バネバネルーキーくん妄言
旗作りの町に産まれたルーキーくん。幼い頃から近所に住んでる金髪のデカいおっさんに懐いてた
「おれ大きくなったら海賊になるんだ!そんで海賊王になるんだ!」
というルーキーくんをおっさんは笑わずに鍛えてくれてた。ひたすら体を鍛えるのルーキーくんの横で覇気の触りやおっさんが憧れた海賊の話をしてくれた
「若く馬鹿だったおれをパンチ一発で沈めやがった。今まで受けたパンチであれほど重かったもんはねぇよ」
「いつかアイツにおれの作った海賊旗を掲げてもらうつもりだったが…結局渡せねぇままになっちまった」
そう笑うおっさんの顔はどこか悔しそうでルーキーくんは
「じゃあおれが海に出たらおっさんの海賊旗ソイツに届けてやるよ。約束だ!」
「ああ…そうだな。海に出たら、いつかお前もアイツに会うことになるだろう…」
約束はしたけど、結局おっさんは悔しそうでどっか悲しそうな顔のままでそれがルーキーくんの心残りになった
それからすぐ、おっさんは“海皇”を名乗る大海賊の下っ端の海賊団から村を守って死んでしまった
それから十年。ルーキーくんはひたすら鍛えた。肉体も覇気も偶然見つけたバネバネの実の能力も時に泣きながら鍛え続けた
そして遂に海に出たルーキーくんは仲間を集め海を快進撃と言えるスピードで進み続けた。彼らは知る由もなかったけれど、それはかつてのある海賊を思わせる道中だった
そして遂に彼らは辿り着いた。
《海の唯一帝》《海皇》《世界最狂の男》《神の天敵》《無冠の覇者》──日食の海賊船団総督、モンキード・ルフィ。その前へ
激戦に次ぐ激戦。
全ての仲間でかかって行っても奴は倒れない
倒したと思う度、次々とモードを変え奴は立ち上がってくる
「こっちも、全力だ…!!」
「内臓にゼンマイ仕掛け…あまり利口ではないな。命を削るぞ」
「これが俺の『ギア』だ!巻けば巻くほど強くなる!」
周りの仲間たちに頼む。限界まで巻けるまでの時間稼ぎを頼む。男は笑う。そうやって、独りでなにも出来ないくせに一体なんの王になるんだと。
「この海を独りで生きていけるやつなんていねぇ!おれは、みんなと一緒に海賊王になるんだァ!!!」
(~なんやかんや倒してルフィが麦わらだと明かされた後~)
「アンタが、麦わら……?じゃあ、アンタ……ベラミーって、知ってるか…?」
「ベラミー…ああ、懐かしい名前だ……おれの、友だちだった…」
『いつかお前も会うことになる』。おっさんの言ってた意味が分かった。この海に君臨する男に海賊王になるなら絶対に挑まなくてはいけないから
仲間をみんな失って、独りぼっちで生き続けてた男。旗のおっさん、アンタ、ホントはコイツを止めたかったんじゃないのか。友だちだったって言うんならこんな虚しい空っぽの男になってしまったコイツのことを聞いてそれでもなにも出来なかったこと、悔しかっただろうな…
「…………これ、旗のおっさんから。あんたの、あんた達の、《麦わら》の海賊旗だ」
「ああ………なつかしぃ、なぁ…!」
男は笑った。泣きながら笑った。もうこれ以上男は意地を張り続けなくて良くなったのだから
──おれが憧れた男が憧れた男。アンタを越えておれは進むぞ
「行くぞ!野郎ども!目標は海賊王!全速前進だぁ!!」