トリックスター・裏フェスティバル
ベッドの上に座って周りをぼーっと見渡す。
間仕切り壁を取り除いて数部屋を一つにしたこの部屋はなかなか広い。
そんな部屋に大きなベッドがいくつも並んでいて、そこには私が招待した人達が思い思いに寛いでいる。
その中の一人が私に声をかけてきた。
「キャンディナさん、そろそろ時間ですけど大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だよ。ライブの後だからちょっと休んでただけ。そろそろ始めよっか」
始まるのは私––キャンディナ主催の乱交パーティー。
トリックスター裏ファン感謝祭。
今回で十回目の開催という大台に乗るこのイベントは、ライブツアー最終日公演の後、深夜零時からこの家で行われるのが通例となっている。
最初は二、三人ファンの男性を招いて夜通しセックスするだけだったが、最近は女性の参加者も増えてきて十数名集まることも珍しくなくなった。
今回の参加者は全部で十三人。
私の視界には見慣れたファンの姿が映っている。
男性が八人、残りは女性だ。
これなら男性があぶれて暇を持て余すことはなさろうだ。
彼らは皆一様に下着姿で、既にトランクスを大きく膨らませている人もいる。
服を着ているのは私だけだ。
身に付けているのは今日のライブで使った衣装。
腰をコルセットできゅっと締め付けた、黄色と黒と白を主とした衣装で、白の手袋と黒のタイツがセットになっている。最近の衣装では一番のお気に入りだ。
ただ今はタイツはわざと股間部分に切れ目を入れている。
そのほうがこの後の都合がいいからだ。
さて、そろそろ開催時刻だ。
適度の焦らしはスパイスとなるが、必要以上の我慢はストレスでしかない。
「皆今日は来てくれてありがとう! ライブはどうだったかな? 楽しかったかな?」
「ライブ最高でした!」
「キャンディナさんのダンスいつ見ても最高です!」
ゲストたちが思い思いにライブの感想を声に出して、私に伝えてくれる。
それがたまらなく嬉しい。
生の声に勝る称賛はないと私は思う。
「楽しんでくれたみたいで私も嬉しいよ! この後も一緒にもっと愉しもうね!」
「おーっ!」と一斉に合いの手が上がる。
準備は万端のようだ。
「いくつかルールがあるけど、分からなかったらそこの壁に貼ってあるからちゃんと読んでね? あと生は禁止だからね? ゴムは着けるのはマナーだよ。生でするときはちゃんと相手の許可をもらってからだよ? 勿論私は生でも全然オッケーだけど」
スカートの奥に隠された脚の付け根を指差すと、そこに視線が集中する。
熱い欲望に塗れた視線が突き刺さって、身体の奥が熱くなる。
「ゴムが切れたらそこのサイドチェストにいっぱいあるから、遠慮なく使ってね。クローゼットの中には電マからクスコまで色んな道具があるから自由に持っていっていいよ」
道具はこのイベントに欠かせない。
身体一つでは朝まで交わり続けるのは難しいし、何よりアクセントとしても重要なのだ。
そして、意外なことに道具の中でもクスコは特に人気だ。
男性は普段見ることができない膣の奥にある子宮に興奮するらしい。
前回はクスコで膣奥を晒された挙句、襞の隙間にある滓まではっきりとわかるよな高画質で、全員の前に子宮がぱくぱくと子宮口を開閉させながら精液を飲み込む様子をプロジェクターで全員の前に上映された。
しかもそれがなかなか好評だった。
ファンの皆に子宮をじっくり観察されるのも嫌いではないが、自分も見る側に回ってみたい。
「あっ、そうだ。前回好評だった疑似射精機能のあるディルドーもあるから」
道具の紹介を続けながら、手にもったディルドーを掲げる。
私が女性参加者を持て成すためにディルドーは必須だ。
貝合わせもいいが太くて硬いディルドーがあると、女性の満足感は段違いだ。
特に子宮を叩き潰すように勢いよく突かれるのが好きだ。
内臓を潰される苦しさと快感が混ざり合うのがいい。
今手に持っているのは、私の胴体位の太さと長さのサイズだ。
今回用意したディルドーでは比較的大きい部類に入る。
無論一般男性のそれより小さいサイズもあるし、大きいものは覇王龍ズァークや黒衣竜アルビオンのチンポくらいの大きさのものまである。
なんで知ってるかって?
