ハリケーン 海軍本部に接近!! その二
このssには設定捏造・キャラ崩壊が含まれます
ご注意ください
女ヶ島アマゾン・リリーにある闘技場、そこでルフィ大佐とサンダーソニア・マリーゴールド姉妹の決闘が続いていた。
「ゴムゴムのぉ…JETツイン銃!!」
「きゃあぁっ!」
「ぐうぅぅっ!」
左右に分かれた姉妹めがけて、見聞色の覇気だけでは避けれず、武装色の覇気だけでも防げぬ攻撃が飛ぶ。
「ソ、ソニア様とマリー様が…!」
「海軍って、大佐だとこんなに強いの!?」
大きく吹き飛ばされる幹部の姿に、歓声を上げていた九蛇海賊団の女たちは青ざめ、驚愕していた。
そんな彼女たちを観察していたウタは…
(構成員全員が覇気を使えるって聞いたけど、私の能力には関係ない。あとはあの七武海さえどうにかできれば。)
なにやら不穏なことを考えているようだ。
海軍でも有名なメロメロの石化能力も、ルフィには通用しなかったのは嬉しい誤算だった。
そこに覇気の有無の意味をなさないウタウタの能力を通用すれば、勝算は十分にあるというのがウタの考えだった。
(私に海楼石もつけなければ、耳栓もしてない…ウタウタのことはバレてないんだ。
あとはウタワールドに引き込んだ後で、身体を操って手足をへし折りでもしておけば…)
…彼女たちの任務は、世界政府の調査にハンコックの協力を得ることなのだが
いつの間にかウタのなかで七武海ボア・ハンコック討伐にすり替わり始めていた。
「ゴムゴムのぉ…!!」
「ソニア姉さま、私の後ろに!」
さらなる攻撃の構えをとるルフィに対し、姉を下がらせ防御態勢をとるマリー…しかし
「JETバズーカァァッ!!」
「うああぁ・・・ああああああぁぁ!!」
二人もろとも宙に吹き飛ばされた…そのまま場外にある剣が敷き詰められた溝の中へ
「よっ…とぉ!!」
「ちょっ!?ルフィ、なにを…!?」
『男が…妹様たちを助けた…?』
落ちるところで腕を伸ばしたルフィに助けられた。
ソニアとマリーも九蛇の女も、ウタですら信じられないといった顔でルフィを見る。
「俺は別にお前らを倒したんじゃねぇんだ。仲間をもとに戻してもらいたいのと、ハンコックに本部に来て協力してほしいだけだ!」
改めて自分たちの目的を伝えるルフィ。破天荒に見える彼だが(実際その通りだが)、無用な戦いは避ける主義であった。
一方助けられた形のソニアとマリー、そしてハンコックの表情が…一気に険しくなった。
「構うな、ソニア!マリー!わらわたちの力を見せつけよ!……侮られたままで終わってはならぬ!!」
「「はい!姉様!!」」
「お、おい!俺たちの話を聞けよ!!」
より一層戦意を燃やす姉妹たち。
そんな彼女たちの髪が、まるで意志を持ったかのようにうごめき始める。
「「蛇髪憑き!!」」
「"炎の蛇神(サラマンダ)"!!」
「"八岐大蛇(ヤマタノオロチ)"!!」
マリーの髪が炎を纏い、ソニアの髪は牙を剥く大蛇のようにルフィに襲い掛かる。
「"剃刀"!!」
((空中を…跳んだ!?))
