ダイヤとゆら〜ファーストコンタクト〜
注意!2児パパ三次創作です
「ダイヤくん、ゆらちゃん来るんだけど今度のウチの誕生日会来ない?」
それはいつも通り高校から帰宅して事務所に差し入れという名の暇している所属タレントさん達や一息つきたい社員さん達との雑談を楽しむために下に降りた時だった。
珍しく仕事が早めに終わったアイ姉さんにコーヒー渡した時にいきなり言われた。
ちょっと意味が理解出来ないです。
「ゑ?」
「ああ、ごめん!誰の、か言ってなかったよね。最近ウチで誰かが誕生日の時は派手にパーティーというか鍋したり、焼肉したりするじゃない?2週間後、ヒカルの誕生日にゆらちゃんが来るからダイヤくんもどうかなー?て」
ファンだよね?と尋ねてくる姉さん。
確かにファンですよ?最近、「また」恋愛事情聞いて泣きながら走っていたけど。
姉さん経由でいただいたサインは部屋に額縁入れて飾っている。
「いや、凄く嬉しいけど…良いの?普段ならともかく、片寄さん居るなら芸能人だらけだよね?そんな中に俺行って」
「むしろ何でダメなの?家族じゃん。私達。基本的に遊びに来てくれるのに来ないとヒカルが凹むよ?」
「うーん、成人男性が凹む様は見たくないな」
「落ち込んで1人項垂れるからね!夜中に!!」
ヒカル兄さんはポワポワしていて気配りの達人、頭の回転も早い完璧人間だが、たまーに、凹むとズーーン…と落ち込む時がある。
そりゃもう、見ていて可哀想なぐらい。
家族絡みや父親の威厳が足りないからか…な落ち込み方が殆どだが。
「じゃあ行かしてもらうよ。ついでにコハクにも声掛けておく」
「あ、コハクちゃんには私が既に言ってるよ。『ダイヤの反応見たいから行く』って良い笑顔だったよ」
「あのやろう…」
あいつ、俺が失恋する度に良い笑顔しながら慰めるんだよな…
兄さんの顔の七変化超楽しい!とのこと。うるせぇ。
「ちなみにゆらちゃんからも『ファンだと言ってくれたのが嬉しいからもし会えるならよろしく』、て。
良かったね?凄いファンサだよ」
「ぼかぁ、今日死ぬんですか?」
「死ぬとしても今日じゃないね?」
「確かに…生の片寄さん見るまで死ねないな…よし、何か良い贈り物したい。片寄さんて何が好き?」
「ゆらちゃんは君からの真心籠ったものなら喜んで受け取ると思うよ。だから背伸びせずに君の最善を送ったら良いと思う」
小さい君が私に綺麗な石くれたみたいに!
と良い笑顔で言うけど3歳の俺を引き合いに出すのは違うと思う。
…というか姉さんいまだに大事にしてくれているんだ。
嬉しい。
最善かつ真心か…難しいな。成長すればするほど贈り物てやつは難しくなる。昔は絵や綺麗な石で良かったのが、綺麗な物やお菓子になる。
同級生や友達にプレゼントする時だってそれとなく聞いて調べてから無理のない範囲で準備するが、相手は今や売り出し中で露出も増えて来た女優だ。難しい…
「…何が好きそう?」
「うーん…話を聞いて適度に慰めながら背中を押してくれる人だね。あの子」
「ヒカル兄さんじゃねーか」
ちくしょう。あの人は必ず俺の前に立ちはだかるな。
「本当に気楽にゆらちゃんに合う、と思ったものならゆらちゃん喜ぶよ?気楽に、気楽に〜ね?」
「良さげなの考えてみるよ。2週間後だしね」
とりあえず片寄ゆらという人についてより調べて行こう。
ーーーーー
私は片寄ゆら。自分で言うのも何だが、今売り出し中の女優だ。
女優、なのだが私の演技力より端役で出ていたドラマで私の容姿が話題になってそのまま少しずつ露出が増えて行った。
当初は話題になったのが嬉しくて頑張ろう!となっていったが、私がテレビに出ても演技が良い、凄い、という声は無く、可愛いとか綺麗と容姿を褒めるばかり。
容姿を褒めてくれるのは嬉しい。嬉しいが、それだけとは思われたくなくて演技の勉強も頑張った。
だが私に求められているのは客寄せパンダのような役割みたい。
…売れてない頃1度だけTwitterで若い子から演技を褒めてくれたリプライあったな。嬉しくてお気に入りにしてスクショしている。
そんな声もあったからドラマや映画に出るために頑張ってオーディションに出ても本当にやりたい演技の役には当てはまらなくて、無駄に目立ってセリフが無いような役にあてがわれる。それでも印象に残るような演技を!と考えて演ってもカットされたり「何も余計なことをしなくて良い」と言われるばかり…