それは本人に見せてもらったことがあるからだ。
ズァークのときは軌跡の魔術師ちゃんが、アルバス君に見せてもらったときはエクレシアちゃんが一緒にいたから実物を味わうことはできなかった。大きさや太さを測っている時、彼女たちはどちらも凄い顔で私の事を睨みつけてたのを覚えている。
「それじゃあ一番最初は毎回恒例! 私キャンディナとのおちんぽおまんこ握手会だよ。くじで引いた番号の人はベッドまで来てね!」
感謝祭を始めるべく、くじ二枚を引いて番号を呼びあげる。
呼びあげた番号が割り振られた二人がベッドの前に来る。
男性と女性だ。
「今日はこの二人が最初に私とえっちできる権利を得ました! 拍手~」
ぱちぱちと手を叩く音が部屋に響く。
男性はこのイベントの常連だが、くじに当たったのは初めてだ。
女性の方は参加したことは一度もない。
二人ともライブや握手会だけに限らず、ミニイベントにもよく来てくれる熱心なファンだ。
「あれ? 貴方裏ファン感謝祭に参加するのは初めてだよね。ラッキーだね!」
「はい、初めてです。キャンディナさんと一緒になれるなんて夢見たいです!」
彼女は笑顔を浮かべると胸の前で手を組んでそう言った。
緊張しているかと思ったが問題なさそうだ。
初めてなら目一杯愉しんでもらいたい。
「じゃあ、始めよっか。三人とも脱いで脱いで」
二人は残った下着を脱ぎ捨てる。
筋肉が目立つ男性とうっすら脂肪の乗った柔らかさを感じさせる女性の肉体の対比が、私の中の興奮を呼び起こしていく。
平均より大きい彼の肉棒は血管を浮き出させてギンギンに勃起しており、シャワーを浴びた後だというのに濃い雄の匂いを撒き散らしている。
彼女はその肉棒を見て興奮したのか、しきりに両脚をもじもじと動かして懸命に刺激を得ようとしている。秘所からは蜜が垂れており、内腿を伝っている。
私も我慢できず膣奥から愛液が漏れ出ているのを感じる。
「んっ、すごい匂い……。嗅いでるだけでおかしくなっちゃいそう」
ちゅっと肉棒の先端に口づけする。肉棒は口づけに合わせてぴくりと反応してカウパー液を滲ませる。
続いて女性の形のいい乳房の頂点にある桜色の乳首を咥えて、軽く甘噛みした。
彼女はひぃん、と小さく喘ぎ声をあげて頭を大きく仰け反らせた。
両手で彼女の頭を掴み、ゆっくりと私の股座へと彼女の顔を運んだ。
ゲストはシャワーを浴びているが、私はライブ終了後に軽く汗を流しただけ。きっと凄い匂いがするはずだ。
「どう? くっさいでしょ? 貴方はここを舐めるの」
「いいんですか? キャンディナさんの大事なところを好きにできるなんて」
「いいんだよ? いっぱい舐めてね?」
裂けたタイツの下にある下着をずらす。
人差し指と中指で愛液を垂れ流している秘所を大きく開いた。
雌の体液と汗の混ざった匂いはきっと耐えがたいものに違いない。
だが、彼女はそれを気にすることなく秘所を舐め始めた。
ぴりっとした快感が腰に走って、意志とは関係なくびくんと身体が跳ねる。
「んっ、うぅっ。いいよっ、上手っ」
ぴちゃぴちゃ、じゅるじゅると音を立てて行われるクンニに細かく私の体が痙攣する。
そんな私を見て興奮したのか、彼は肉棒を私の頬に触れるか触れないかといったところまで近づけてきた。
むわっとした雄の匂いが鼻を刺激して、お腹の奥から熱く切ないものが溢れてくる。
ちゅっ、と音を立てて亀頭にキスをして両手で肉棒を優しく掴んで、擦る。
ぴくぴくと動く肉棒をゆっくりと焦らすように手コキを続ける。
すると鈴口から少しずつカウパーが漏れ出てきて私の手を濡らしていく。
下では彼女が匂いをものともせずに、一心不乱に秘所を舐め続けている。
舐めるだけではなく、時折指を私の膣内に刺しこむと折り曲げたり円を描いたりして浅いところを攻めたててくる。
「ひゃうっ!?」
突然、クリトリスを強く弾かれて気持ちよさで頭が白く染まった。
その快感に耐えきれず身体が大きく跳ねてしまう。
男根を握っている手にも力が入ってしまったのか、その持ち主から苦しそうな呻き声が漏れた。
こちらを窺うように脚の間から覗いている彼女の顔を見て、思わず笑みを浮かべてしまう。
やってくれたな、という思いを込めて犬のように秘所を舐めている頭を太腿で強く挟み込む。
