パイズリシチュ

パイズリシチュ


女の胸の谷間に男の肉棒を挟む行為。いわゆるパイズリ。

 そのパイズリを実際にやってみせて、女はいかにも楽しげに笑った。

「あは。完全に埋もれちゃったね」

 上半身だけ脱いだ女が、下半身だけ脱いだ男に挑発的な微笑を向ける。場の主導権を握る余裕の微笑。男であれば、十中八九その魅力に射抜かれてしまうに違いない顔だ。

 が、今それを向けている相手は数少ない例外だった。平時であれば彼も射抜かれただろうが、現状に限れば話は別。彼は彼女の魅力にどきりとさせられつつ、他のことに気を取られていた。

「う……これ、やば……」

 彼女の胸の谷間に挟まれた己の分身からこみ上げる本能的な欲求。それが暴発しないよう耐えることに、彼は意識のほとんどを費やしていた。

「そうでしょそうでしょ。あたし、おっぱいには自信あるんだよね。大きさも形も、もちろん技術も。それをたっぷり味わわせてあげるからね」

 他方、彼女はそんな彼の余裕のなさすらも楽しむような態度でいる。たっぷり味わせるという宣言は、彼には今からあんたを搾り尽くすと言われているようにも聞こえた。

 そして、きっとそれは現実になることだ。

 大きな胸で肉棒を挟まれて扱かれる。間違いなく、世の男が一度は夢見る行為だろう。言わずもがな彼も例外ではなく、今はまさに夢が叶えられた状況といえる。

 まして、夢を叶えてくれるのがいつも視線を惹かれていた相手となれば尚更。つい見てしまうことの多かった彼女がやってくれるとあれば、興奮も弥増すというものだ。

 たとえ、相手が童貞をからかうついでにつまみ食いという程度のつもりでも。昂りすぎて、気を抜けば暴発してしまいかねない。

「じゃあ、やっていくよ」

「うぐ……っ」

 彼女が言って、ローション代わりに唾液を垂らす。彼が切なげに声をあげるが、それには構わない。胸を使って、唾液を肉棒全体に塗り広げていく。

 彼としては、完全に主導権を握られているのは悔しい。反面、そのことに奇妙な興奮も覚える。彼女に支配されているような感覚が、変な癖になってしまいそうだ。

「それにしても、あんたのちんぽ本当に立派だよね。こんなの初めてかも」

 加えて、支配されていながら褒められるとますます昂るというものだ。

「あたしのおっぱいが規格外だから埋もれちゃってるけど、あんたのも充分すぎるくらい大きすぎ。しかもガッチガチに硬いし。今まで見たちんぽの中じゃ一番……って、言ってる間にも余計に立派になってる」

 褒められて昂った男の本能が、欲望の象徴を一層猛らせる。彼女の胸の谷間から飛び出すことはないが、谷間に隠された中では本当に雄々しく立派な様になっていることに疑う余地はない。

 彼女も「こんなの初めてかも」と言ったものの、彼こそここまでになったのは初めてだ。暴発して発射どころか、肉棒そのものが爆発してしまうのではないかという気にさえなる。

「ちんぽ褒められて嬉しくなっちゃった? 可愛いところあるじゃん。でも、可愛いところだけじゃなくて格好良くどぴゅってするところも見せてほしいなあ」

 爆発してしまうのではないかという気になるのに、いっそそうなってしまいたいと思うほど興奮して仕方ない。

「ほら。出せ。出しちゃえ。おっぱいの間で、どぴゅどぴゅってイっちゃえ。全部受け止めてあげるから。遠慮しないて、思いっきり乳内射精しちゃえ」

 心底楽しげに求められて――否、命じられて、優位に立たれる悔しさを覚える一方で射精欲がこみ上げてくる。

 簡単にイかされたくはないと頭で思っても、身体は早くも限界寸前だ。

 彼女の胸で、快感の頂へと押し上げられていく。肉棒が柔らかく温かい感触に挟まれ、ぎゅっと締め付けられて射精を促される。女にそれをやられて、耐えられる男などいるわけがない。

 当然、男である彼も彼女の攻勢に耐えきれず果てる。

「うう……っ!」

 切なげな呻き声をあげての射精。気持ち良いが、彼女に負けてしまったという感覚。

 いや。彼女に負けてしまったからこそ、尚更気持ち良いという感覚だ。

「あははっ。出た出た。すっごい。いっぱい出てる」

 他方、彼女はやはり楽しげな調子だ。

「ほんと、いっぱい出たね。っていうか出しすぎじゃない? 量すごいだけじゃなくて、めちゃくちゃ濃いし。おっぱいの間、どろどろのねばねばになってる。見てよこれ」

 そう言って、彼女は胸の谷間を彼に見せる。彼女自身の言った通り、特濃の大量射精を受け止めどろどろのねばねばにされた胸の谷間を。胸の谷間で彼の精液が糸を引き、淫靡な橋が架かった様を見せつける。

「もしかしてオナ禁して溜まってた? 違う? じゃあ、あたしのパイズリでこんなに興奮しちゃったんだ?」

 彼女の問いかけに、彼は嘘を吐けず正直に答える。言葉を口にする余裕がない代わりに、首を縦横に振って。射精の余韻に息を乱しつつ、彼女を悦ばせるように振る舞う。

 別に溜まっていたわけではない。こうも大量に射精したのは、彼女の行為に興奮した結果である。胸に自信があると言った彼女の自尊心をくすぐるように、彼はそう答えた。

「気分良いかも。あんたもまだ元気だし、このまま二発目イかせてあげようか?」

 そして、気分が良くなった彼女は自ら続きを提案した。

 イかせて『あげようか?』という言葉遣いからして、すっかり自分のほうが彼より優位というつもりだろう。最初からそんな節はあったが、彼が短時間であっさり果てたことでその意識がより強化された。提案の形をとっているものの、自分がそう言ってあげているのだから断るはずがないと考えているのが透けて見える。

 対する彼は、容易くイかされたことに敗北感と屈辱感を覚えているところだが。しかし、彼女の見込み通り二度目を断るなんてできそうにない。彼の本能は、今味わった快感を再び味わいたいと期待している。

 同時に、また彼女に屈服させられたいとも。彼の中で芽生えた負けたがりの欲求が、彼女に屈することで早く大きく育とうとしている。

 と、彼女は彼の内心を見透かしたように妖しい微笑を浮かべて言った。

「いいよ。してあげる。あんたを徹底的に絞り尽くして、あたし以外じゃイけなくさせてあげるから」

 自分を作り変える。普通なら恐怖を抱きそうな宣言にさえ、彼は恐怖でなく興奮でぞくぞくする。

 そんな彼の肉棒を、彼女がまた胸の谷間に招いた。ぎゅっと挟んで、優しく淫らに扱きあげる。一度イかせたばかりの彼を、容赦なく二度目の射精に導く。

 彼は抗えず、抗おうとも、抗いたいと思うこともできずされるがまま。

 結局、彼は彼女のいいようにされ完膚なきまでに堕とされた。


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