ハプニング

ハプニング

VerdictDay10日目

—アビドス廃校対策委員会—

ホシノ「…………」

ノノミ「…………」

シロコ「…………」

アヤネ「…………」

セリカ「…………」

ホシノ「ねぇ~、な~んか空気重くな~い?」

シロコ「ん」

セリカ「そりゃ重くもなっちゃうでしょ!二人もこれ見たんでしょ!?」

シロコ「ん。見た」

ホシノ「おじさんも見たよぉ~。見たけどさ~…」

シロコ「意味不明」

ホシノ「うへぇ~、ズバッと言うねぇシロコちゃぁ~ん」

ノノミ「そもそも!この手紙は本当にラスカ先輩が書いたものなんですか?」

セリカ「そ、そうよ!またカイザーか何かが私たちにちょっかい掛けてるんじゃないの!?」

ホシノ「ん~……それはないかなぁ~。これは間違いなくラスカちゃんの筆跡だよぉ~」

シロコ(見ただけでわかるんだ…)

シロコ「………転校届4枚に、退学届が1枚(ソッ)」

ピラッ

ノノミ「転校届には私たちの名前が入ってます。転校先の学校の名前も………。そして、退学届には……」

アヤネ「ホシノ先輩の名前……」

セリカ「どういうことなのよ!?手紙だって『準備は済ませてある。早く出て行け』って……。ラスカ先輩、私たちにここから出て行けって言ってるのよね!?」

アヤネ「どうしてでしょうか……」

シロコ「ん。不思議なことはない。元からネガキャンしてくる人だったし」

ノノミ「む~……先生に要相談!ってところでしょうか?」

ホシノ「んん~………まずは自分たちで色々調査してみよっか。幸い、ラスカちゃんは砂漠のPMCの基地跡にいるっぽいし」

セリカ「ホシノ先輩!」

ホシノ「うへっ!?わ、わかってるよぉ~セリカちゃぁ~ん!なんでも自分たちで解決しようとするのはおじさんの悪いクセだってさ!で、でも一旦冷静に考えよ?先生だって今すっごい忙しいハズなんだよ……。なら、自分たちができることは自分たちでやらない?ヤバそうだったらちゃんと連絡するってことで…」

セリカ「んぬ~……!!確かに、今の先生は超忙しいのかも…」

シロコ「私たちだけでやるなら、今までよりも慎重にやるべき」

シロコ「…………」

シロコ「(グッ)今までずっと傍にいてくれたルキもいないし」

ノノミ「シロコちゃん…」

シロコ「ん。大丈夫。でも、次会ったら絶対に殴る」

アヤネ(こわい…)

セリカ(こわっ…)

ホシノ「じゃ、決まりだね。目標はラスカちゃんと接触して真意を聞き出すこと。危険と判断する場合には即時撤退、でいいかな?」

アヤネ「異議なし!」

セリカ「問題ないわ!」

ノノミ「了解しました☆」

シロコ「ん。決まり」

ホシノ(ラスカちゃん……あの優しかった君はもう戻って来ないのかな……)

 

 

 

 

—百鬼夜行近辺の小規模自治区—

ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…ザッ…

ヒナ「…………この辺は静かね」

イロハ「ですね。しかし……(チラッ)」

イブキ「誰も武器持ってないね~」

“でもヴァーディクターズの機械獣たちが警備してない…”

ヒナ「どうしてかしら。ここに来るまで通った自治区には哨戒のロボがいたのに」

??「ひょっとしてそれってよォ~……別の連中がいるから、警備の犬っころどもは必要ねェんじゃねェかァ~?」

ヒナ・イロハ「「!?」」

“!”

イブキ「?」

ザッ…

ヒナ「———ッ!(カチャ)」

尻尾の長い魔巣会若衆「(シュルッ)…………」

カタコトの魔巣会若頭補佐「ハ~イ☆彡(バチコーン)」

ヒナ「…………」

ジャリ…

イロハ「っ!?(カチャ)」

剛肩の魔巣会若頭補佐「ひっひひ~♪(ブオンッ)」

片角の魔巣会若衆「こんちはっス~」

イブキ「イロハせんぱい~…!」

イロハ「イブキ、私の後ろにいてください…!」

ザシュッ…

イブキ「ひっ!?」

歪な角の魔巣会若衆「……………(カチャコン)」

魔巣会若頭「どもども~(ヒラヒラ)」

ヴァーディクターズの制服に身を包んだゲヘナの生徒らしき集団に、前方、後方、建物の屋根上と包囲されてしまった。

ザッ…ザッ…ザッ…

??「この自治区はよォ~。あたしが警備担当してる地区なンだわ」

“き、君は…!”

