チャカ様VSイム様
イム:フフフフフフ……まさかヌシアらがここへ辿り着くとはな……
チャカ:それが誠に心外でもあり光栄でもある……!!!
チャカは剣を抜きイムの方へ剣先を向けつつ構える。
チャカ:私はアラバスタ王国護衛隊副官。全うしねばならぬ責ある故に死ぬわけにはいかぬ!!!
イム:ヌシア如きがムーに敵うとでも?
チャカ:関係ないわ!
剣を大きく振りかぶり、振り子のように円を描く。その回転運動は剣圧となってイムの目前まで迫った。
チャカ:その首を頂く!!
チャカの剣圧でイムを怯ませた。すかさずチャカが空高く跳び上がり、上から攻撃を仕掛ける。
チャカ:鳴牙・斬!!!!
イム:むっ!!
イムはチャカの剣を、腕を突き出しただけで受け止めてしまう。
チャカ:バカな……!!
イム:ヌシアはもう終わりだ!!
チャカは咄嗟の判断で後ろ飛び退く。
しかし、それでもチャカは体に強い衝撃を感じて吹き飛んでしまった。
チャカ:がはっ……!! 一体なにが……!?
イムがチャカの前に立っていた。
チャカ:なるほど……これがイムの強さを支える足の見えない“何か”か……!!
イム:まさかこのムーの力の一部を出させるとは……!!
チャカ:ならば一点突破しかあるまい!!
チャカは再度脚に力を込め、猛烈に走り出した。
今度は上からではない。まるで先程のチャカの攻撃の焼き回しのように、大股で近づいてから大きく剣を振りかぶって再び攻撃を仕掛ける。
チャカ:鳴牙……!!
イムは両手を交差して受け止めるも、チャカの攻撃の威力は衰えることなくイムを怯ませてしまった。
チャカ:もう一度鳴牙・斬!!
しかし、次の瞬間チャカの体は後ろへ弾き飛ばされてしまう。
チャカ:くっ……一体何が起きている!?
攻撃は届いているはずなのに……!!
イム:それはこちらのセリフだぞヌシア……このムーの力を前にもう立ち上がるなど……
このままではムーが本気を出さなくてはならないでは無いか……
イムは全身に纏った黒いヴェールを脱ぎ捨てた。
チャカ:顔が……!!
イムは人の顔、それも目と鼻の無い仮面のような顔だった。
イム:さあ行くぞ……
イムは足の見えない何かで再び消えたかと思うと、その瞬間チャカの背後まで到達していた。
イム:フンッ!!
拳を叩き込まれたチャカはそのまま吹き飛ばされるもしっかりと脚で着地した。
チャカ:ぐう……凄まじい速度とパワーだ……!!
イム:フフフ……どうだ凄いだろう?
チャカ:凄い……何て力だ……
イム:驚くのは早いぞ……!
イムは指先から覇気を圧縮した光弾を発射した。
光弾はチャカを直撃し、大爆発を起こした。
チャカ:うおおお!!!
イム:まだ終わらんよ……!!
イムは再び光弾を発射する。今度は連続で10発近く繰り出された。
チャカ:この程度でやられる私では無い!!
チャカは剣で全て受け流す。
イム:何!?
今のを捌き切っただと……!!?
チャカ:勝負はここからだ……!
そう言うとチャカはイヌイヌの実モデルジャッカルの能力を発動した。
チャカ:グググ……ガァァァァアアアア!!!
チャカは獣のような雄叫びをあげると同時にその身体中から霧の帯が発生し、剣に纏い始めた。
イム:これがあの能力か……!!
チャカ:行くぞイム!!
チャカは猛然と駆け寄り剣を振り下ろす。
イム:うおおおおッ!!!
イムも蹴りで迎え撃つ。
ガキィィィイイインンン!!
イムとチャカがぶつかり合った瞬間、大きな衝撃波が走る。
ペル:んん……何て覇気のぶつかり合い……!!!
ビビ様……!! お逃げください……!!
イムはチャカの剣を押し返し、チャカを蹴り飛ばした。
イム:ヌシアは武装色の覇気の達人とは聞いていたがこれほどか……!
チャカ:私の剣は折れたか……
すると後ろからビビが声をかける。
ビビ:いいえまだ戦える!!
ペルに助けられたビビが手を振りながら言う
チャカ:姫様……!!
しかし……!
ビビ:大丈夫よ!それ〜〜!
ビビはチャカの方に剣を投げた
チャカ:!?
これは……まさか……!
ビビ:あなた言ってたでしょう?その剣で私の窮地を救ったって……
ビビはビビで武装色の覇気を使い、折れた剣を刀にして戦っていた。
チャカ:しかしそれはすでに覇気の力が途絶えた刀……それを何の特訓もしていない姫様が……!?
