デンジャラスビッチー

デンジャラスビッチー


悪魔の本体を目指し、デンジとアキはホテルの廊下を進む。

「なぁ、なんかボロくなってねぇ?」

「…悪魔の影響が弱くなってるのかもな」

「だったらよぉ、そのうち出られんのかな」

「かもな。警戒を怠るな」

緊張した様子のアキとは対照的に、デンジはぼけ〜っとあたりを眺めながら歩く。壁紙は徐々に色褪せ、廊下のカーペットは静かに崩壊を始める。

エレベーターが備え付けられているが、これは使えない。階段を上がり2階を探索。これを済ませた2人は3階の探索を開始。ほどなくして、どこかで扉が開いた音が2人の耳に入った。

そして2人のものでない足音。

湿り気を帯びた音が間隔を置いて連続し、やがて発生源が姿を現した。

「❤️彼女をここで犯す。❤️>>>」

裸の女だ。

バケツの水を被ったように全身が濡れているが、その肌は干からびていた。手も足も枯枝のように細く、にっこりと微笑んだ口元から覗く歯は黄ばみ、さらに何本か欠けている。

「んぐぐぎぃぃ……」

悪夢の住人の如き異様な女の姿に、デンジは思わず顔を伏せて呻いた。細部は朧ながら、その表情ははっきりと見てしまった。


ーーヴヴン!


デンジが胸のロープを引くと、エンジンが唸り声を上げた。ほぼ同時に、ホテルが異空間から現実空間へと帰還する。ホテルの電灯が消え、視界が闇に包まれる。

「があぁああ!!」

デンジは激怒した。

全裸のマキマを見る前に、こんな不気味な女悪魔を視界に入れてしまった。

このイメージ。

姫野先輩にゲロキスをお見舞いされた時も落ち込んだが、彼女はツラのいい美人だ。しかしこいつは違う。

その時が来る前にこの女悪魔の思い出を消しておかなければ、初めては大失敗。一生の傷になる。

「あああああ!!」

デンジは刀を構えたアキの脇を走り抜け、ビッチの悪魔に迫る。廊下は真っ直ぐ、腕のチェーンソーを滅多矢鱈に振り回せばどこかで当たるだろうとデンジは考えた。

腕のチェーンソーが何かを捉える。

蹴りを入れた直後、「🔞セクシーなアニメビッチとファ‌ックする ➤➤➤」と女の声で発せられた。

「こいつは俺がやる!先輩は応援呼べ!」

「ああ!」

アキの力強い声と徐々に遠ざかる足音を聞き、デンジの闘争心は回転数を上げる。闇の中でビッチの悪魔を倒し、アキが呼んだ応援が現場の廃ホテル前に到着すると、事態はデンジの手を離れた。


その後、廃ホテルの内部が公安職員により捜索された。建物内からは保護された男性達とは別に数名の遺体。いずれも身体の状態から死因は身体機能の衰弱と見られる。

さらに3階客室のバスルーム浴槽から、脳と内臓が無くなった女性の遺体。両手首には自傷痕も確認され、ピッチの悪魔と何らかの関係があると見て、公安が身元を調査している。

さらに悪魔が駆除された現場からは銃の悪魔の肉片が回収された。



そして…

「わぁ、どうもどうも。いやいやスゴイ雨ですね」

通り雨の日、デンジは電話ボックスで女に出会った。

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