(トレウマ、微セン注意)

(トレウマ、微セン注意)

トレエスに脳ミソ焼かれまん民

※注意

1.トレウマの幻覚ssです。

2.内容が内容なので、気分を悪くする人もいるかも知れませんので自己責任でお願いします。

3.エースもトレーナーさんもこんなんじゃねぇだろ。という心としょうがねぇだろ、見えたんだから。という相反する心を深夜テンションで回しながら書いたので突っ込みどころ満載だと思います。

4.長いです。

以上のことをご了承の上で暇な時にでも呼んでください。



今日、うちに家族が増えた。

いや正確には増えることがわかった。


既に結婚してから半年近く経っている。

最近はトレーナーさんと呼ぶことも無くなって、奥さんが板に着いた気もする。

当然済ませる事は済ませてるし、旦那もそう言うことには協力的だ。

最近、少し体が怠かった。正直張り切りすぎていたから、そっちの影響の方かな、なんて思っていたりもした。

だけど熱とかはなくて、ただ吐き気とかも出てきたからひょっとして、なんて思って。検査薬買ってきたら『そう』だったから。

だから今日病院に行ってきた。そしたら1ヶ月半だと言われた。不思議と実感は無かった。ただ、茫然とへー、あたしお母さんになるんだ。ってどこか他人事みたいな気でいた。


病院を出て、とりあえず母ちゃんには報告しておいた。

母ちゃんは、あたしが母親になることと、自分が祖母になることに感慨深そうだった。そして「これから出産まで大変だけど、どうやって出産を迎えるのか。こっちに帰ってくるのか、あっちの実家にお世話になるのか。出産した後どうするのかとか、あんたもちゃんと旦那さんと話しなさいよ。」なんて釘を刺された。

ただ、あたし自身もいまだに実感がないから、「ああ、うん。」なんて気のない返事をしてしまった。

そしたら母ちゃんがため息をついて、「・・・まあ、あんたがもし、どうしようもなかったりしたら言いなさい。母親としてはあんたの先輩なんだからね。いつでも頼りなさい。」って言ってくれた。余計な心配をかけちゃったかな。

「ああ、分かったよ。ありがとう。」素直にお礼を伝える。

「そういえば、旦那さんには?もう伝えてるの?」

話を変える様に母ちゃんが聞いてくる。

実は、体調が悪いこと以外、まだ旦那には伝えていなかった。まあ、まだ確定した訳じゃなかったし、あまり変に心配させたくなかったからだ。

その事を伝えると、また心配そうな声で言われる。

「まあ、それも悪いとは言わないけどね。あんたら夫婦とあんたらの子供の事なんだから。ちゃんと、夫婦で共有して、二人で決めなさいよ。まあ、あの人なら大丈夫だとは思うけど・・・。」

「大丈夫、分かってるよ。取り敢えず向こうの両親にも連絡するから、じゃあ、またな。」

とても心配してくれているのは分かるけど、これ以上は少し愚痴っぽくなる気がしたから電話を切った。


その後、向こうの義両親にも報告した。電話口でとても喜んでくれていた。また、何かあったら頼って欲しいこと、息子を頼むと言われて、少し恐縮しながらお礼を言った。


そして何となくフワフワした気分のまま、家の事をして、夕飯の準備を済ませて、旦那の帰りを待つ。

テレビでは、大家族の特集をやっていた。

いつもなら、楽しそうだな、幸せそうだな。あたしたちもああなりたいな。なんて思いながら見てたのに、今日は何故か見たくなくて、チャンネルを変えた。


そろそろ、旦那が帰ってくる時間になった。

あの人が帰ってきたら、お腹に子供がいるって事を伝えよう。

なんて言葉で伝えようか。あの人はどんなリアクションしてくれるのかな?なんて事を考える。

そうしてると、何故か急に心がキュッと締め付けられた。母ちゃんにも、義両親に言ったときにも平気だったのに、旦那に言うって考えると、突然母親になるって言うことの実感と、あの人がどんな反応をするのかっていう事への不安が、いきなり襲ってきた。