ビビ:ダメだったらどうする気だったの?
チャカ:いえ……!!
チャカは折れた剣に覇気を込める。
すると先程とはまるで別物のような鋭く覇気に溢れた剣となった。
イム:まだ足掻くか……まだやる気か?
チャカ:当たり前だ……!!
イム:まあヌシアらしいな……。
そう言うとイムは再び“虚の玉座”に向かって歩き出した。
チャカ:待て!どこへ行く!!
イム:もう私の目的は達成した……ここへはもう用はない……
チャカ:逃げ切れると思うな……!
ビビ:そうよ!アンタなんかここで終わるべきよ!!
イム:無駄なことを……ヌシアとリリィごときに私は倒せん!
イムは虚の玉座に座ると覇気を込め始めた。
チャカ:何が起きるのだ……あれは……!
ビビ:きゃあ!!
チャカ:これは……覇王色!! イムは覇気を放出し、ビビとチャカに向かって押しつぶさんとする。
ビビ:この力は……!
イム:まだ未熟だがこの力こそ新たな時代の到来なのだ!
ビビ:こんなもの!! ビビは更に覇気を強めるが、イムの覇気はそれを凌ぎビビを吹き飛ばしてしまった。
ビビ:きゃあああああああ!!!
チャカ:ビビ様ァ!?
イム:グハハハハハ!!
ペル:イムゥゥゥゥゥゥ!
ペルがイムの方に向かうが何者かに防がれてしまった。
ペル:!?
イム:控えろ……無礼者ォォォ!
イムの叫び声と共に背中にイムの二文字が刻まれた戦士達が現れたのだ。
イム:行けい!ナイト・イムよ!!
ナイト・イム達は一斉にチャカに攻撃を仕掛け、ビビには覇王色の覇気をぶつける。
ビビ:いやああ!!
チャカは咄嗟にビビの前に立ち塞がり、攻撃を防ぐもかなりのダメージを受けてしまった。
チャカ:くそ……! なんという力だ……
ビビ:チャカ……ごめんなさい……私のせいで……!!
チャカ:いえ……あなたのせいではありません……。
ビビ:私を……守ってくれてありがとう……!!
チャカ:それが務めですから…!
イム:気に食わんな……
イムは再び玉座から舞い降りチャカに攻撃をする。
しかしチャカもこれに耐える。
その時、先程と同じく青い球体が現れ、チャカとイムを遮断した。
ビビ:あれは……もしかして……!!
チャカ:まさか……あれは……!
チャカは上を見上げるとそこに現れたのは先程まで暴走していたペルだった。
ペル:チャカァ!!
今だチャカ!やれ!!!
チャカ:感謝するぞペル!!
チャカは剣を構え、更に武装色の覇気を最大限に込める。
イム:この愚か者共がァァアアアア!!
イムが真の姿を表してチャカに襲いかかるが、チャカはそれを斬り伏せた。
チャカ:我こそが勝者なり……!
チャカは勢いのまま、虚の玉座ごと斬り伏せた。
イム:グファァァアアアアアア!!!
イムは絶叫を上げながら倒れた。
しかしすぐに起き上がる。
イム:虚の玉座を壊すなど……ヌシアらはもう終わりだ……!!
チャカ:お前こそ終わりだ……イム……!
イム:ようやく私がこの世界を導く者となる時が来たというのに……!
チャカ:言っただろう?お前が何をしようと所詮失敗に終わると……!!
ビビ:そうよそうよ!
イム:そんな知ったような事を言う資格などヌシアらには……
ビビ:あるわよ!!
チャカ:ありますぞ!!
ビビとチャカが同時に言う。
イム:黙れェェェェェェエエエエエエエ!!!!!
イムは最後の力を振り絞り『イム・ヌアダ』の姿へと変貌する。
その姿は恐竜の様な姿に赤いトサカを生やした様な姿で、手には剣を持っている。
チャカ:あれは……もしや伝説の剣
『イムの剣』!?
ビビ:あれがあの伝説の剣……!
イム:終わらせてやろう!!
イムがチャカに斬りかかろうとした瞬間、ペルの球体が再び現れイムを弾く。
しかしイムはダメージを負っていないようだった。
ペル:硬いな……!
チャカ:問題なし……!!
イム:何ィ?
チャカ:ふおおおおおお!
鳴牙・風斬!!
イム:バカなァアアア!
イムの肉体は砕け、血飛沫を上げる。
イム:このムーが……!負けるなど……!!
ビビ:もう終わりよ……アンタは負けたの!!
チャカ:お前はこの世界に悪影響を及ぼしすぎた……
イム:バカな!なぜムーが……!!
