宝太郎とラケシスがデートする回

宝太郎とラケシスがデートする回


※注意 本編と異なる出来事や関係性があり CP要素あり


前回の仮面ライダーガッチャードは

冬にもなり鍋パーティーをやる事になった宝太郎達。食材の買い出しでスパナとラケシスがバトルをしたり,りんねとクロトーが調理対決をしたりと紆余曲折ありつつ 宝太郎とオリジナルの鍋がガッチャーンコ!

宝太郎のアレンジは微妙な味に終わったものの場は盛り上がり楽しいひとときだったはずだったのが… どこか一人浮かれない顔をした女性が…

〜〜〜〜〜〜〜

金曜日の夕方、キッチンいちのせに 「ただいまー!」

と朗らかに響き渡る声がした。 彼の名は一ノ瀬宝太郎。仮面ライダーガッチャードに変身するごく普通の高校生だ。

「ご飯作るから先に荷物置いてきなさいよ。」「おー、宝太郎帰ってきたか!」と彼の母親・珠美と店の常連さんが声を掛けてきた。

「分かった!今日は試験大変だったな〜」と言いながら自室に戻りリュックを置いた。すると、学習机の上にあるメモに気づき内容を読み上げた。

(今度の土曜の9時 襟草駅の西口広場に“一人”で集合しなさい!ケミーもダメ!)

「こんなメモ誰が置いたんだろう。今度の土曜って明日じゃん!急だな〜。」

「ホッパー!」

彼の相棒・ホッパー1が警戒するような声を出しながら宝太郎の顔に飛びついた。

「なにか怪しいのはわかるよ!だけど、明日ホッパー1は連れて行けそうにないかな。」と言いなんとかホッパー1を安心させながら

「でも、ケミーの事知ってるなら九堂かスパナか先輩かクロトーかラケシスって事だよね?誰なんだろう?」

「お母さん!」と店のテーブルに戻り明日誰かに呼びされる事を伝えた。

「部屋にあったって事は宝太郎の事知ってる人なんでしょう?後でお金置いておくからなにかあったらすぐ電話する事ね。」と珠美が返し、

「ありがとう。とりあえず明日駅に行ってみようと思うよ。」と宝太郎は応えた。

〜〜〜〜翌朝〜〜〜〜

灰色のパーカーに身を包み、襟草駅の広場へと着いた宝太郎。

「もうすぐ約束の時間か〜。一体誰なんだろう?」とメモを見ながら言った途端

「あら?ちゃんと約束を守ってくれましたわね♪」と後ろからお嬢様言葉で話す女性の声がした。

「その声はラケシス!?」と宝太郎は振り向くと

敵だった頃の名残であるいつもの黒い服装とは雰囲気の違うベージュ色のワンピース姿のラケシスがこう答えた。

「あのメモを書いたのは私ですわ。昼間課題作っている間にこっそり置きましたの。」

「そうだったんだ。服とか雰囲気がいつもと違うよね?似合ってて可愛いよ」 「あら、ありがとう。普段の格好(本編での服装)のままだとあまりにも目立ち過ぎますわ♪」

宝太郎は「いつも家で会ってるのに今日はどうして?」とふと疑問を投げかけると

「二人きりで会う機会が欲しかったですの♪」 「二人きりならいつも勉強教えてくれてる時や寝る時に…」 「あれはあくまで勉強の一環。まだプライベートでは二人きりになってないですわ。さぁ、早く行きますよ!」 「ちょっと待って!」と宝太郎の腕を掴みながら街へと繰り出した。


〜〜〜キッチンいちのせ〜〜〜

「一ノ瀬!新種のケミーが出たって!捕獲しにいかなきゃ!」と少女の声が入店と同時に響いた。

彼女の名は九堂りんね。宝太郎の同級生だ。

「あれ?一ノ瀬は?LINEしたけど返事がない…」

「宝太郎なら…誰かに呼ばれたから駅に出かけてくる言ってたな」と返事を返したのかつての敵であり今日の開店の準備をしていたクロトーだった。

辺りを見渡すといつも宝太郎が携帯しているはずのホッパー1,ハピクローバー,アントルーパーが居た。 「ホッパー!」 「ハピ〜!」 「ルーパー!」と嬉しそうに跳ねるのを九堂は見て

