ドジっ子から見た少佐という存在

ドジっ子から見た少佐という存在

少佐(中の人)

※ロシナンテ中佐から見た少佐です。

※ロシナンテ中佐がBloodborneのヤーナム帰りです。

※ロシナンテ中佐がドジでヤーナム住人を救済してます。

※ロシナンテ視点






最初にローを見た時似てるなと思った。

外見じゃない。似てるところなんて一つもない。というかアイツに外見云々は意味がない。

そうじゃなくて似てると思ったのは雰囲気というか纏ってる空気というべきか。


とにかく爆弾を巻き付けて乗り込んできたローを見た時、俺はアイツを思い出したんだ。



あの血と獣と病と呪いの街から目覚めた後すぐにセンゴクさんに報告しに行った。


始めは怪訝そうな顔をしていたセンゴクさんだったが、ヤーナムの名前が出ると途端に鬼気迫る顔で俺に報告の続きを促した。

報告を終えるとセンゴクさんは苦しげに溜め息を一つつくと、静かに教えてくれた。


海軍上層部と世界政府はヤーナムの存在を認識してはいるが認知はしていない。

一つ、ヤーナム自体何処にあるかわからない事。

一つ、仮に場所がわかっても即刻バスターコール対象だという事。

一つ、ヤーナムから帰ってきた者が一人もいない事。


特に最後の理由を話した後険しい顔でセンゴクさんは

お前が唯一の生存者だ…それを周囲に悟らせてはいけない。きっとお前は命もそれ以外も狙われてしまう…


優しい人。俺の事を思ってくれる人。

元天竜人の子供だなんて厄介極まりないどころか自分だって煮湯を飲まされた事は数知れないだろう存在の子供を守ってくれた、誇り高い正義の人。



でもセンゴクさん…俺はあの街で何も出来なかったんですよ…


できた事なんてドジって人を驚かせたり寂しそうな女の子を笑わせたり(その後その女の子に俺が助けられる始末…あの子の両親とお姉さんもびっくりするよな。

襲ってきた大きな豚を俺じゃなくて小さい方の娘が仕留めるなんて…)


教会で獣避けの香を焚いて自分だってボロボロだったのにずっと人の事を想ってた優しい人と友達になったり(泣いて喜んでくれたけど…もう会えなかった。さよならすら言えなかった。)


獣は人だと言って守ってた狩人にもドジを見られて呆気にとられちゃってたし…(逆に心配された…すごく、すごく優しい人だった。)


鴉羽の人にはドジを笑われた(いっその事そっちの方が助かった。あの人には本当に色々教えてもらった。お礼もしてないのが残念だ。)


教会所属の狩人とも色々話した

(俺はセンゴクさんの事アイツは師匠さんや教会の教えの事。

師匠の教えを大切にしている良いヤツだった。

師匠さんの仇の招待状を渡す時、こんなヤツに構うより師匠さんがお前にした様に、お前が誰かにとっての師匠さんになってくれた方が喜ぶんじゃないか?と問うたらその場で泣きながら破り捨てた。

本当にこれで良かったのかわからない。)


人の為を想って獣を狩り続けて最後は獣になってしまった英雄と対峙した時もあった。

(あの人の最期にはもっとかける言葉があったんじゃないかと思う。

真実を話した後結構支離滅裂な事を言った自覚はある。そんな俺に優しく微笑んでくれた。獣になっても最期まで英雄だった。)


他にもたくさん…俺はできない事を積み重ねただけだ。

でもアイツは━━━━━。


そんな事を詮無く考えていると突然光に包まれた。

咄嗟にセンゴクさんを庇っていると徐々に光は二人の人に形を変えていく。


あの二人だ。と直感でわかった。


あの街で俺をずっと助けてくれたアイツと人形ちゃん。

呆気に取られてる二人に構わず俺は二人を抱きしめていた。


そうだ…あの街で俺は何もできなかったけど、それでも一緒にいてくれた二人。


俺がドジする度に呆れながらも助けてくれたお前。

誰かが無事だとわかるとわかりづらい顔で俺と一緒に安心していたお前。

誰かが傷つくと微かに傷ついた顔をしたお前。


お前は自分の事心無いモノだと思ってるけど、そんなヤツが誰かを想ってそんな顔する訳ない。


お前は誰かに教わったり貰ったりもしてないのに人を想える凄いヤツなんだ。


だから人形ちゃんも一緒なんだろう。

狩人の夢の爺さんも最初は仏頂面でそっけない感じだったけど、俺がドジばっかりするから最期は笑って消えた。

そんな所に一人にさせたくないからお前は人形ちゃんを連れて来たんだろう。


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「アレを消せ。」

言われた事を一瞬理解できなかった。

センゴクさんに連れられて入った部屋には大将候補のサカズキさん、クザンさん、ボルサリーノさん。

それにおつるさんとガープ中将までいて思わず身体を硬くしてしまった俺に下された命令はそれだった。


━━━━何を、言ってる…?


曰く、アレは世界に害をもたらす。俺ならばアレを消せる。隙をみてやれ。


そんな事を言われた。わからない。何を言っている?

震えた声で善処しますとしか俺には言えなかった。


部屋から戻ってセンゴクさんに問い詰める形になってしまった。


センゴクさんはなにも応えてくれなかった。


それが、賛成も反対もないソレはセンゴクさんとおつるさん、ガープ中将の答えだと雄弁に語っていた。


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ローを見た時アイツを思い出したのは、思い出してしまったのは、似ていると思ったからだ。

世界から弾き出されて消滅を願われてしまった者。

アイツとローの違いは与えた存在がいるかどうか。


ローは家族が不当な理由で理不尽に害された事で世界を壊そうとした。

アイツには何もなかったから世界をどうでもいいと感じた。


可哀想なヤツなんだ二人共…


俺は海兵に向いてないとアイツは俺に言ったが、俺の方こそお前は海軍にいるべきじゃないと言いたい。

ローも、お前も自由だ。自由になるべきだ。


何者にも縛られずに二人が自由になってくれればいい…

ローとの旅の最中ずっと俺はそう思い続けていた。



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