ダリーナキッド海賊団if前編 “気分が悪い”
(悪魔の実についての捏造がありますしオリジナルキャラが出張ります。)
ここは花の都。場は酷く荒れていた。
「あははははははははは!!」
「あはははははは」
“親しみある元大名が処刑された”にも関わらず、えびす町の者たちは笑っていた。
………涙をボタボタと流しながら。
「恨めしや〜~~~~~~~~~~🎵」ひゅ〜~ドロドロドロ
「また出たガシャドクロ〜~~!!!」
怯え逃げ出す者。未だ泣き笑いを浮かべる者。その場は正しく“地獄”と言える状態だった。
ガキャン!!
その最中にいるサン五郎ことサンジはなんとかして脱出しようとしていた。
だが、
「ギャオオオ!!」
「…っくそっ!」
なかなかにしぶとい。それは当然なのかもしれない。目の前の恐竜は仮にも“最悪の世代”の一人だ。
「これでトドメだ!滅びろ、ジェルマめ!!」
恐らく耐えられるだろう。だが逃亡が出来なくなっているかもしれない。
「…っ!」
仕方ない。先に逃げてもらおう。この場はおれがなんとかする。
すると、
ガアアアアアアアン!!!
ドレークの鼻っ柱を見知らぬ虚無僧が棒で殴り飛ばした。
いや、正確には一方的にこちらは知っている。錦えもんたちが話していたのだ。
『この坊主たちを見かけたら気をつけてもらいたい』
『え?なんでだ?』
『愚公寺にもまともな坊主はいるが……。悲しいかな、ほとんどがオロチの手下と思ったほうが良いでござる。』
『なら、見つけたら隠れたほうがいいのね?』
『うむ。あやつらは信用してはならぬ。いつ密告をされるか分からぬ故。』
と。
「っあぁ!?」
「!?ギャオオオオオオ!?」ガシャアアアアン!!!
“その話に出ていた愚公寺の虚無僧”がドレークの鼻っ柱をぶん殴ったのだ。通常より大きな、六尺はあるであろう錫杖で。
鼻を殴られたドレークは痛みに震える。思わず足のバランスが崩れ、変身が解け倒れるほどに。
「…!?」
「……その服装は…」シュルルルルルル
「………」カラーン…
「…愚公寺の坊主か。何故、そいつらを助ける?」
痛みを堪えてながらもドレークは目の前の虚無僧に尋ねる。
「………知ったこっちゃないですよお」
「……!?思っていたより声高…!?」
「ただ……気分悪いんですよ!」ドゴォッ!!
「っっ!」
「こちとらずーっとイライラしてるのに余計な騒動起こして!
オマケに聞こえてきたのが“SMILEのせいで笑いが止まらない”って!?
胸糞悪いにも程があるっ!!
巫山戯るのも大概にしてくれませんかねええええ!!?」ゴス!ドカ!ドゴ!
「………っ!何の話だっ!?」
思っていたより声の高かった虚無僧は錫杖をぶん回し、ドレークに猛攻を浴びせ続ける。ドレークは防戦一方だ。
「その腐れ坊主もひっ捕らえろおおおお!!」
オロチの絶叫が響き渡る。すぐさま捕らえようと兵が走ってくるが、それはサンジによって勢いよく蹴り飛ばされる。
「おい!アンタも逃げろ!!」
「!まだいたんですか!?早くどっか行ってくれません!?」
「逃げてえのは山々だがここで死なれちゃ気分がわりい!」
「何言ってんですかぁ!?さっさと…!!」
「それに恐らく、ソイツは……!」
ギャオオオオオオオオオオ……!
「!」
「…!まだ余裕がある…!」
ドレークは、また恐竜の姿に変わった。
どうやら先程の防戦は変身する隙を狙っていたかららしい。
「…なら次は、向こう脛かっぱらってさしあげますよ!」
虚無僧はまた攻撃を仕掛けようと動く。錫杖を再度叩き込もうとする。
「同じ手が通じると思うな!」バチィン!!!
