ドフィのかげおくり

ドフィのかげおくり


{注意}

・暗いです

・救いがありません

・ドフィもロシーも可哀想です





俺の名前はドンキホーテ・ドフラミンゴ。

“元”天竜人だ。

愚かな父の策で下界へ降り、今や堕ちきったそれが俺らだ。

美味しい食事は腐りかけの残飯に、柔らかい寝具は硬い床と薄い布に、清潔な服は穴が開こうが糸が解れようがお構いなし。

美しかった母は醜く焼け爛れて死んだ。

幼い弟は生傷が絶えず、笑っていることよりも泣いていることの方が多い。

頼りだった父すら今や落ちぶれ見る影もない。

あばら屋の生活も、ネズミのような自分達も、外の下々民共も全て、全て全て全て...!


「あにうえ?」

「...!ロシー」

俺の弟、ドンキホーテ・ロシナンテ。


「あにうえ、だいじょうぶ?」

「...ああ、大丈夫だえ」

憎いほどに澄み渡る青空の下、俺たちは地面を眺めていた。


「ロシーはほんとにかげおくりが好きなんだえ」

「かげおくり」、地面に映った自分の影を長い時間見つめ一気に空を見る。

すると空に大きな自分の影が映る。

ロシーはかげおくりが大好きだ。


「うん。だってちちうえが、おしえてくれたんだ。ははうえと、あにうえと、ちちうえといっしょにするのがすき」

弟。


「あにうえ、いっしょにかぞえよ」

「...良いえ」


「「ひとうつ、ふたあつ、みいっつ」」

俺の弟。


「「ようっつ、いつうつ、むうっつ」」

守らなくては。


「「ななあつ、やあっつ、ここのうつ」」

母上はもういない、父上は役に立たない。


「「とお」」

俺が、俺が守ってやらないと...


「いま!」


「...あ」

空に大きな影が行く。

空に昇る姿はまるで天に昇るようで

おれは


「あにうえ、うまくできたね」

...
「ああ、」

そうだな

ーーー ーーー ーーー

父上を殺した。

ーーー ーーー ーーー

弟が、ロシーが

ーーー ーーー ーーー


「...ィ、ドフィ」

...
「ヴェルゴ」

「弟を焼いてあげよう。ウジが湧いてる。可哀想だ。」

...

「ヴェルゴ、」

かげおくりって、知ってるか

「かげおくり?...ああ、自分の影を見つめ続けてその後空を見ると、自分の影が空に映る、そんな遊びだ。それがどうしたんだ?」

...
「かげおくりにも日和があってな、今日は、かげおくり日和なんだ」

...

『あにうえ、いっしょにかぞえよ』

「...ひとうつ、ふたあつ、みいっつ」


『あにうえ』

「ようっつ、いつうつ、むうっつ」


『上行った、下行った。あっ止まった』

「ななあつ、やあっつ、ここのうつ」


『あにうえ』

「とお」


いま!

...
『あにうえ、うまくできたね』


「...ああ、」

そうだな

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