??「ここはァ!あたしのシマなンだよォ、ヒナァーッ!!せんせーッ!!!」

ヒナ「焔揚(えんよう)……ゼル…!」

ゼル「ニシシシシッ♪前回はサプライズだったがァ、今回はハプニングかァ?せんせ~(ニタニタ)」

 

 

 

 

 

—連邦生徒会、副会長室—

ガサゴソ……ガサゴソ……

黒いネコ耳の連邦生徒会役員「……………」

ペラ……ペラ……

黒いネコ耳の連邦生徒会役員「流石に紙ベースで情報は残していない………ですか…。となると…(スッ)」

カタカタカタ…

黒いネコ耳の連邦生徒会役員(パソコンはロックが掛けられていて中を閲覧することはできない……。仮に持ち出せたとして、『彼女』がハッキングに明るいかどうかは………)

黒いネコ耳の連邦生徒会役員「はぁ~………まったく人使いの荒いお方です。今になって脱獄を手伝った恩を返せだなんて………。あの人の役に立てるかも知れませんよ?なんて口車に乗ったのが間違いだったでしょうか……。長居は禁物、ひとまず部屋を…」

??「あまりにも不用心……だと思いませんか?××君」

黒いネコ耳の連邦生徒会役員「ッ!?(ハッ)」

サン「私の執務室で、一体何をしていたのでしょうか?」

黒いネコ耳の連邦生徒会役員「………貴女は普段、ここに来ることはなにのに…(タラァ)」

サン「なるほど。私の行動をよくお勉強なさっているようですね、子ネコ君?」

黒いネコ耳の連邦生徒会役員「……………」

サン「初めからです。知っていますか?××君にお任せしている仕事は。業務上あの部屋の前を通るだなんてことはないんですよ。もちろん、この部屋にくることも」

黒いネコ耳の連邦生徒会役員「…………」

サン「身体的特徴、背格好……確かに貴女と××君はよく似ています。ですが………相手が悪かった、と言っておきましょうか」

黒いネコ耳の連邦生徒会役員「た、偶々ですよサン様。同僚から届け物をお願いされて…」

サン「…………」

黒いネコ耳の連邦生徒会役員「なので…」

??「ダウト」

黒いネコ耳の連邦生徒会役員「———ッ!!?」

キヨ「(ヒョコ)サン様、この人ウソを吐いてます!!」

黒いネコ耳の連邦生徒会役員(この少女は一体…!?事前調査に、こんな子供は…!)

サン「でしょうね、私でもわかりますから。わざわざキヨ君の手を煩わせることもありませんでしたね」

キヨ「いえいえ。サン様のお役に立てて、私はとっても嬉しいです!」

サン「ふふっ♪………さて……では、貴女の正体を拝ませていただきましょうか?」

カションッ!

黒いネコ耳の連邦生徒会役員「!?」

L.A.W.S_TypeWW.M:M「———ッ!!(カション)」

フォンッ!!

ビリィッ!

??「くっ!?」

??「どうしてわかったんですか!?」

サン「言ったではありませんか。××君の業務上有り得ない行動だと。私はこの建物内にいる全ての人員の顔、名前、振っている仕事を把握しているだけなんですよ。その中で、貴女は××君に化け彼女の仕事にない行動を取った。本人でないと見破るに十分すぎるヒントです」

??「…………ッ!ホントに人間ですか…!」

サン「………その顔には見覚えがありますよ。確か…」

??「!」

サン「清澄(きよすみ)……」

??「くっ!(ポイッ)」

キヨ「サン様!(サッ)」

L.A.W.S_TypeWW.M:M「天降(あもる)サンの保護を優先します」

ササッ

カラッ……ボシュウウウウッ

キヨ「けほっ!けほっ!しゃ、しゃんしゃま~!!」

慈愛の怪盗「さよならです…!」

バリィン!!

サン「………」

ヒュォォォォオオオオオ!!!

サン「………………逃げましたか」

キヨ「しゃんしゃまぁ~…」

サン「(ナデナデ)………××君を探してください。きっと、どこかで身動きを取れないよう拘束されているハズです」

L.A.W.S_TypeWW.M:M「了解。命令受託」

カションカシャンッ!!

L.A.W.S_TypeWW.M:A「命令開始(ダッ)」

ガシャッガシャッガシャッガシャッガシャッ!!

サン「…………」

 

 

 

―とある路地裏—

ヌギヌギ…

アキラ「まったく……割りに合わない仕事でした。それも……失敗してしまうとは……」

アキラ「とにかく今は、身を隠した方がよさそうです」

Report Page