「おかしい…いつもケミーの事が好きな一ノ瀬がケミーを置いて行くなんて…」 「今から駅に向かわなきゃ…なにかあったらまずい…」と言いその3体のケミーを持って九堂は店から飛び出した。 「気をつけろよー」とクロトーは投げかけたが彼女の耳には既に届いてなかった。


〜〜〜服屋〜〜〜

道中

「ラケシス、今日は何をするの?」と宝太郎は彼女に質問を問いかけるのを聞くと、 「針馬っていう私達のファンの人に相談したら今日の為にデートプランを練り上げてくれましたの♪」と答え 「針馬さん…僕に襲いかかってきた錬金連合のスパイの人だ!」 「あの時恐ろしい事を企んでいたけど…こういう事もしてくれるんだ…」と恐ろしい人の意外な一面を知った宝太郎だった。


そして、ラケシスに誘われるがままに向かったのは駅の通りにある服屋。

「どれもおしゃれな服だね!」と宝太郎が目を輝かせると

「まずは、貴方の服を買ってあげますわ♪」と彼女がここでの目的を話した。

それに対して、 「え?いいの!?ありがとう!」 とすかさず感謝を述べた。

直後に 「いらっしゃいませー!」と服屋の店員さんが、2人に声を掛けてきた。

「今日はどのような予定で?」

「彼の服を探しにきたのですよ?」

「彼氏さんでしたか!」

「いや…彼氏じゃなくて…友達というか先生と生徒…」と宝太郎が否定しかけると

急に「今日は友達でも先生じゃないですわよ…」と横からヒソヒソ声で止められて「はい…」と言うしかなかった。


「こういう感じのが良さそうだと思いますね。どうでしょうか?」

「これが似合いそうですわ♪」

「中々着慣れないかなぁ…」

「なら、これならどうでしょうか?」

「どうかな…?」

「いいですね。似合ってますよ。」

「と〜〜っても似合ってますわ♪」

「じゃあこれにしよう!」

という3人の試着のやり取りが続いた後

宝太郎が「勉強以外もなんでも知ってるんだね!」と言った。

「身だしなみを整えるのは当たり前。ファッションの流行なら知ってて当然ですわ♪」と返し

「色々流行を追ったりして考えているんだね(だから九堂のお父さんにイケオジとか言ってたんだ…)」って今更妙な所に彼は納得をした。

最後に、買う服の会計をしてもらうとごく普通の高校生には手を出せないような高額な金額だった。

金額を見た宝太郎が「こ、こんなにも高い買い物して大丈夫?」と驚愕しながら問いかけると

「ええ…心配ご無用ですわ♪ あなたの家庭教師の報酬。それと、シスターで沢山お布施してくれる方がいるのですから♪」と微笑みながら彼女は言った。

「って…最後のは本当に大丈夫なやつなの!?」


時同じくして九堂とケミー達が駅に着いた。

「言われるがままに駅に来て探し回っているんだけど…連絡もつかないしどこにも居ないじゃない!」と九堂は頭を抱えながら言ったのを見てケミー達は

「ホッパァ…ホッパァ…」(僕を置いて行くなんて…心配だよ…)

「ハピハピ〜ハピハピ〜♪」(連れ去られたんじゃない〜思い当たるのアイツしか居ないね)

