


 処女喪失の激痛に明滅する視界に、ヒータはクラクラとさせた。涙を流す彼女に構わず、男は腰を動かし始める。


「動くよヒータちゃん。大丈夫、優しくしてあげるからね」

「やだっ……だめっ……ぬいて、ぬいてくれよぉっ……!」

「今日は記念日だから忘れられない思い出にしようね」


 まるで話が通じない。ヒータの懇願とは裏腹に男は腰を動かしていく。愛撫のおかげか膣内が傷つけられることはないが、強い喪失感と破瓜の激痛がヒータから抵抗も失くさせてしまう。


「いたいぃっ……ぬいてっ……やめっ……あぎぃっ!」

「すごい締め付けてくるよヒータちゃん。やっぱり初めてだったんだね」

「あたり、まえっ……ひぅっ!?」


 ヒータの最奥に、肉棒の先端がぶつけられて声がこぼれる。激痛から身を守るためか、ヒータの身体は男を受け入れてしまおうとしていた。


「やだ、こんなのやだぁっ……んんっ……ひあっ……!」


 ゴツゴツと突き立てられる剛直に、ヒータは泣き叫ぶが男は止まらない。むしろより一層激しくなっていくピストン運動。


「ああっ、可愛いよヒータちゃん!愛してるよ!」

「うぅっ……うああああんっ……!」


 童女のように涙を流しながらヒータは犯されていく。パンパンと肌同士がぶつかり合う音が響き渡り、次第にヒータは痛み以外の感覚を覚え始めた。


「ふぅっ……んんっ……んぅっ……♡」

「ふふ、感じてるんだねヒータちゃん。素敵だよ」

「ちが、ちがうぅっ……これはちがっ……」 


 否定しても身体の反応は誤魔化せない。男を迎え入れるように膣内は締まり、子宮口は降りてきてしまっている。

 そして何よりも、ヒータは身体の奥底から湧き上がる快感を感じてしまっていた。


(なんでっ、なんでこんなに気持ちいいんだよぉっ……!)


 自分で慰めていた時とは比べ物にならない暴力的な快楽。

 男はヒータを抱き上げると、その膝に彼女を座らせて向かい合うように犯していく。


「ふあっ……やらぁっ、これふか、ふかいぃっ……んんっ♡」


 自重のせいで先程まで以上に肉棒が深く入り込んでくる。子宮口を何度も強くノックされて、意識ごと持っていかれそうなほどの刺激。


「どうだいヒータちゃん。僕のチンポは?身体の相性も最高なんて理想的な夫婦だよね」

「やだぁっ、もうやめてぇっ……」

「大丈夫さ、これから毎日こうやって可愛がってあげるからね」

「やだっ、やだぁっ……!」


 イヤイヤと首を振るヒータだが、その瞳は熱っぽく潤んでしまっている。いつしか激痛による悲鳴じみた叫びも甘いものへと変えられてしまっていた。

 こんなの嫌だ!と泣き叫んでも、身体は言うことを聞いてくれない。


「ほーら、ヒータちゃんの大好きなココをいっぱい虐めてあげるよ」

「やめっ、そこはらめっ……ひうっっ♡」


 コリコリと乳首を弄られ、子宮口を潰される。同時にクリトリスも摘まれれば、ゾクゾクとした快楽がヒータを襲う。

 涙を流しながら喘ぐヒータは、明滅し涙に歪む視界の中で振り回されるばかりだった。


「やだぁっ……もうやだぁっ……!」

「イク時は一緒にイこうね。そしたらもっと幸せになれるから」

「やだぁっ……!こんなっ、こんなの……やだぁっ……んあっ……♡」


 囁かれた絶望の宣告に、ヒータは震え上がりながら拒絶する。されどフィニッシュをかけるように突き上げてくる腰の打ち付けが、それが現実に近付いてきていて避けられないことを知らしめていく。


「出すよヒータちゃん。全部受け止めてね」

「やだぁっ、やだやだやだぁぁっ!!」

「愛してるよヒータちゃん」

「やだぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!」


 最奥に押し付けられた肉棒から、大量の精液が吐き出されていく。

 ドクンドクンと激しく脈打つ肉棒から放たれる白濁液。それはヒータのナカを満たしていき、やがて収まりきらなくなったものが結合部から溢れ出してくる。


「あ、ああ……やだ、こんな……うそだ……ひっく……」


 ヒックヒックと嗚咽を漏らしながらヒータは呆然としていた。そんな彼女の涙を男は舐めとると、再び腰を動かし始める。


「ひあっ♡やっ……やめろぉ……やめてくれよぉ……もうゆるしてぇ……」

「大丈夫、まだまだ終わらないよ」

「やだぁっ……やだやだっ……いやなのにぃっ……ひぅっ!?」


 一度果てたというのに、さらに勢いを増した男の責め。イカされたばかりのヒータは、敏感な身体を責められてまた声を上げ始める。

 そしてその後、ヒータの絶叫が止むことはなかった。


―――それから数時間後。


「……ぁ……ぁあ……ああっ……♡」


 壊れた人形のように痙攣を繰り返すヒータの姿があった。秘所からは白い液体が垂れ流しになっていて、顔には幾筋もの涙の跡がある。

 強気な赤い瞳からは光が消え失せ、情熱的な美しさのあった赤い髪は汗と体液に濡れてくすんでいた。

 その身体は今も男のものによって貫かれており、力無く揺すられる度にかすれたような声でヒータは喘ぐことしかできない。


「ふぅ……流石に疲れちゃったかな?」


 そう言いながら男はようやくヒータの膣内から剛直を引き抜いた。栓を失ったことで逆流してきた精液が地面に滴り落ちていく。


「あ、ああ……ぁ……」


 虚空を見つめたままヒータは小さな吐息を漏らしている。度重なる陵辱で心が折れてしまったのか、焦点は定まっていない。


「ヒータちゃん、これからはずっと一緒だからね」


 彼女をこうさせた男は、さも知らぬように優しくヒータに語りかけながら抱きしめる。

 その言葉は果たして彼女に届いているのか。その答えを知るものは、この場にはいなかった。



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