スレに収められなくてごめん (Bブロック感想)
⑧豪快キャプテン「冬眠」
結成4年目で今年初めて知ったコンビ。今年の敗者復活Bブロックは始まる前から色物揃いなのが見て取れて、それ故に相対的にこの組は印象が薄くなってしまった印象
大柄な男2人がしゃべくり漫才するって形式ギャップは好感が持てたし、笑いどころも分かりやすかった。ただツッコミのド迫力の熱量に見合うだけのボケじゃなかったというか……どうしても「五月蠅い」感情が途中から勝ってしまったんだよね
ただ終盤であまりの熱量にヘラヘラし出すボケに「なにわろてんねんお前ッ!!」ってヤクザの恐喝みたいなツッコミは勢い凄くて笑ってしまった。最後の「生きれ!生きなさい!!」って大声で連呼するくだりも、この世に絶望してる昨今の人間たちへのメッセージに感じ取れて気持ち良かった (それはそれとして俺にはハマらなかった)
⑨鬼としみちゃむ「無理がある設定」
結成6年目で今年初めて知ったコンビ。そして”今年の敗者復活戦で初めて知った芸人”の中で、とてつもない衝撃を受けた芸人の1組でもある
漫才初めの序盤部分は「これ面白いのか……」ってやや不安だったんだけど、そんな時に放たれた「し~み~ちゃむ~!!お前はその程度の発想力やから、ツッコミなんやで!?」ってツッコミから一気に惹きこまれたんだよね。観客もこのツッコミで2人の世界観にハマり始めてたように思う。この2人の面白さの最大の肝は色物にしか見えない外見から放たれる、高クオリティな王道しゃべくりだと漫才を見て思った
まず眼鏡ロン毛のどうみても変人奇抜枠にしか見えない”鬼”(鬼沢)のボケツッコミが非ッッッ常に頭に残る。ハイトーンでサイコ染みた笑い声から放たれる「し~み~ちゃむ~!!」「お前さぁ~!」「ハぁ!?」が聞く度に癖になって、後半ではそのツッコミを心から待ち望んでる自分がいたんだ
ピンクのツッコミらしき方も言ってることが後半進むに連れてどんどん目茶苦茶になっていって、その度に鬼沢に言い負かされる様が非常に滑稽で笑えた (ネタの形としてはブラックマヨネーズと似てる)
俺が一番好きなやり取りは「し~み~ちゃむ~!! 今までの6年間、本当に有難う!」「なんで解散やねん!?」のくだり。鬼沢がツッコミに入る際にしみちゃむが笑顔を浮かべるのも個人的にはツボポイント。最後に片肩を上げて訛りながら放つ「もう↑ええわ」も大好き「決勝には上がれなかったけど、いつか必ず六本木で見たい」…そう思わせてくれるコンビだった
⑩スタミナパン「YouTuber麻婆」
結成9年目で今年初めて知ったコンビ。そして鬼しみ同様、”今年の敗者復活戦で初めて知った芸人”の中で、とてつもない衝撃を受けた芸人の1組
最初にボケの麻婆が「ブリ♪ブリ♪本当にうんちしてま~す」を披露した際は「あっ…(こいつら絶対つまんないわよくここまで上がって来れたな…)」と思ったんだよね
でも直後に放った”メントスにコーラをかけるボケ”で「お……?」と思って、その次に放った「ソーラン節、歌ってみた」「踊れよ!」のやり取りが俺にぶっ刺さって、最初の"糞"つまんないイメージはこの時点で払拭されてた。実況スレや会場観客の湧き具合を見ても、このソーラン節ボケがターニングポイントだったのは間違いない
そこからうんちしてま~すボケに対し、畳み掛けるマシンガンツッコミを吐くトシダの勢いが凄く面白くて、その流れからの「皆ブリブリを見に来たんだよ!”!"」って言ってることが逆転して会場を沸かせるのも純粋に凄いと思った。このツッコミ間の取り方も声のトーンも非常に俺好みで上手い。何より最初の地獄みたいな雰囲気から会場を一転させてるのが2019ぺこぱを彷彿させる衝撃だったんだ
これを本戦会場で行ったら審査員はどんな点数を付けるのか、観客はどんな反応をするのか非常に気になる。是非来年以降のどこかで同じような奇天烈漫才をまた見せて欲しい
⑪トム・ブラウン「スナックで優しく注意したい」
2018年M1にて、"中島ックス"で一部お笑い界隈に絶大な衝撃を与えた無秩序キ〇ガイコンビ。どっちも天然でヤベー奴 (こんな2人が脱糞野郎の次に出てくるの笑うわ)
好みが完全に別れる2人の面白さを言語化するのは極めて難しい。しゃべくりともコントともリズムネタとも歌ネタとも言い切れない、2人にしかできないであろうネタを誰にでも伝わるように面白く言語化出来る人いるなら逆に教えて欲しいくらい
見た人なら分かるでしょ。なんでスナックで注意したいって始まりから人殺して弓矢撃って自害するネタになるんだよ
