【閲覧注意】ハイバニアをいじめ隊
ハイバニアが目を覚ますと小説の中に出てくるような拷問部屋であった。手を動かすことも、能力を発動することもできない。
(…!?…!?どういうこと!?)
革のベルトにしか見えないのに破ることはできず、完全に身動きが取れなかった。その時、一つだけあるドアが開いてドレッドノートが入ってきた。
「……!貴方…どういうつもり!?何か不満があるなら実力行使の前に陳情して欲しかったものね!!」
「ケッ、ちょっとぐらい助けに来たのかとか言う可愛げはねェのかよ」
そう言いながらドレッドノートは蓬莱の玉の枝を取り出し、極めて細く長い形態へと変化させる。そしてそれを柔らかい状態にしてハイバニアの肌に這わせた。
(……何を…?)
瞬間、ハイバニアの手背に痛みが走った。玉の枝が刺さったのである。
「グッ!ちょ――――」
しかしハイバニアは二の言葉が継げなかった。
「ギャアアアアアアアアアアアアアア」
針金状の玉の枝がどんどん肌の中に入り込み、ハイバニアの腕の中でのたうち回っている。想像を絶する痛みであるが、気絶することができない。
「ヴアアアアアアアアアアアアアアア」
普段のハイバニアからは想像もつかない獣のような叫びを聞きながらドレッドノートは楽しそうに見つめていた。
「オメェがここまで苦しむ姿なんてそうそう見ることがねぇな」
「グゥゥゥゥゥ」
「なんとか言ってみやがれ!」
ドレッドノートが玉の枝を振るうと手背から鎖骨にかけてまで侵入していた玉の枝が引き抜かれる。血と肉が飛び散るさまをドレッドノートは心底楽しそうに眺めていた。
「……!……ハッ……ガッ……」
ハイバニアは言葉にならない叫びを上げるが、ようやく玉の枝の拷問から解放されたと安堵の気持ちすらあった。
「ハァー…ハァー…なんで、こんなこと」
ここまでされてまだ喋る余裕のあるハイバニアに軽く驚きながら、ドレッドノートが彼女へ近付く。彼女の顎をくいっと上げてニヤリと笑った。
「あ?理由はテメェで考えろ、当たったら解放してやるよ」
そういうとハイバニアの頬を掴み、無理矢理開かせると、彼女の口へと玉の枝を侵入させていく。
「あ…が…あぁ…」
「まぁ、そのざまで答えが言えるならな」
侵入した玉の枝は食堂を傷つけながら内部へと進んでいく。
「……!……!!」
ハイバニアは首を振って抵抗しようとするが、ドレッドノートに完全に顎を掴まれており、その僅かな動きさえ封じられる。
「へぇ…テメェも泣くことがあるんだな」
あまりの激痛に涙すら流すハイバニアだが、目付きはまだ鋭いままであった。
「気に入らねぇな」
その言葉と同時に玉の枝が侵入する速度を上げる。胃、十二指腸、小腸、大腸…………
「……ウガァ………ガハ……」
反応こそ薄くなっているものの、内臓を引き裂かれる痛みはしっかりと実感している。ビクンビクンと跳ねる体がそれをドレッドノートに実感させる。
「このままぶち抜いてもいいが、コレにテメェの糞が付くのも気分がわりぃな」
「……ガァ……」
「……フッ覚悟しろよ」
そういうとドレッドノートは玉の枝を通常の大きさに戻すと……一気に引き抜いた。
「ギッ!…………」
ハイバニアは内臓をズタズタにされる痛みを体を捩らせて僅かにでも逃がそうとするが、やはりドレッドノートに制圧されている状態ではそれすら叶わない。
「う……ゲェ……ゴボッ」
ドレッドノートが顎を解放するが、彼女の頭は重力のまま項垂れる。最早ハイバニアは言葉を話すことはなく、力のない瞳をして口から血を吐き出すだけであった。
「まだ生きてるだろ…?というか死ねねぇよな、ここはそういう部屋だ」
ドレッドノートの説明にハイバニアは僅かに反応する。
「さて、そろそろ一区切りといくか」
彼はハイバニアの後ろに回り込み、その頭を掴む。そしてまたもや針金状になった玉の枝をハイバニアの耳に近づける。
「……!」
ハイバニアは何をされるか察して首を回し、ドレッドノートを見つめる。その視線はこれまでとは違い媚びるような、許しを請う弱者のような弱々しいものであった。
「……ケッ、そんな目をしても無駄だ、覚悟を決めやがれ」
ドレッドノートは手に力を込めてハイバニアの頭を元の方向に向ける。彼女は嫌がり抵抗するが、超越者の力には逆らえない。玉の枝が彼女の耳に触れる。
「ヒィ……あ、あぁ…」
「…!」
ドレッドノートは玉の枝の動きを止める。この期に及んで話せるタフさには彼も感嘆する他無かった。
「……なんだ」
「……おねがいします……たすけてください……」
血を吐きながらなんとか言葉を紡いだハイバニアであったが、ドレッドノートにとっては心底期待外れであった。
「……面白くねェ」
「いやっ!まっでェ」
瞬間、耳孔に玉の枝が突き刺さる。まず鼓膜と蝸牛が一瞬で破壊され、ハイバニアの聴覚は機能しなくなる。
「ヒギャアアアアアアア!!!!」
口から夥しい量の血を吐きながらハイバニアが絶叫する。しかし無情にも骨や神経、筋肉を破壊しながら玉の枝は彼女の中枢へと向かっていく。
「あ……あ……」
知覚できることではないがハイバニアは直感する。今、自分の脳に玉の柄が触れている、と。
「ヒィ……いやぁ……いや……」
「あばよ」
ドレッドノートがそういった瞬間、玉の柄が脳みそをグチャグチャにかき混ぜ始める。
「……!!!!!!…あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」
凄まじい防御反射でドレッドノートの手から逃れる勢いで頭を振り、あれだけ硬かった革ベルトも引き千切ってハイバニアがのたうち回るが、最早それ以上に出来ることはなかった。
「あ゙、あ゙、あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙」
死ぬことも気絶することも出来ない中、ハイバニアは苦痛だけを感じていた。脳が破壊されたため痛覚も機能せず、思考も行えない状態であるにも関わらず、死ねない。
「ああ……あ゙、あ゙……」
生物の生存本能を直に脅かされ、本能的恐怖と不快感だけがハイバニアを包んでいた。身体中からあらゆる液体を垂れ流しながら跳ね、捩れ、関節をあらゆる方向に伸ばしていたが……。
「うあ……あっ…あん……」
完全に脳を破壊され尽くし、拷問部屋の魔法でかろうじて生命活動を行っているだけの人形と化した。
「……ケッ、終わったか。」
ハイバニアの耳から玉の枝が引き抜かれる。それにももはや彼女が反応することはない。
「身体と顔だけは良いからな、もの好きに売れるだろ」
体表の傷らしい傷は最初に付いた手背の穴ぐらいで収めたため、ハイバニアの美貌は血と汚物で汚れているものの保たれたままであった。
――――――
ドレッドノートは一通り綺麗にした"それ"を担ぐと、部屋を後にする。扉を出た瞬間、ハイバニアが絶命したが、それを特に気にすることはなかった。