「気持ちよかったけど、敏感なところを乱暴に扱うのは駄目かなぁ? 罰として私がイくまでこのままだよ?」
息が苦しいのか彼女は太腿を手で叩いているが気にしない。
やがて諦めたのか太腿を叩く音が消え、代わりに股座から畳みかけるような快感が襲いはじめてきた。
大きな水音を立ててクリを吸ったり、大陰唇を甘噛みされたり、尿道に舌を刺し込まれたりとその刺激は多種多様。
何が来るか分からない期待感と快感。
攻められるところが全部気持ちよくて、腰がガクガクと壊れたように震えて浮いてしまっている。
息は荒くなり、新鮮な空気を求めて浅い呼吸を繰り返す。
そろそろ私も限界が近い。
これ以上の快楽に襲われたら、二人を愉しませるどころではなくなってしまいそうなほどに。
肉棒のほうも限界が近いらしく、だらだらと分泌されているカウパーが泡立って肉棒と私の手を穢している。
片手を肉棒から離して、そのまま人差し指の爪を立てるように鈴口を刺激する。
びくんと彼の腰が跳ね、生臭いカウパーがだらだらと溢れ出る。
最後の一押しを与えるべく、肉棒を口で咥えて頭ごと前後させる。
口内に溢れていた唾液は、ローションなんていらないとばかりに潤滑油の役割を果たしている。
舌で竿の血管をなぞり、カリ裏をねっとりと舐め上げてから、鈴口に舌捻じ込む。
カウパーの苦みにが舌を刺激するが、それを唾液ごと飲み込んでいく。
秘所を舐め続けている彼女の頭を空いた両手で強く股座へ押し付ける。
彼女の舌の動きが激しくなり、痺れるような快感が腰に走る。
「んぅ、むっ、はぅ」
もう少しでイける。そう思った時だった。
男のごつごつした両手が私の頭を掴み、勢いよく前後に揺らし始めた。
何が何だかわからず、喉の奥に亀頭を叩きつけられて苦しさが溢れてくる。
目からは涙が零れ落ち、えづきも止まらない。
さらに追い打ちをかけるようにアナルに刺激が走った。
それはアナルに指が挿入されたもので、女性の細い指だというのに強い圧迫感が襲ってきた。
腸内で指が曲げ伸ばしされるたびに腰がびくんびくんと跳ねて、秘所からは潮が撒き散らされる。
上からも下からも苦しさと快感が絶え間なく襲ってくる。
「キャンディナさん射精るっ!」
「んっ!んぅぅぅぅぅっ!」
「~~~~~ッッッ!」
彼の射精に合わせて、秘所とアナルを一際強い刺激が襲い、ついにイってしまう。
イった衝撃で全身が激しく痙攣して、股座にあった彼女の頭を脚で思いっきり挟み込んでしまう。同時に大量に撒き散らされた潮は彼女の顔をびっしょりと濡らした。
口腔内には大量の精液が吐き出されて、唇の端からは精液が漏れ出して頬から顎を伝ってベッドに落ちていった。
もったいなくてなんとか飲み込もうとするが、濃い精液は喉に絡みついてなかなか胃へと落ちていかない。
二度、三度と分けてようやく口腔内の精液を全部飲み込んだその時。
「げぷっ♡」
胃から溢れた空気がげっぷとなって口から出てきた。
恥ずかしくて顔が真っ赤になる。
ベッドは私が撒き散らした潮を吸い込み切れず、小さな水溜まりとなっている。
その中に彼女は倒れ込んで浅い息を繰り返している。
「二人とも、やってくれたなぁ?」
「すみません、私キャンディナさんの感じてる顔が可愛くって」
「俺も咥えてるキャンディナさんを見てたらつい」
私も二人をもっと気持ちよくしてあげなくては。
何かないかと辺りを見渡すと、枕元に先程紹介した疑似射精機能付きディルドーがあった。
これだ。
思わずにやりとしてしまう。
ようやく起き上がって、ベッドの上でぺたんと座っている彼女をベッドの水溜まりの上に押し倒す。
「ねえ君、そのディルドーとって?」
困惑したように返事をする彼からディルドーを受け取る。
改めてみるとこれでもすっごく大きい。
挿入されたら私なら間違いなく胃の中身を吐き出してしまうだろう。
今なら口から精液を噴水のように吐き出せること間違いなしだ。
この会場にいるファンならそれでも喜ぶだろうが、今は違う。
押し倒している彼女にこれを捻じ込んで、声が枯れるまで喘いでもらいたい。
装着し終わるまで彼女はじっとこちらを見ていた。
いや、こちらというよりはこのディルドーを、だろう。
その顔は熱に浮かされたようにぼーっとしている。
