ヒダカ・バーズ大尉 名誉勲章 叙勲スピーチ

ヒダカ・バーズ大尉 名誉勲章 叙勲スピーチ



ヒダカ「地球に、そして、プラントに住む全ての皆さん。こんにちは。大西洋連邦空軍大尉、ヒダカ・バーズです。

まずは、この度図らずも名誉勲章の栄に浴した幸福に、感謝を捧げたいと思います。

さて、アコード達の反乱から月日が経ちますが、世界は未だ争乱のなかにあります。

皆様の不安と恐怖、私の様なものには到底計り知れないものでしょう。

……そして、皆様には今日一つ知っていて欲しいことがあります。

私はかつて、ブルーコスモスの一員でありました。」

フォスター「……!? 大尉は一体何を……」


(TV中継)

オステルマン「……」


ヒダカ「以前の私は、コーディネイターの駆除を目標に戦っていました。なぜなら私は、彼らを人ではない怪物だと教えられ、それを疑うことなく信じていたからです。

コンパスに入ったのも、元を辿ればそれが目的でした。

だが、その考えは間違いだった。

コーディネイターも私と同じく、笑い、泣き、他者を愛する人間だったのです。そんな簡単なことすら、私はつい最近まで知る由もなかった。

憎しみは人の目を曇らせるものです。それが例え偽の憎しみでも。

……私は今ここで、引き金に指をかけようとする者達に問いたい!

あなたの持つ憎しみは、本当にあなた自身のものかと。ナチュラルは野蛮な悪だと、コーディネイターは狡猾な化け物だと、そう言われて生きてきた故に生まれた、己の内に出来た敵に対する、身のない憎しみではないか!

きっと、そうでない者もいるかもしれない。

だが、憎しみ故に止まる気がないのなら、それを理由にまたしても平和な街に、戦禍をもたらすと言うのなら!

私はあなた方を止めねばならない。その為にも、コンパスの活動再開は急務であると、私は考えます!

不安も不信も、未だ拭い切れてはいないでしょうが、それでもどうか、ご理解とご協力をお願いしたい。私が皆様にお伝えしたいことは、以上です。」


オステルマン「フッ……」

オステルマン(コンパスの活動再開を嘆願するなら、今の演説に自らの出自を明かす意味は特にない。憎しみを乗り越えた者として多少は説得力が増すだろうが、影響力という面では何も変わらないだろう。つまりあれは……)

オステルマン「……改めての訣別宣言か。全く……律儀で困った息子だ。」

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