逃げ場を奪うように攻撃を仕掛ける姉妹に対し、"新世界"以外では滅多にみられない空中機動を繰り出すルフィ。
そのままソニアとマリーの周りを飛び回ったと思うと。
「きゃっ!? ソ、ソニア姉さま、止まって!!」
「これは…私たちの尻尾を!?」
「もう止めろ!俺たちの話を聞いてくれ!!」
二人の尻尾がいつの間にか結ばれていた。動物系悪魔の実の能力を逆手にとったのだ。
こうなっては、広範囲を攻撃する"蛇髪憑き"では同士討ちの可能性が上がるだけであった。
しかし…
「くっ、まだよ!!」
「「ソニア(姉さま)!?」」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっ!!!」
追い込まれたソニアが、マリーのサラマンダの炎を自分の髪に燃え移らせるという暴挙に出た。
焼け焦げる激痛に苛まれながら、ルフィに向かって突進するソニア。
「"剃"!!」
ソニアの決死の攻撃、それすらもたやすく回避したルフィは彼女の背後に回り込むと…。
「ゴムゴムのJET鞭(ウィップ)!!」
燃え盛る髪を一瞬で刈り取り、ソニアがこれ以上傷つくのを防いだ。
その時だった、ルフィの眼に…ソニアの背中の"あるもの"が見えたのだ。
その瞬間、彼はソニアの背中にしがみついた。
「くっ!?マリー、攻撃しなさい!私に構わず、早く!!」
「よせ、この勝負…俺の負けだ!!」
「「……え?」」
「ハンコック! 降参する!海軍本部には来なくていいから、石になった仲間たちを元に戻してくれ!!」
終始優勢だったにも関わらず、降参を宣言するルフィ。
突然のことに驚くソニアとマリーだったが…
「大変よ!ソニア様の背中が、ゴルゴンの眼が!!」
「あの男がどいたら、あの目が露になったら、私たち全員石になってしまうわ!!」
「…っ!公開処刑は中止じゃ!皆の者、闘技場の外へ出よ!!」
急に騒ぎ始めた観客を闘技場から追い出すハンコック。
そんななかウタは…
「もう、ルフィったら…。ハンコック、私からもお願い!大人しく帰るから、石になったみんなを元に戻して!」
ルフィの選択に同意した。
この幼なじみがプライドを捨てる時は、それが"正しい行動"だと信じた時だ。
何があったかはわからないが、どんなときもルフィを信じると、ウタは決めていた。
「どうして、私たちはあなたを…。」
「背中の"これ"を見たのに、私たちを見逃すっていうの…?」
「ああ、見た。なんで本部に来たくないかもわかった。ごめんな、怖かったよな。海軍のお偉いさんには俺が怒られとくから!」
「「…‥‥」」
自分を殺そうとした相手に、心からの謝罪と気遣いを見せるルフィ。
偽りが感じられない態度に言葉を失くすソニアとマリー。
離れた見守っていたハンコックも目元を押さえ、その頬を一筋の涙が流れていた…。
どうしてこうなった、目の前の光景をみて、そう思わずにはいられないウタ
「だからよ、おめぇら!くーだよっ!くーっ!!」
「「「くーだよっ!くーっ!!!」」」
『きゃははははははははははははは!!!!』
「も~~っ!男ってば馬鹿すぎ!!」
「こんなに面白い生き物なんて、初めてみた!!」
テーブルの上で、鼻と口に箸を突っ込みザル踊りをするルフィと数人の部下たち。
宴好きな彼の部下とあって、アホな行動をするのに抵抗が無さすぎるのだ。
他の海兵たちも、思い思いに宴を楽しみ、はしゃぎ回っている…アマゾン・リリーの女たちと一緒に。
「ねえ、ウタだっけ!この音が出る貝!これから聞こえる歌声ってあなたのでしょ!」
「こんなに素敵な歌声聞いたのも初めて!生の歌声聞きたい!!」
「あそこに舞台あるし、楽器もあるわよ!私たちが演奏するからさ!」
どうしてこうなった、誰だ音貝を渡した奴は。
何が悲しくて、海兵の私が海賊に懐かれなきゃいけないんだ。
…とはいえ、歌を求められた以上歌わないわけにはいかない。
歌姫は、歌を歌う場所も、歌を聴かせる相手も選ばないのだ。
「お!歌うのか!? いいぞ~~~ウタァ~~~~!!!」
なにより、自分の歌を求めているのは、いつだってこの幼なじみなのだ。
ルフィの声援を背に、舞台に上がるウタであった。
「大佐さん、さっきはありがとうね…おかげで助かったわ。」
「それで…ハンコック姉さまが、あなたを寝室に呼んでいるの。」
ウタのライブが始まって数分後、ルフィのところにソニアとマリーがやってきた。
「ん、ここじゃダメなのか?ハンコックのやつも、一緒に宴楽しもうぜ。」
「えっ!?いやいや、寝室に呼ばれたのよ、あなた!姉さまの!寝室!!」
「だから、何で寝るとこで話すんだよ。ここだったらウメェ飯がいっぱいあるしよ。」
「ええ………。」
この男、ひょっとして人間ではないのではないだろうか。
絶世の美女である姉が、ベットルームに誘われたというのに顔色一つ変えやしねぇ。
「あの…私たちの"背中"について話があるのよ…。」
「‥‥‥‥わかった。行く。おい!俺ちょっとハンコックのとこに行ってくっから!!」
が、自分たちの"秘密"についての話題だと説明すると了承してくれた。
やはりこちらの事情を汲んでくれているのだ。…信用してもいいじゃないだろうか。
ルフィに対する信頼が芽生えたのを自覚しながら、彼を案内するソニアとマリーであった。
「よし!今日はここまで…ってあれ?ルフィはどこいったの??」
「え!?いや、大佐は…その…。」
「大佐さん?彼だったら蛇姫様の寝室へ、妹様たちに案内されていったわよ。」
「………………………え?」
To Be Continued