ただ1つだけ確かな事は”俺には刺さった”ということ。最初の「上戸彩……です!」「キャー!!」って掴みで既に笑う俺のツボ、我ながら意味不明
それでもやっぱり面白かった。布川が殺されて弓まで打たれてるのにそれらには一切触れず「優しくないよ!?」「クロロホルム無駄だから!」とズレまくるツッコミするくだりはギャグマンガとしか思えずゲラゲラ笑ったし、後半で布川がツッコミ後の余韻0で即ボケに入るスピード感がまた素晴らしい
随時に見せるみちおの驚愕表情がまた絶妙で、最後の最後で「できたァーッ!!」と達成する瞬間は謎の快感に溢れていた。俺が漫才を評価する上で重視してるテンポと間はハイレベルに仕上がってたように思う
ちなみに2023年12月現在、敗者復活組のYouTube配信で一番再生数が多いのはトムブラだったりする。そんな2人は来年ラストイヤー。どうか来年こそ本戦にストレートで上がってきて欲しい。志らくの消えた審査員たちを困惑させまくって欲しい
⑫エバース「ケンタウロス」
結成7年目で今年初めて知ったコンビ。そして”今年の敗者復活戦で初めて知った芸人”の中で、とてつもない衝撃を受けた芸人3組目でもある
「交通費を浮かす方法」で多くの視聴者をグッと引き込んでからの意味不明な理論展開が滅茶苦茶面白かったし、ツッコミ町田の間の取り方、声のトーンが終始物凄く上手い。只々ひたすら純粋な話芸で、ここまで観客を沸かせるのが凄いと思った (勿論俺にも刺さった)
「なんで上座座ってんの?」とかこの時点でBブロック1の爆笑を起こしてたし、ケンタウロスのイメージを活用したギャグの数々もお見事としか言えない。後半の畳みかけも7年目とは思えない貫禄。人によって一番ハマるボケは違うだろうなと言えるくらい、印象的なボケも沢山生まれてたんだ。俺が一番笑ったのは「町田ウロスの場合は1回俺が宙に浮く」のくだり
佐々木と町田、名前覚えたからね。来年是非ストレートで来て欲しい
⑬ナイチンゲールダンス「ホスト」
結成6年目で今年初めて知ったコンビ。そして”今年の敗者復活戦で初めて知った芸人”の中で、とてつもない衝撃を受けた芸人4組目でもある
ボケの中野の声が常人離れしたハイトーンで印象深くて、序盤は「うるさいなぁ……」って感情が勝ってたのにコント漫才に移って以降それが一転。大きな笑いどころに変貌する構成が凄まじかった
「僕の気持ちはとめはねはらい!」とか旅立ちの日に歌唱する場面とか、糸通しを体現するくだりとか「防犯ブザーか!」とか……
義務教育を受けた人間にグサグサ刺さる非常に分かりやすいボケがハイテンポで仕込まれてて、序盤以外全く退屈しない最高の4分間だった。俺が一番好きなくだりは「俺以外の金髪眼鏡青スーツ見んな」「いねぇよ!」
自分の知らない2組が続けて面白かったこの展開に俺はデジャブを感じて、そして気付いた。エバース&ナイチンゲールダンスは俺にとって、昨年の敗者復活のケビンス&ヤ―レンズ枠だったんだ。来年この2人は決勝に進み、優勝する予感がする。外れたらそれでもいいけど、そんな気が俺はする
⑭オズワルド「しまもと」
2021年M1準優勝者にして、4年連続決勝進出も達成済の超実力派コンビ。俺がYouTube登録してる数少ない芸人で、それ故に愛着も強いから応援してたんだけど……やっぱり壁は厚かった
2人のこの漫才自体は間違いなく面白かったんだよ。YouTubeで見たことあるネタであるにもかかわらず笑えたし、テンポも間の取り方も上手い。畑中が自我を出して出てこようとする場面は凄く面白かったし、終盤で序盤のくだりを回収する流れもお見事。流れるように綺麗な話芸で、礼二とか塙は絶賛しそうな4分間だった
しかしやっぱり”見慣れてる”せいか、エバース&ナイチンゲールダンスほどの衝撃がなかったんだ。新ネタを持ってくるワクワクも抱いてたから、悪く言えば期待ハズレ
これと同じクオリティの漫才をオズワルド以外がやっていれば、間違いなく世間の注目が集まってたと思うし、観客投票ももっと接戦になってたと思う
それだけ世間はオズワルドに期待を持ってるんだよ(個人的な意見言うと2021年「友達」のクオリティが比較対象になってるのもデカい)
「この2人ならもっと面白い漫才ができる」って。それ故に厳しい評価にならざるを得ないのが可哀想に思うんけど……和牛を初め色んな大物芸人が通ってきた道。2人にも乗り越えて欲しい
そして伊藤と畑中はラストイヤーまで後6年ある。どうかまた、六本木本戦会場で2人の漫才が見れることを願う