「ルーパールーパー!」(まだ近くにいるはずですよ!)と励まし

「辺りを探してみよう」ともう少し探索する事にした。

〜〜〜カフェ〜〜〜

「服色々買ってもらってありがとう!ってお腹が空いたね」と朝から何も食べてない宝太郎はお昼を食べる事を提案し

「ええ。そろそろランチにでもします?おすすめのカフェがこの近くにありますよ?」 「そこにしよう!」とおすすめするカフェに即決した。


席に付きそれぞれ注文したものを食べながら

宝太郎は「このロコモコ美味しいね!」と口に運び

「この街のありとあらゆるカフェは巡りましたが、ここにして正解でしたわね。」とラケシスは安堵の表情をした。

すると、「今度うちの店でもロコモコ作ってみようかな!」と思い立ったように宝太郎は発言すると

「貴方は余計なアレンジをしていつも料理の味が微妙なんですから…ちょっとはクロトーを見習って腕を磨いたらどうですの?」とやや辛辣な言葉を投げかけ

「練習はしているけどすぐ上達するものじゃないのはわかってるけど…そこは錬金術と同じだよね…」とそれに返した。

「まぁ…その時は試食してアドバイスぐらいは差し上げますわ。ところで、このパンケーキも如何です?食べさせて差し上げますわ。はい口を開けてあ〜〜〜〜」

「一口が大きい!」と困惑した表情で口へと運んだ。大きく頬張ったパンケーキは今まで食べたパンケーキで一番美味しかったそうな。


暫くすると

「ホッパ〜!」(宝太郎〜!)とホッパー1が向かいから店内に居る2人に気付いた。

「どうしたのって…一ノ瀬居た!」 「って隣りにはラケシス?なんで彼女と2人っきりで居るの!」 「楽しそうに話しているし…邪魔したら悪いよね」九堂はどうするか迷った様子で見守り…

跳ねながらホッパー1は「ホッパ〜!ホッパ〜!」(宝太郎〜!気づいて〜!)と

「ハピハピ。ハピハピハピ!」(やっぱり。いつも強引だよねあの雌は。)とハピクローバーはラケシスに毒を吐いたが

「ルーパー、ルーパー!」(騒いだら見つかりますよ!)

とアントルーパーが止めに入ったことで気付かれる事は無かった。


〜〜〜カラオケ〜〜〜

2人はカフェからカラオケ店に移動し九堂達もこっそり後をついた。

「カラオケか〜みんなも一緒に呼びたかったなぁ〜」とふと彼が口に出すと

「ダメですわ!貴方はいつもすぐ色々な人を誘うんですから…」(あと…黒鋼スパナに二度と顔を合わせるのも嫌ですわ)と内心ライバルに怒りをぶつけつつ

「だから今日の事は内緒でしたのよ」とラケシスは今日が2人きりじゃないといけない理由を言った。 それに対して宝太郎は事情を理解した。


「まずは貴方から歌って欲しいですわ」

「いいの?じゃあこれにしよう!」

「♪♪♪」

「素敵な歌ですわ♪」と拍手をして

「次はこれを歌おうよ」

「あら、デュエット曲ですか。初めてですわね 。」

「いつも1人で歌っているの?」と宝太郎が聞くと彼女は頷いた。

すかさず彼はこう提案した。

「クロトーを誘えば良いじゃん!仲が良いんだしさ」

「クロトーには何度か誘ってみましたの… でも、カラオケに行く暇があるなら筋トレと料理がしたいって興味を示してくれませんわ」 「いつも筋トレの話ばっかりですわ」と笑いながら彼女は話した。

「♪♪♪」 「♪♪♪」

「ずっと歌ってみたかった曲だったけど、楽しかったですわ」とラケシス満足げな表情をすると宝太郎が

「今度ははラケシスが歌ってよ」

「では…これにしましょう」

「♪♪♪」

「この曲調と歌声もしかして…」

曲が終わりなにか気付いたかのような宝太郎の表情を見たラケシスが

「なにかお気付きでして?」

「友人の加治木が最近ハマってて勧められたのを聴いてみて、とても綺麗な歌声だな〜って思ってたんだけど…」

「この原曲は君が歌ってたんだね!」

「初めて言われましたね。ご名答ですわ(なのに私の気持ちには全く気付かないのですね…)」

「まだ誰にも言ってなかったの?」

「歌っているのが私とバレて色々な所に目をつけられたらこれからどうなるのかわからないのですのよ… 勿論家庭教師も続けられるのか…」

「なので…この事は2人だけのヒ・ミ・ツですわ♪ 」

「うん。秘密にしておくね!」


時間が終わると、

宝太郎が慌てた口調で 「今日はラケシスに服とかご飯を色々払ってもらったのも悪いし、ここは自分が払うよ!」と止めに入ろうとした。

「遠慮なさらず。今日は私から急に誘った事ですし…」と彼女は言ったが

「大丈夫。渡された分もあるし先に外で待っててよ!」と中々引き下がらず

「仕方ないですわ…外で待ってますよ」と彼の発言を受け入れて外に出た。


カラオケ店の外の向かいで

「一体どうだったのかわからないけど…大丈夫かな?」 「この前、一ノ瀬を誘って出かけた時もラケシスは同じ事も思ってたのかな…?」 「って…なんで今日はこんなにも一ノ瀬の事が気になるの!」

と九堂が言うとケミー達は

「ホッパー?」(宝太郎まだかなー?)

