デスピアフェリジット開放編

デスピアフェリジット開放編


「……… 、―――――っ!!」

「んはァァ……、シュライグの、おっきぃ……」

 熱り立ったシュライグの怒張が、フェリジットに呑み込まれていく。

 自らを抉るように最奥まで手繰り寄せ、男を貪る女は、もはやシュライグの知る彼女ではなかった。

「あ………っ、ア ……♡ どう………?ど う…っ、 ンっ………  ねえ、上手、 でしょ? シュライ、グ………」

「…………っ」

「あ、 あっ、  あ、 あ゛~~~ッ♡ ………っなんか、、 ァ  、いいなしゃい よ、コ……  ノ……っ♡ ぅあ…………っ」

「…………」

 シュライグは何も言わない。目を閉じ、言葉を受け付けることをやめた。

 忘れるな。俺達は仲間だ。家族だ。

 思い出せ。手を取り合って生きたあの日々。あの共に戦った時間を。

 何も感じるわけにはいかない。ただ救うことだけを考えろ。

 彼女は、そんなことをしていい対象ではないのだ。

「みて…………っ、 みて、よ ぅ、 シュライグ………、わた、し……、もう、こんな………ッ」

 蠕き波打つフェリジットのナカは、シュライグを責めるように絞め上げてくる。ドウシテ、ドウシテと艶めかしく揺れる彼女の表情は、視界を閉ざしたシュライグからは伺い知れない。

 その声は、涙声になっていた。

「なんでえ…………っ? どうして……、キモチよくない、の」

 一方のシュライグは、冷静になっていた。 

 そうなると後は早い。下腹部に篭っていた熱はあっという間に引き、代わって頭と胸に煮え滾るものが湧き上がる。強烈な罪悪感と、怒りだった。

「ぁうっ」

 身を捩って存在感を失ったモノをどうにか彼女から引き抜く。同時に、先程よりも力を込めたのか彼女の拘束が緩んだのか、あっさりと触手から抜け出せた。

「フェリジット!!」

 萎えていたとはいえ、それなりに質量のあったものが抜けたのだ。衝撃で強張った一瞬の隙を突いてシュライグは起き上がり、そのままフェリジットを抱きしめた。

「フェリジット、やめろ!」

「うぅううううっ!離せっ!離せえっ!!」

 今度はフェリジットが彼を振り解こうと藻掻くが、相手にならない。固く抱き竦める腕はビクともしなかった。

「思い出してくれ。お前はそんな奴じゃない。正気に戻るんだ」

「熱い……!熱い熱いアツいアツイ!!」

 彼女は尚も身を捩り、その腕は徐々に下へ降りてゆく。指で自らの秘部を抉ろうとしたのを察して、シュライグはその腕を強く掴み上げて再び彼女に呼びかけた。

「イヤぁっ!!熱い……、アツイ! 欲しい、おかしくなる……っ、たすけてえっ!!」

「…………っ」

 たすけて。

 変わってしまう前、のうのうと眠りこける自分に、彼女は何度そう訴えたのだろう。

「すまない…。すまない…」

 苦しみ喘ぎながら虚しく腰だけを動かすフェリジットをただ腕に抱いて、シュライグは耳元でひたすら謝った。

「抱いて、抱いてよおっ、たすけて…」

 彼女の懇願に、応えるわけにはいかない。

 フェリジットはこんなことを望む人ではない。変えられてしまった今の姿は否定しなくてはならない。シュライグにできることは、これ以上彼女の尊厳を傷付けぬよう、彼女を信じることだけだった。

「フェリジット。フェリジットが俺を助けてくれたんだな」

「うぅぅ……、…うううう………」

「俺には傷ひとつない。体も動かせる。お前はこんな……こんな、ボロボロになって…」

「………う、うう……、」

「今度は俺が守る。必ずお前を守る。帰るぞフェリジット、皆のところへ」

 あれだけ篭っていた力が。彼女から、抜けていく。暴れていた手足は崩れ落ち、フェリジットはシュライグの腕の中で丸まるように蹲って震えた。

「………むり……、」

「大丈夫だ」

「で、できない……、かえれない……。わたしこんな、こんな、めちゃくちゃになって……」

「大丈夫だ。帰ろう。皆お前を待っている」

「わ、わたし……、私……」

 桃色の髪をぐしゃぐしゃにしながら、フェリジットは頭を握り潰さんばかりに抱える。その手の上に、シュライグはそっと自らの掌を重ねた。

「………………

 ………たい……………」

「ああ」

「か、かえり…………たい…………」

「帰ろう」

 ゆっくりゆっくり、フェリジットが顔を上げる。

 その白い肌からはメイクが消え、

 その瞳には、弱々しいながらも、いつも通りの彼女の輝きが戻っていた。

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