正直迷いに迷って苦悩していた時に、共演した元アイドルで現在マルチに活躍しているアイこと、星野アイさんに出会えたのが転機だった。
アイさんは私を見てくれていて、小芝居でも見え方、魅せ方を教えてくれた。
そして彼女のマネージャーをしながら舞台俳優として籍を置いているミキさん…カミキヒカルさんは私の背中を押してくれてアドバイスもくれた。
そこから私の演技も評価され始めた。
ミキさん、アイさんには感謝しかない。
ミキさんには物理的に生命を助けてもらったりして片想いしたのだが
、2人の仲知ってこっそり失恋したけど今も仲良くさせてもらっている。
聞いたら2人からすると義弟にあたる少年が私のファンらしい。2人への恩返し、私を推してくれているということへのお礼も込めてサインを書いた。
大変喜んでくれていたらしい。
そしてそんな彼に会う機会がやってきた。
ミキさんの誕生日会を家族や仲の良い友人を招いて食事会をするらしい。私をアイさんが招いてくれた。
そこにその義弟くんを招く予定だと言うから良い機会じゃないかな、と。私はファンミーティングなどは行ったことが無い。
せっかくだからファンと交流してみたいと思ったのだ。
…あと写真を見ていたら義弟くんは可愛らしい顔をしていたので一度会いたくなったのも確かだけど。
そんな訳で私は誕生日会が楽しみにしていた。
そして当日。
「ミキさん、誕生日おめでとう!
アイ先輩こんにちはー!!お土産とプレゼントでーす♪ルビーちゃんにアクアくんも久しぶりー!」
「ありがとう、ゆらさん。プレゼントは良いのに…食事会したかっただけだし」
「ゆらちゃんようこそ!さささ、入って入って!」
「こんにちはゆらさん」
「ようこそ!ゆらさん!!」
星野家に招かれるのは初めてでワクワクしている。ルビーちゃん、アクアくんとは会うのは2度目だ。
お目当ての少年はいないかなー?と探していると隅っこの方で何やら賑やかな姉兄妹らしい二人組がいた。
「ほら〜?兄さん!片寄ゆらさんだよ?行かなきゃ!」
「ま、待て!話せばわかる!!」
「問答無用!!」
五.一五事件の犬養毅と青年将校のやりとりをしていた二人組だが妹ちゃんに引きずられて前に押されて来た。
多分彼が…
「はじめまして、片寄ゆらです。斉藤ダイヤ君、だよね?私を応援してくれてありがとう」
「さささささ斉藤ダイヤです!!ありがとうございます!!ファンさせていただいています!あの、これ、プレゼントです!!!サインのお礼というか…」
「え⁈そんなこちらが逆にお礼言いたいぐらいだよ?
何かなー?」
可愛らしくラッピングされた箱の中には可愛らしいベレー帽が入っていた。
「可愛い…色も良いね!臙脂色だし、似合うの選んでくれたのかな?」
「カラーコーディネーターの資格取っている知人にゆらさんに合う色を
聞いて、ゆらさんがインタビューで受けられてた服装から考えました」
おお…凄い。何が凄いというか滅茶苦茶相手に合う物を調べる子だ。
こりゃミキさんに仕込まれてるな。
「ありがとう、ダイヤくん。色々考えてくれたの分かって嬉しいな。大事にするね、ありがとう」
「あ、ありがとうございます!!滅茶苦茶嬉しいです!」
「良かったねーダイヤ〜滅茶苦茶ファンだもんねー?」
「お兄ちゃん、今のお気持ちは?」
「ルビー、うるせっ!えーと…俺、今日死ぬの?」
「「「「「まだ死ぬな」」」」
「死なないで欲しいなー」
「はい!気をつけて帰ります!!」
星野家の人と本当に仲良いみたい。
可愛らしいところもある。
「片寄さん、実は兄は昔片寄さんにリプライ送ったことあるんです。
片寄さんをテレビで見て演技が良い!って」
「リプライ?もしかして…アカウント名『ダイヤのエース』?」
「あ、ご存知でした?良かったね!お兄ちゃん!!」
「」
まさかダイヤくんだったとは…あれ?ダイヤくん、静か…
「コハク、ダイヤのやつ。気を失った」
「嘘ぉ⁉︎」「「ダイヤくん⁉︎」」
「ダイヤ…うぶだねー?」
「ダイヤくーん…?」
斉藤ダイヤくんはそれから10分後気を取り戻してあたふたしていた。
楽しくお喋りしたり、ゲームしたり笑いが絶えない時間だった。
帰る時にダイヤくん、妹のコハクちゃんとLINE IDを交換して今度は私がご飯を食べさせてあげる約束をして別れた。
楽しい1日だった。