スモアタイム
とある島に停泊中のサニー号
留守番中の昼下がり、いつも通り昼寝をしようとしていたゾロの元にチョッパーがやってきた
楽しそうにこちらに歩いてくるその手には、マシュマロのささった串やビスケットの乗った皿がある
「ゾロー!マシュマロ焼かせてくれー!」
「構わねェが、溶けたヤツ垂らすなよ」
ゾロはそれだけ言ってチョッパーの方に背を向けると、肩口から炎を発した
最初は強めだった炎の勢いが段々と抑えられ、火があたりやすいよう翼の位置も調節される
「これぐらいでいいか?」
「うん、ありがとう!」
ちょうどいい火加減になったのを確認し、チョッパーはマシュマロの串を近付けた
ゆらり、ゆらり
生きているかのように揺らめく火を眺めながらマシュマロを焼いていく
目指すは薄く焼き色がつき、ダレない程度に形を保ったちょうどいい焼き加減
均等に焼けるように串を動かしながら慎重に焼き色を確認
「よし、そろそろいいな」
チョッパーはそう言うと串を火から離し、皿にのったビスケットにマシュマロを置いた
マシュマロが皿に置かれたと同時に、ゾロから発せられていた炎はフッと消えた
「できたぞ!今日のおやつのスモアだ!」
チョッパーは焼きたてマシュマロの挟まったビスケットをゾロに手渡した
「スモア?」
「前にウソップが読んでた雑誌にのってたんだ。キャンプのおやつですっげェ美味いんだって。その話したら、サンジが今日のおやつにしろって用意してくれたんだ」
そう言うとチョッパーはさっそくスモアにかぶりつく
ゾロも手渡されたそれを少し見つめ、口に運んだ
ねっとりとした熱いマシュマロ、サクサクのビスケット、しっかりカカオのビターチョコレート
三つが口の中で混ざり合い、なんともいえない美味しさが広がった
「ゾロー!これ甘くて美味いな!」
チョッパーはゾロの方を見上げ、嬉しそうにスモアをほうばる
ちらりと見えた断面からのぞくのは、甘いミルクチョコレート
「ああ、悪くねェ」
ゾロはフッと笑い、またスモアを口に入れた