喜んでくれるのかな?あたしは母ちゃんみたいになれるのかな?そんな嫌な考えが突発的に頭の中でグルグル回りだして、パニックになっていた。

そんな状況で、玄関の鍵を開ける音がした。

旦那が帰ってきた。でもあたしは動けなかった。

いつもならあたしが玄関まで迎えに行くのに、今日は行かなかったから、「エース?どうしたの?」って声が飛んできた。

旦那がリビングに来る。

「トレーナーさん、あたし、あたし・・・」

あたしは言おうとしていた事がある筈なのに、簡単なことなのに、言えなくて。気付いたら泣いていた。


旦那は慌てて、あたしを宥めてくれたけど、涙が止まらないし、何も言えないままで。

そんなあたしを、スーツ姿のまま、優しく抱き締めてくれた。何も分からない筈なのに、あたしが落ち着くまで、そうしてくれた。


「エース、落ち着いた?」

旦那が優しく聞いてくれる。

「うん・・・」正直、まだ頭は混乱してる。でも大好きな人の腕の中にいると、少しだけリラックスできた気がした。

「何が有ったの?」旦那が優しく続ける。

「っ!」言おうとするとまた、詰まってしまう。そしたら旦那は、あたしの頬を撫でながら「もしも、エースが言えないこと、言いたくないことなら言わなくても良いんだよ?」なんてさらに優しい声で言う。

違う、そんなんじゃない、筈なのに。言葉が、出ない。

「でも、覚えておいて欲しい。」旦那があたしの目を力強い眼差しで見ながら言う。

「それでも俺は君の、カツラギエースにとっての『エース』だってこと。例え何があったとしても俺は君の味方だし、君を愛してるよ。」

「──だって俺は、君の夫だからな!」って笑った。

あたしのトレーナーさんだった頃と、何も変わらない。ただ、あたしを信じているぞ。って確信できる、優しくて温かい、あたしの大好きな目で、あたしを見ながら、笑ってくれた。

そしたら、また涙が出てきた。今度は熱い、今までの物を全部流してくれるような、そんな涙が。

そしてそのまま──「う゛わ゛~ん゛!ドレ゛ーナ゛ーざ~ん゛」──旦那に抱きついた。

旦那はまた、優しく抱き締めてくれた。

なんとか言葉を絞り出す。

「あたし、あたし!本当にお母さんになれるのかな?母ちゃんみたいになれるのかなって!トレーナーさん、喜んでくれるかな?皆みたいに幸せになれるかなって!そう思ったら!不安で!怖くて・・・ごめんなざい!」伝わってるのかどうかも分からない。でもとりあえず言えることを出してみる。

旦那はポカーンとした顔をしていた。そして「ええ!?うーん、うん?」って感じで、凄く困惑してたと思う。それでも理解してくれたみたいで、「!!!!!????」突然凄くビックリした顔をした。そして恐る恐るあたしに聞いてきた。


「エース。・・・もしかして、いるの?赤ちゃん」

あ、そう言えば結局肝心な所を言ってなかった。

「あ、うん。トレーナーさん。お父さんになったよ」

なんでだろう、さっきまで言えなかったことがスラスラ言えちまった。多分さっきから旦那の顔が福笑いみたいにコロコロ変わってるからかな。今はなんというか、そう「へー、俺お父さんになったんだ。」って顔かな。


「!!!!?!????!??!!!!!!??」


あ、凄く驚いた顔してる。そして

「え、俺お父さんになったの!?」

「ああ!そうだぜ!」あたしの方が冷静に、普段通りになって来た。

何でだろうな?さっきまでの不安が嘘みたいに、今なら旦那のリアクションが予想できる。それもそうか、旦那は何も変わってない。あたしが勝手にネガティブになって、混乱してただけなんだから。あたしが大好きなこの人は、絶対に喜んでくれるって。今ならそう、はっきりと言える。

そしてその旦那は「マジか、俺がお父さんか~」って言いながら「え、じゃあエースがお母さんじゃん。ママエースじゃん」なんて言ってる。・・・それはちょっと良くわかんなかったけど。


まだ実感が湧いてなくて、多分病院で結果を聞かされた時のあたしと、同じ感じなんだと思う。ただ、それでも本当に喜んでくれているのは分かる。

そんなことを思っていると旦那に抱き締められた。

不意打ち気味だったので少しビックリしてたら、ガバッと顔を離して、

「いや~でも良かった~!エースの身に何かあった訳じゃなくて!本当に良かった!いやある意味凄いことがあったんだけど!」って言った。その目には少しだけ涙が滲んでた。きっとそれは、嬉し涙だけじゃない。

・・・そうだよな、家に帰ったら、嫁が出迎えてくれなくて、呼んでも返事もなし。部屋に入ったら突然泣き出して、何も言わない。

心配だし、不安になるよな。

あたしだってもし、この人がそうなってたら、きっと心配で、不安でたまらないと思う。

でもこの人はそれを尾首にもださないで、あたしを優しく抱き締めてくれた。あたしに話さなくても良い、って言ってくれた。──ああ、本当にあたしは愛されてるんだな。とそう実感できる。でも、だからこそ。


