ネオ風都の清長と壊れ正宗

ネオ風都の清長と壊れ正宗



微グロ注意




風が厄介事を運んでくる──ここはそういう街だ。


仕事を終え俺の事務所に帰ってくると、居候の正宗がまた居なくなっていた。幸いに簡単に見つかった。見慣れない妙齢の女の遺体とともに。遺体からは草が芽吹いていた。

「…きよなが」「何だ。…お前また妙なモン見つけてきやがったな…」


無理矢理に正宗の手を引き、事務所に戻ろうとするも正宗は遺体の近くから動こうとしない。珍しくも鬱陶しい意思表示だ。俺としては面倒この上ない。そうこうしてる内に呻き声と白い人型じみた連中がやってきた。

「お前のせいでインベスが来たじゃねえか」

「……」

惚けた顔したコイツは今の状況を分かってんのか。分かってたら惚けた顔してねえよな。

ここで変身するのは、不味い。ただでさえ俺はこの街の暗部の連中に目をつけられている。これ以上目立つのは御免被りたい。それに連中が欲するものは最初から分かっている。


「ほら、よ!!」「…あ」「ほら行くぞ!早く!!」


女の遺体をインベスの方向に投げ付ける。正宗が意識をそちらに寄せた瞬間に腕を掴み、一気に走る。走って走って後ろは向かずひたすらに走る。


なんとか事務所に辿り着き、厳重に鍵を閉める。正宗は、きちんといた。俺に何か言いたげに見つめているが知るか。どうせ何も言いわしない。いつもなら、そうだった。


「さくらこ…」

正宗はそう言った。

俺は全部投げ捨ててしまいたくなったが、堪えた。


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