ハルナとミハル

ハルナとミハル




「最初はどうしよって思ったけど……うん、ちゃんと"スイッチ"を見付けられて良かった」


 どこか呑気な、安心したような声が聞こえて来る。けれど、それに言葉を返す余裕は無い。


「あ、ふ、ぁ……♡」


 私の身体は今、待ち望んだ感覚と、今まで全く知らなかった感覚に支配され、とても何かを考えられるような状態ではなくされてしまった。


「それにしても、案外いるものなんだね。えっちなスイッチとか性感帯が、『口の中』にある人って」

「う、うぅ……ふ、ぅ、ぅ……♡」


 彼女の細く、小さな指が挿し入れられているのは。私の、"口の中"。決して傷付けないような優しい力加減と手つきで。決して嘔吐いたりしないように慎重に。擽るように、愛でるように、指先が口腔に触れて来る。その度に、ぞわりとした痺れるような気持ち良さが口の中から広がって、私の脳を甘く犯して来る。


「ふっ、うぅっ……!ぇぁ、ぁっ、はぁぁっ……♡♡」


 舌の裏をつう、となぞられ。かと思えば、舌の腹やした先を繊細な指使いでくにくにと弄ばれて。そのどれもが不思議なくらい気持ち良くて、本当に堪らなくなって、思わず目尻から涙がこぼれる。


「うん。ちゃんと、"こっち"も気持ち良くなれてるね」

「は、ぁー、ぅぅ、ぅー……♡」


 そんな風に、私はもう舌だけでも一杯一杯なのに。彼女はさらにもう一ヶ所、私の秘所──俗な言い方をするならば、舌の口とも言えるあの場所を、甘やかに犯しても来る。下腹から伝わる、胎内を切なく締め付けさせるような感覚が、一気に身体を走っていく。


「あー、はぁ、はっ、ぅっ……♡ぅぅぅぅっ♡♡」


 舌を扱くように揉み込まれながら、膣口を優しく責められて。はしたなく舌を伸ばしたままの口から、いやらしい嬌声が漏れていって。視界と頭の中が一気に白んで。私は大袈裟なくらい、びくりと身体を跳ねさせた。


「はーっ、はーっ……♡は、ぁーっ♡♡」

「ん、今イったね。気持ち良かった?」

「はっ、ぅっ、ぅぅぅ……♡」

「気持ち悪かったり、痛かったりはしてない?大丈夫?」

「ふぅ、ぅ、ぅ♡」

「そっか。よかった」


 何度目とも知れない確認。そのどれもが労りと気遣いが滲み出ていて。彼女なりの精一杯の真心と心遣いなのだと、蕩けた頭でもしっかりと理解できて。大切に扱ってくれている、その事実に胸が温かくなって。


「────もっと、感じて?」

「あ、ふぁ────♡♡」


 『あの時』と比べると、感覚はさほど強くないと感じる。その筈なのに、あの時よりもずっとずっと、私は心の底から満たされていて。骨の髄まで、幸せな心地にされてしまった。





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