「やられっぱなしってのもなんだから、これで貴方のこと愉しませてあげるね? 君はこっち。羽コキなんて滅多にやらないし、できないよ?」
ディルドーで彼女の割れ目をなぞりながら、私の羽を指し示す。
羽をぱたぱたと動かし、こっちだよと誘導する。
手や口はよく使うが羽は乱暴に使うと痛いのもあって滅多にこういったことには使わない。
出血大サービスだ。
一度精を吐き出したにもかかわらず、彼の肉棒は先程以上にガチガチに勃起している。
唾液と精液に塗れていてローションは必要なさそうだ。
そんな肉棒を片側の二枚の羽で優しく包み込み、細やかに上下前後左右に自由自裁に振動させる。
うっ、と息を呑む声が聞こえた。
彼には初めての感覚を思う存分愉しんでほしい。
一方、彼女は潤んだ目でじっとディルドーを見つめている。
「これ、欲しい?」
「は、はい! キャンディナさんのおっきなそれでいっぱいシてほしいですっ!」
「素直なのはいいことだね。じゃあ挿れるから、気絶するまでシてあげる」
言うと同時に彼女の愛液で濡れそぼった膣口にディルドーを叩きつけるように力強く挿入した。
「オ゛ッ゛!」
挿入の衝撃でぽっかりと開いた彼女の口から赤い舌が突き出た。
その舌を指で摘まんで、軽く引っ張る。
声にならない悲鳴が彼女の喉から空気の振動となって溢れ出る。
お腹は挿入されたディルドーでぽっこりと膨らんでいて、もはや彼女の元の体型は見る影もない。
ゆっくりとディルドーを引き抜いて、再び強く叩きつける。
段々とピストンを早くしていく。
速度が上がるにつれて彼女の目には涙が溜まっていく。
「あ゛―っ♡ あ゛っ♡ オ゛ッ♡」
最早言葉を発することができない彼女を見て満足感が湧き出てくる。
「キャンディナさんっ! これっ駄目です! 気持ち良すぎてすぐ射精ちゃいますって!」
「んふふっ、いいよ? 射精しちゃっても。いっぱい羽にかけて。もっとこすこすしてあげるから」
「駄目です射精ますっ!」
びゅるびゅると大きな音を立てて羽に精液が吐き出される。
吐き出された精液を羽同士で擦り合わせて、さらに肉棒をしごきあげる。
快楽に彼の顔が歪み、腰もがくがくと震えている。
感じている顔が愛しくてイってしまいそうになる。
「ほら二人とも気持ちいい? これからもっと激しくするからね?」
「も゛う゛っ! だめぇっ! これいじょうはげしくしないでぇっ!」
「駄目ですっ! もうこれ以上擦られたら精液全部出ちゃいます!」
二人の声を無視して更に勢いを増す。
彼女の膣口は愛液が泡立ってぐちゅぐちゅと淫靡な音を部屋中に響かせている。
彼の肉棒は鈴口からはカウパーが壊れた蛇口のように垂れ流しになっている。
最後の一押しだ。
思いっきり腰を引いてありったけの力で腰を打ち付け、肉棒を羽で力いっぱい締め付ける。
「「~~~~ッッ!!」」
二人は同時に絶頂に達したらしく、下からは潮が、背中からは精液が私の体に叩きつけられた。
それらの熱さを感じたことで私も続いて絶頂を迎えた。
「だめだめだめだめぇっ! 私もイっくぅぅっ!」
今日一番の快感で頭の中が一瞬真っ白になる。
身体が大きく仰け反って、細かく痙攣する。
イった私が激しく痙攣するのに合わせて、ディルドーから疑似精液が吐き出された。未だにディルドーを咥えたままの彼女の膣内はあっという間に疑似精液で埋め尽くされて、膣道に収まりきらなかった分の疑似精液がディルドーとの隙間から溢れ出てきた。
ようやく快感の波が落ち着いた。
いつの間にか組み敷いていた彼女の上に倒れ込んでいた。
全身を心地良い疲労感が襲ってきているので、それに身を任せて脱力する。
衣装は精液まみれで、つんとする匂いに全身が包まれている。
ちょっとやりすぎたかもしれない。
ふと、彼女の顔をみると気絶しているようだ。
目はほとんど裏返っており、辛うじて光彩が瞼の奥から見える。
口はだらしなく開いていて、端の方からは唾液がシーツに零れ落ちていた。
では彼の方はと目を動かすと、彼もベッドに倒れ込んで深呼吸を繰り返していた。
視界の端では私達のセックスを見て興奮したのか、他の参加者も思い思いに行為にふけっている。
夜は始まったばかりだ。
もっと愉しまなくては、と私は気絶した彼女を起こすべく頬を叩いた