チャカ:我が勝利は
姫!あなた無くしてありえなかった!!
イム:ヌシアァァァアアアア!!!
イムの絶叫と共にペルの攻撃で再びイムは弾け飛んだ。
チャカ:思い知ったか……
そう言うとチャカはその場に倒れてしまった。
ビビ:チャカ!
チャカ:……情けないことに体力の限界です……
ビビ:いいの!無理をしないで……。
ビビはチャカを抱き抱える。
ビビ:これで戦いは終わったのね……!
チャカ:はい……!
その時ビビがふと見るとそこには鳥の形をした船が近づいてきていた。
ビビ:あれは……!!
そうそれは、アラバスタ王国に伝わる「砂漠の船」だった。
ペル:帰りましょう……ビビ様
ビビ:ええ!!
ビビ達はアラバスタ王国に帰還した。
チャカ:……チャカです。この戦争の
英雄達と共に帰還した事を伝えます。
全軍、現時刻を以て戦闘を停止せよ!!
この戦いは我々の勝利だァーーーっ!!
アラバスタ王国の兵士長・チャカの終戦宣言に全世界が湧いた。
これにより世界に再び平和が訪れたのだ。
数日後……
ビビ:コンコン!開けてチャカ!出て来なさい!コンコン!
ペル:何のつもりだ……病室を抜け出したと思えば自室に篭るなど……
出て来なさいよチャカ!
叫ぶ二人の前にイガラムが現れる。
イガラム:ここはお任せを……
そう言うとイガラムはピッキングを始めた。
ビビ:えええ!?ピッキング!?イガラムが!!??
そうこうしているとチャカの部屋のドアが開いた。
中からチャカが出てくる。
ペル:開いたぞ
チャカ:……おお……ビビ様か…
ビビ:どうしたの……もう傷はいいの?
チャカ:私は…
チャカ:自分の弱さと、闇な部分を見てしまったのです。
もう戦うことはないでしょう……
ビビ:……戦えないの方が適切のようね……
ペル:右腕一本でなにができる
チャカ:これは……いいのです
ペル:我々の時代にコイツのようなやつはいらない……!
ビビ:ペル……
ペル:もうお前が戦う必要はない……
もう戦場に身を置くな……!
ペルはそう言い放つ。
チャカ:ビビ様、ペルの言う通りです ……私はもう戦闘には出ません……
ビビ:……わかったわ
ペル:では……失礼します……
ビビとペルは部屋から立ち去ろうとする。
チャカ:そうだ……最後にこれを……
チャカはビビに花束を差し出す。
チャカ:ビビ様!花束をどうぞ!!
ビビ:そんな……いいのに……ありがとう!
ペル:いい花ですね…!
二人は笑顔を見せて部屋を去ろうとした。
チャカ:……(ガクッ)
ペル:……チャカ?チャカ!
ペルはチャカに駆け寄る。
ペル:死んじゃあいないな……?
イガラム:チャカ!
イガラムはチャカを担いでペルと共に病院に連れていった。
医者:こんな体で病院から抜け出すなんてこの阿呆が!
医者はチャカをブン殴った。
ペル:全く……何をやっているんだ!
イガラム:とにかく無事でよかった……!
チャカ:ペル……それにイガラムか……
イガラム:……
ペル:で、なぜあんな無茶をしたんだ?
チャカ:……ビビ様は光だ
ペル:?
チャカ:ビビ様なら世界をより良い方向へ導くことができる……!
ペル:あぁ………まさか!?
チャカ:私がいてはビビ様の風格を損ねてしまう
ペル:考えすぎだ……!お前はよくやった!
イガラム:そうだぞチャカ。お前がいなければもっと犠牲者が出ていたかもしれない……
チャカ:二人とも……すまない……
チャカはそう言うと窓から光り輝くアラバスタの城を眺めた。
チャカ:ビビ様……!
チャカはそう祈ると目をつぶるのだった。
そしてアラバスタ王国では今日もビビの演説が始まった。
ビビ:皆さん、まずは国民の方々へ伝えたい事があります!それは……!!
ビビはそう言うと写真を取り出す。
そこには元気そうに微笑むチャカの姿があった。
ビビ:こっそり病室を抜け出して、そのまま死んだふりをするような男ですが……!
チャカ:酷い言われようだな……
ビビ:それでも、我々にとっては彼が必要です!! ビビは空を見上げる。
ビビ:チャカという一人の人間の存在は、国民の方々の記憶に残ってください!!!
ビビは空に向かって叫ぶ。
ビビ:ビビはここに誓う!
ビビ:この国を守る盾となれるよう、前進することを……!!!!
国民一同:うおおおおおお〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!
ビビの演説は国民全ての心を打ったのだ。
to be continued……。