ニュースクーは見た
・限界潮○きチャレンジのおまけ
・ニュースクー視点
・なんか凄く深刻そうに語ってるけどギャグです
ニュースクーの朝は早い。
世界中のどこへでも新聞を配達する彼らは無尽蔵な体力、そして強靭な精神力を持っている。長距離を飛び続ける仕事柄体力は必須だし、時には摩訶不思議な海域を飛んで移動するため何事にも屈しない精神力も求められる。
「クー」
そんな配達屋の一羽がとある黄色い潜水艦に舞い降りた。
この船は己が配り回る新聞を購読する意思があるか?それを確認しにきたニュースクーは、甲板の手すりに着陸する。
「ク?」
甲板を見回して数秒後、彼は鳥ながらブスッと不機嫌そうな表情を浮かべた。
可哀想に、甲板の真ん中に全裸で股を開いた雌がいた。
雌は人間だった。
両サイドにいる白いツナギの雄にそれぞれの足を抱き寄せられ(二人の雄はその足を枕に寝転けている)、顎を仰け反らせたままぐったりした様子で意識を失っている。
全裸の雌は体中に黒い落書きをされていた。特に両腕と上半身が酷い。やたら筋肉質なようだが、天に向かってぱっくりと開かれた肉襞を観察しても雄らしい生殖器がついていなかったのでやっぱり雌だろう。
きっとこの雌はこの船の慰みモノだ。
ニュースクーはやれやれと溜め息を吐いた。
海賊には時たまこう言うオアソビに興じる連中がいる。きっとそれだ。
でなければ服を着ている人間達の中で一人裸なのはおかしいし、全身雌の臭いにまみれたままこんなところで眠っているはずがない。
「クー…」
ニュースクーは己にカメラを扱える相棒がいないことを悔いた。特別に訓練された動物はカメラ等の機材を使い、世界中のスクープ映像を激写することができるのだ。
もし今この場にカメラがあれば、非道な海賊が自船の甲板でいかなる行為をしていたのかを全世界に知らしめられるのに。
心優しいニュースクーは自分の翼から一本の羽を抜き取った。
そしてそれを嘴で咥えると、哀れな雌の剥き出た割れ目にそっと被せた。
「ふ、ぁ…♡」
くちゅ♡くにゅ♡
濡れた音が鳴る度にフルフルと逃げる腰に悪戦苦闘しながら、彼は何度も羽の角度を微調整して雌の股間をきっちり隠してやった。
こんなものただの気休めにしかならない。だが、何の力も持たない一羽の鳥にできるのはそれくらいだった。せめてこれ以上この雌の尊厳が壊されないよう祈るばかりである。
「おえっぷ…朝か。おぉ、新聞…一部くれや…」
朝日が登り、甲板に転がっていた船員達がノロノロと活動を始めた。ニュースクーは頭を切り替え、己の商売をすることにした。