「ハピハピハピ〜」(きっとキスでもしてるんじゃない〜)

「ルパァ!ルーパールーパー!」(キス!?彼女はまだここではしないと思うよ)

と三者三様の反応をした。



〜〜〜海沿いの遊歩道〜〜〜

「ホッパー!」(宝太郎なにかされないよね?)

「ハピハピ〜」(割り込んでしまえ!)

「ルーパー!ルーパー!」(2人の成り行きを台無しにしてダメ!)

「どうしたらいいんだろう…一ノ瀬…大丈夫かな…」と1人と3体のケミーが影でひっそり見守っている中

ビルのライトアップが当たる海を見ながら

「今日はありがとう!楽しかったよ!」と宝太郎は笑顔で言い

「うふふ。楽しんでくれたのなら嬉しいですわ♪」「そんな貴方にとある昔話を聞いて欲しい」とラケシスは提案した。

すかさず「聞かせて!」と宝太郎は言う。

「昔々、錬金術師達によって生み出した3人の女の子が居ました。彼女達は【父親】と家族のように仲良く暮らしていましたわ。」

「だけど、所詮は3人は造られた実験作。後から生まれたもう1人の娘が出来上がった途端に【父親】は娘を連れて逃げ出し、3人は周りから化け物と見做されて捨てられ行くあてもない日々を過ごしてましたの。」

「うんうん」

「そんな3人に手を差し伸べてくれた方がいました。人間の悪意にまみれたこんな醜い世界なんて壊してしまえばいい。自分達の理想の世界を作ってしまえばいい。と教えてくれてその考えに賛同し協力してくれる人も居ましたわ。」

「なんだか…とても暗い話だね」

「3人は指示通り自分達の理想の世界を作るために人間の悪意を利用して行動するようになった矢先、あの【父親】ともう1人の娘にも再び出会いましたの。けど、何一つ言い分なんて聞き入れてくれなかった…しまいにはあの錬金術師達に雇われた猟犬には命を狙われて…」

近くで会話を聞いていたりんねが〈この話もしかして?〉<ホッパァ!ハピ~ルパ~と内心気づいたかのような表情をした。


ラケシスは話を続けて「けど、その内の2人はある少年と出会って考え方が変わりましたの。その少年はいつも明るくて優しくて無理な事でも立ち向かおうとするまるで希望のような存在…」

「って…ここまで言って気づかないとは…」 「ほーんと、鈍感なクソガキですこと。」と軽く罵りながらこう言った。

「そんな酷く復讐に駆られ間違った事とし続けた私達を救ってくださったのは………」

「私達?」と宝太郎はまだ気づいてないのを見て彼女は

一ノ瀬宝太郎、貴方の事ですのよ。」と大きな声で言い放ち

それに対して「えーー!」と内心そんなはずがないと思いびっくりした声を出す宝太郎。

「ええ、改めて想いましたわ。そんな私は貴方の事が一番好きなのですよと…」とすかさず宝太郎をぎゅっと抱きしめたラケシスの瞳は潤んでいた。

宝太郎は頭を撫でながら「確かにやった事はダメだとは思うけど…ラケシスやクロトー,それにアトロポスがが例え【造られた存在】だったとしても僕は3人は立派な人間だと思うよ。僕だって間違った事をしてしまう時だってあるし、その反省を基にして次に活かしていくんだよ!」と続けて

「今日は僕の事を思って色々気を遣ってくれたのありがたいけど、ラケシスは普段通りのままが一番好き!だから、これからも一緒に居てくれたら嬉しいよ!(ベッドに潜り込むのはちょっと…)」と言い

それを聞いたラケシスは「いつも私達の事を気にかけてくれてありがとう…それから明日から課題の量を3倍に増やしますわ♪」と笑顔に変わっていた。

「それだけは勘弁して!」


その一部始終を見ていたケミー達はびっくりした表情を、九堂は

「今度学校で会ったら知らないからね…」

とその場から去り、先にケミー達をキッチンいちのせに返して家に帰った。

その後、クロトーに頼まれた物を買ってキッチンいちのせに帰宅した二人は

「クロトー、今日は楽しかったですわ。」とラケシスが言うと

袋の中身を確認しながら「おかえり二人とも、ちゃんと買ってきたんだな」 「それと、今度私ともデート行ってくれるのか?」と迫ってきて圧をかけるクロトーに対して

「はい…」と声に出すしかなかった宝太郎であった。

彼女達による宝太郎に対して「地獄」はこれからも続く…はず?

fin

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