⚡⛵(41の続き)
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
↓
⚠41の文章を先にお読みください
「そろそろ出ましょうか」
彼はそう言って出口に向かって歩き出したので俺も後に続いた。外に出ると外はもう暗くなっている。時計を見ると時刻は20時を過ぎていた。
「もうこんな時間か……帰る?」
俺がそう尋ねるとアズは首を横に振った。
「まだ行きたいところがあるんです」
彼はそう言って俺の手を取ると歩き出した。俺は何も言わずに彼の後をついて行く。
暫く歩いて辿り着いた場所は海が見える公園だった。
「ここ、星がよく見えるんですよ」
アズはベンチに腰掛けると夜空を見上げた。俺も隣に座り同じように見上げる。そこには満点の星空が広がっていた。都会では中々見られない光景に俺は見惚れていた。
「……凄いな……」
俺がぽつりと呟くとアズが微笑みながら言った。
「気に入ってくれたみたいで良かったです」
彼はそう言って俺の手を握ってきた。俺は恥ずかしくなって目を逸らすとアズがくすくすと笑った。
「恥ずかしがること無いじゃないですか」
彼はそう言って俺の手を引き寄せて抱きしめてきた。俺は抵抗せずにされるがままになることにした。暫くの間、俺たちは無言で抱き合っていた。すると突然、アズが俺の耳元で囁いた。
「ねぇ……ボルトくん」
俺はドキッとして彼の方を見た。彼は真剣な眼差しで俺を見つめていた。その目は熱を帯びていて、どこか色っぽかった。俺はゴクリと唾を飲んだ。心臓の鼓動が激しくなるのを感じる。そして彼はゆっくりと口を開いた。
「キスしてくれませんか?」
俺は一瞬躊躇したが覚悟を決めて彼の唇に自分のそれを重ねた。柔らかい感触が伝わってくると同時にアズの体温が伝わってきた気がした。数秒間そうしていたが、やがてどちらからともなく口を離す。
「ふふ……ボルトくん、顔真っ赤ですよ」
アズはそう言って悪戯っぽく笑った。
「うっせ…」
恥ずかしくなって顔を逸らすと彼はくすくすと笑う。
「ふふ……可愛い」
アズはそう言って俺の頭を撫でた。俺は子供扱いされているようで悔しかったが、何故か心地よかったのでされるがままになっていた。
それから暫くの間、俺たちは夜空を眺めて過ごした。その間もずっと手は繋いだままだった。俺はアズの温もりを感じながら夜空を見上げる。そこには満天の星々が輝いていた。まるで宝石箱を覗いているような気分になった。
「……星が綺麗ですね」
アズがボソリと呟いた。その目は星を映して輝いているように見える。俺はそっと彼の手を握ったまま答えることにした。
「そうだな」
俺たちの声が静かな公園に響く。お互いの息遣いだけが聞こえている気がした。ふとアズの方に目をやると彼は目を瞑り、安らかな表情で微笑んでいた。
「眠くなった?」
と尋ねるとアズは首を横に振った。
「いいえ……全然」
そう答えたがどこか眠たげな表情をしているように感じた。俺は再び空を見上げた。先程よりも星が多くなっている気がする。まるで俺たちを祝福してくれているようだった。
俺はアズの手をしっかりと握り直した。
「アズ……」
俺が名前を呼ぶと彼はゆっくりと瞼を開いた。そしてそのまま見つめ合う形になったが不思議と気まずさはなかった。むしろ心が温かくなったような気がした。
俺はアズの頬に手を当てると優しく撫でた。すると彼は気持ち良さそうに目を細めると俺の手に自分の手を重ねた。そのまま暫くの間、お互いの存在を確かめるように触れ合っていたが不意に彼が口を開いた。
「……僕、幸せです」
「俺もだよ」
俺が答えるとアズは嬉しそうに微笑んだ。それからしばらくの間、俺たちは寄り添い合いながら夜空を見上げていた。まるでこの世界には俺たち二人だけしかいないのではないかと錯覚してしまうほどだった。
俺はふとアズの方に視線を向けると彼の瞳の中にも星が映し出されているように見えた。キラキラと輝くそれはとても美しくて思わず見惚れてしまったほどだ。俺は彼に手を伸ばし頬に触れると彼は俺の手に自分の手を重ねてきた。そのまま彼の手を摑んで引き寄せると俺の腕の中に収まった彼をそっと抱きしめる。すると彼もまた俺の背に腕を回して抱きついてきた。
お互いの心臓の音と体温を感じながら俺たちはしばらくの間、そうしていた。