「ぐあっ!!」
だが攻撃は決まらず、恐竜となったドレークの尻尾が腹に叩き込まれる。手から錫杖が離れる。そのまま、くの字の形で壁にぶつかった。
「ガフっ、ゴホッ」
「君も早く逃げるんだ!」
「ゲホッゲホッ、…さっきから、なんなんですか、アナタ!?」
「いまは分が悪い!!ここで暴れたところで捕まるだけだろうが!!」
「……!んぐ…!」
虚無僧は立ち上がり、落ちていた錫杖を手にし走り出した。
「…なんとかブラックさん!ありがと!!」
「逃がすか!!」
「ついて来るな“落ちた将校”!!」
虚無僧を追い掛けドレークは走り出す。場は酷く混沌とし、荒れていた。
「きゃあーーー!!!」
「!!?」
(美女の声!!美女が襲われている!!?)
サンジは確信を持った。これはきっと、
(彼女はおれの助けを…)
「大丈夫か、お嬢さ…」
「うぐおぅっ!!」
「ギャオオオオオオオ!!」
助けようと駆け出したサンジに突如として先程の虚無僧とドレークの追いかけっこが突っ込んできた。ドレークが建物ごと噛み潰そうとするのを虚無僧はすぐさま避け、逃げ出す。
「おわっ!!」
サンジも避けた。が、そこには
「ん?」
「!!?」ズバァン!!!
件の美女を助けるアホマリモ(ゾロ)の姿。
「何追われてんだお前っ!!!」
「ゾロ十郎さん!ごめんなさいっ!!顔は隠してたはずなのに…!」
しかもその美女を抱えて走り去って行くではないか。
「…………!!」
「…………………!!?」
(マリモが美女と知り合い!?)
(…あの野郎、おれより懸賞金低いくせにっ!!!)
この際のサンジの顔はなかなかに酷いものであったことをここに著述する。
―――――――――――――――――
花の都。そこでは、未だ羅刹町の侍たちは解放されず。そして、
「……………!!」
「お前らの同盟はどうなったんだ」
「お前と“キッド”と“アプー”の3つの海賊団の」
「…………………」
捕まったはずのトラファルガー・ローによりバジル・ホーキンスが切りつけられ、倒されていた。
「…おれ達はハメられたんだ……」
ポツポツとホーキンスは話し始めた。
「…スクラッチメン・アプーは元よりカイドウの傘下に入っていた……」
「怪物…カイドウはこう言った
『おれの部下になるのなら歓迎する』と」
「…………」
「奴は常に強い兵隊を欲してる……!!最強の軍隊を作るためにな…。
……あの場でのおれの“勝利確率”は0%。“逃走成功率”0%“服従成功率”40%
……選択の余地はない……」
「………」
「――――だが、キッドとキラーは違った。立ち向かいその場で動けなくなるまで戦い続けた………
…カイドウはそういう奴らを殺そうとしない。何とか心を折り服従させようとする」
「……………」
「キッドが屈するとは思えん………つまり死ぬ。
…仲間たちは『船長を救いたければアレをやれ、コレをやれ』と
…………結果オロチに好き放題に使われている」
「………」
「『四皇』はおれ達とは別の生き物だ、常識は通じない………!!」
「……………」
「……お前と“麦わら”の同盟はうまくやってるな…………仲良く『ワノ国』にやってきて
……どうだ気は変わったか……?」
明るい声色を無理やり出したような声でホーキンスはローに尋ねる。
ローは話を全て聞いたあと、
「……………おれに質問するな」
「!!」
ザク!!!と切り刻んだ。
その話を息を殺し、聞き耳を立てていた“誰か”がいた。
「…………!」
百獣の衣装を纏った“誰か”は、その話を聞いたあと、緊張した面持ちをして………
「……!!」タタタッ…‼
そこから立ち去った。
「………………」
それに気付いていたが、気の迷いであるということにした。そして、
ガチャン……
「………………」ギィ………
「…………おれを逃がす事がお前の陰謀なら」
「……………」
「――――――乗ってやるよ………」
“何者か”によってトラファルガー・ローは解放された。
「鬼ヶ島」討ち入りまであと6日。