ドン観音寺とは誰か

ドン観音寺とは誰か

スレ主

目次


「ドン観音寺って誰?」

朝おそらく昨日授業したであろう先生が忘れていたのかまだ消えていない黒板の文字を消していた璃鷹に啓吾から切り出された言葉が何なのかわからずそう尋ねた。


「えぇ!??鳶栖さんあのぶら霊知らないんスか!!??」


テレビ自体は一人暮らしをする際に母親と父親に璃鷹がいくらいらないと言っても聞かずむしろ気を遣っていると思われ無理やり置かされた新品の物があるにはあるが璃鷹本人が興味のないせいかあまり頻繁には付けず精々たまに気が向き〝趣味〟で録画したモノ見る程度に留めており璃鷹にとってそれはもはや家の置物と化し場所とって仕方がなかった。

両親には家には来ない様に伝えてあるしもうテレビは売ってしまおうと思考を巡らせた所で中断した。先程は何の話をしていたかを思い出して興味はないか取り敢えず無難な回答として啓吾に質問をした。


「そんなに有名なの?」

「そりゃぁもう!今時下手なアイドルより人気のカリスマ霊媒師っスから」


──霊媒師、その言葉を聞いて少し興味を持った璃鷹は少し考え込んだがそのドン観音寺なる者がタレントであるということを思い出して興が醒めた。


「日本じゃ知らない人がいないんじゃないかってくらいには有名人だよ」


黒板を消していた璃鷹の近くにあったもう一つの黒板消しを持ってもう片面に手をかけながら「手伝うよ」と啓吾の近くに居た水色が璃鷹に答えた。

璃鷹はそれを見て「ありがとう」と伝えると先ほどの返事を返した。


「へぇそうなんだ」


「テレビ自体あんまり見ないから知らなかったよ」璃鷹はそれだけ伝えて別の会話に切り替えてから話を終わらせようとしたが予想に反して啓吾は続きの言葉を口にした。


「それで、あの変な事聞いちゃってアレなんですけど来週の水曜もしかして空いてたりなんて…」


来週は学校であること以外は特に特質した用事もなく暇だった為暇つぶし程度にはなるかと思い啓吾に返事を返した。


「夜ってこと?それなら暇だけど」

「実は空座町にドン観音寺が来るんで、他の奴らも誘ってるんから良かったら一緒に来ちゃったりなんて‥「いいよ」ですよねぇ!やっぱり興味な‥え?」


啓吾が何故驚いているのかが分からなかったがそのまま璃鷹は話し始めた。


「?行くよ面白そうだしね。あ、もしかして嫌だった?」


行くと言ったのにこんなに間が開くということはもしや来ること自体望まれていなかったのではと思い一応均一に相手の好感を誘うようにしていた筈だがどこで失敗したのかと思っていると啓吾がいつものオーバーリアクションをしながら璃鷹に身振り手振りで体を揺らしながら話しかけた。


「いいえそんな!!むしろ大歓迎ですよ!!」


「そう?」璃鷹はそう言うともう消し終えた黒板を見ると机に置かれているノートを両手一杯に人クラス分を持って職員室に行こうと立ち上がった。


「誘ってくれてありがとう。集合場所とか決まったら教えてね」

「あ、俺も手伝いましょうか」

「大丈夫!実は体鍛えてるから力には自信があるんだ」


啓吾の次の返答を聞く前にそう言いながら両手にクラス分のノートを抱えて璃鷹は教室を出ると口に言葉が乗る前に教室を出た璃鷹を見て後方でその様子を見守ってた水色に大声で近づいた。


「み、み、水色ぉ!!鳶栖さんが!!!!あの鳶栖さんが来てくれるって!!!!」

「あのってどの鳶栖さんのこと言ってるのさ」


そう呆れながら机に座った水色の机に手を置くと啓吾 は大真面目だとでも言うかのように答えた。


「あのはあのだよ!!!」


そしてそのまま水色の近くで小躍りを踊りながら

「絶対俺が誘ったから来てくれたんだぜ!!感謝しろよな!!」と水色の方向へ両手で指を刺しながら告げた。


「なに言ってんのさ、鳶栖さん結構他の友達とも校外で遊んでるし僕たちとも仲良いんだから誘ったら来てくれるに決まってるじゃん」


しかしそれはもう啓吾 に聞こえていないのか「これで朽木さんも井上さんも来てくれるっていうしもうウハウハだぜ!!」「いやぁ花があるって素晴らしいなぁ」そう言って自分の言葉を聞いていない啓吾にため息をつきながら水色はそうして一護が来るのを待っていた。



***


啓吾と一護が問答を繰り広げていると丁度教室に入ってきた璃鷹の耳に入り二人の会話に入っていった。


「あれ一護は来ないの?」

「いかねぇ」


その言葉を聞いて涙が出ているように見えたかと思えば次は璃鷹に叫ぶように言った。


「鳶栖さん!鳶栖さんからも一護に言ってください!!一護一人だけ行かないとか言うんですよ!?」


そうは言ったが一護が行きたくないのなら特に止める理由はなく適当に理由をつけて璃鷹は答えた。


「一護は頑固だし無理なんじゃない?」


その言葉を聞いてもしやと一護は璃鷹に尋ねた。


「もしかしてお前…アレ行くのか?」

「浅野くんに誘われたからね」


それを聞くと一護は少しびっくりした様なリアクションを取ると「なんか」と言葉を続けた。


「ちょっと意外だなお前がそういうの行くの」

「そうかな?皆んな揃って外で遊ぶのこれが初めてだし楽しいかなって思ったんだけど」


璃鷹の言葉を聞いた啓吾はそれに同調するように答えた。


「ほら見ろ一護!!!鳶栖さんもこう言ってるんだこれはもう行「かねぇよ」なんで?!!!」

「な、何だよ一護のいけず!!」


啓吾は涙を流しながらそう言うと親指を揃えた手を後ろの方へと向けた。


「せっかく…せっかく苦労して朽木さんも誘ったのに!!」

「ごぎげよう黒崎くん♪」


そう言いながらブレザースカートの端を持って挨拶をするルキアに一護は物凄く微妙な顔をしながら何か言いたげな目でルキアを見ていた。


「ホーラ!!朽木さんも鳶栖さんもボハハーッ!」

「いやだ…恥ずかしくてできないわ…」


そう言ってまた謎のポーズをする啓吾にルキアが照れているような様子で言っているのを見て璃鷹も一応断りを入れていた。


「うーん、私は遠慮しとくよ」


その様子を教室の外から見ていた織姫が心配そうに扉を掴みながらたつきに話しかけた。


「どうしよう…黒崎くんホントに来ないっぽいよ…」

「大丈夫!来る!」

「おーい有沢、井上さっさと教室に入れー」


そう言って眉を下げる織姫にたつきは確信しているようにそう答えると背後から授業の時間になった為やってきた先生が二人に言うと慌てて教室の中に入った。


前話次話

Report Page