昼間、母ちゃんに言われたことを思い出す。


『あんたもちゃんと旦那さんと話しなさいよ。』

『あんたら夫婦とあんたらの子供の事なんだから。ちゃんと、夫婦で共有して、二人で決めなさいよ。』


ああ、今ならあの時、母ちゃんが言いたかったこともわかる気がする。

言葉で言わなきゃ伝わんないよな。なんてありきたりだし、分かってたつもりだけど。今はその言葉の重みを実感してる。

子供ができたことで不安に思うこと、のしかかる責任の重さ、期待、これからの暮らし。多分色々なことを考える時があると思う。でも、もしもさっきまでのあたしが、そういった場面になった時にそれを全部旦那に言えるのか?多分言わなかっただろうな。


もしかしたらこれは普通の夫婦だったら、皆やってることなのかも知れない。あたしは母親になる前に、妻として、未熟だったんだ。

今は、そんな風にも思える。だから──


「なあ、あんたにお願いがあるんだ。」

旦那が少し離れてあたしの顔を見る。

「あんたはさっきあたしに、言えないなら、言いたくないなら、言わなくても良いって言ってくれただろ?」

旦那は黙って頷いた。

「そう言って貰えた時に、本当に嬉しかったんだ。ああ、あたし愛されてるんだなって。」

「でも、多分それじゃダメなんだ。あたしはきっとこれからも、不安になったり、悩んだりすることがきっとあると思う。その時にはまたさっきみたいになるかも知れない。」

「でもあたしは、あんたが話を聞いてくれたから。理解しようとしてくれたから、立ち直れたんだ。だからあんたにはこれからも、聞いて欲しい。あたしの思いを、あたしの悩みを。これからは、変に気を使うんじゃなくて、何があった?って聞いて欲しい。絶対に、答えるから。上手く言えなくて、余計に苦労させるかも知れないけど。それでも答えるから、そしたら一緒に考えて欲しい。そしてどんなことも、二人で決めたいんだ。」

「あんたなら、それができるって思うから。あたしを日本のエースにしてくれたみたいに。あたしにさっき寄り添ってくれたみたいに。」

旦那は、何も言わない。ただ黙ってあたしの言葉を待ってる。

「あたしはあんたを信じてる。あんたとならきっとできる。・・・だから約束して欲しいんだ。」

「・・・ああ!約束するよ!俺は絶対に君を1人にはさせない!君の心に、応えてみせる!」旦那は力強く、そう答えてくれた。


ただ──

「なら一応言っておくが、あんたもだからな?」

「へ?」

「当然だろ?あんたが悩んでるなら、あたしはそれを知りたい。あんたが何かして欲しいなら、それに応えたい。あんたが悲しいなら、寄り添いたい。あんたが嬉しいなら、一緒に笑いたい。」

「だから、あたしに隠し事とかしないで欲しい。子供もできて、何もかもが今まで通りとはいかないかも知れないけど。」

「それでもあたしは、あんたの事が聞きたいし、それを一緒に考えたい。・・・夫婦ってそういうもんだろ?」

旦那が少し驚いたような顔をして、でも直ぐに真剣な顔であたしを見てくる。

「ああ、それも約束するよ。俺は君に隠し事をしない。何かあったら必ず言う。・・・でも大丈夫なのか?」

まあ、さっきまでの事を考えたら全面的に直ぐ信じれないと思う。でも

「ああ!だってあたしはあんたの妻だからな!」

そう、あたしたちは夫婦なんだから。

きっと、大丈夫だってそう信じてる。


ぐ~、とお腹がなる。

そうだ夕飯食べてないんだ。

「ゴメン、あたしのせいでご飯冷めちゃったな。直ぐ温め直すから、その間に着替えてくれ」

旦那のスーツもあたしの涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていたから、後で染み抜きしないとな。


ご飯の再支度も済んで、椅子に座って待っていると旦那が戻って来た。

対面に座──らないで、あたしの後ろに立って、抱き締めてきた。

「?どうした?」

そう聞くと、旦那は少し躊躇った素振りを見せたあと、真剣な顔で言った。

「いや、さっき、エースが泣きながらトレーナーさんって久しぶりに言ってくれただろ?メチャクチャ可愛かったし嬉しかったから、これからもたまには言って欲しいなって」

・・・は?。

「いや、ほら最近あんた呼びばっかだったから。少し寂しかったし。」

いや、確かに夫婦になったし、既に他の担当いるからって、最近呼んでなかったけどさ!今言うか!?

「隠し事しないで?って言われたし?・・・ダメ?」

顔が真っ赤になっていくのを感じる。

多分これ以上言われるとあたしがおかしくなると思うから、口を塞いだ。

そっちが約束だっていうなら、こっちだって約束だからな、あたしがしたいことに応えてもらっただけだ。


んでふさいだ口を離して、言ってやった。


愛してるぞ、トレーナーさん!



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