ス〒フ×22凱旋門覇者

ス〒フ×22凱旋門覇者


前回と同じ時空です

ほぼホテル関係なくなりました謝罪謝罪

22凱旋門組というか👮‍♀️視点(👮‍♀️→◇の匂わせあります苦手な方は注意)

時間軸的には22有馬と中山GJ後の年末年始辺り







「はいあなた、あ〜ん♡」

「ん」


僕の名前はタイトルホルダー。

好きなものは和生と姉さんと阪神競馬場。嫌いなものは僕の前を走る奴。理解出来ないものは目の前の光景。

だってそうだろ。いきなりボンド先輩から「年末の忙しいところごめんね今来れる?ステフ先輩が炎上しそうなんだけど」と、いつもの語尾のプボがない真剣な声色で呼び出され、姉さんとの穏やかなひと時を邪魔されイライラしながら辿り着き、目に飛び込んで来たものがこれだ。

ちなみに先に着いていたドウデュースは「フーさんの奥さんおっぱいでっかいっすね!!」という言葉を最後に床に突っ伏して動かなくなっていた。


「ボンド先輩何ですかこれ、脳が理解を拒んでるんですけど」

「知らんプボ。でも週刊誌にすっぱ抜かれたらステフ先輩が終わることは分かるプボ」

「何なら僕らも捕まりません?は?てか何でアルピニスタさんが日本に?てかトレセンに?」

「ステフ先輩の親戚にご挨拶に来たらしいプボ。僕らと同じ顔してひっくり返ってるゴルシさん達の姿が目に浮かぶプボねぇ」


そういえばステフ先輩、レース終わった後にアルピニスタさんを壁ドンナンパしていたらしいじゃないか。

実際に喋ったことはないから知らないが、レース前の彼女は凛とした淑女のような立ち振る舞いをしていて、メディア相手にも丁寧に対応していたように思える。レースが終わった後もそれは変わらず、誇り高く美しい女王を見て日本のファンも相当増えたはずだ。

それが今はどうだろう。気高い女王どころかただの恋する乙女になっている。しかも自分をナンパして来た男に、現在進行形でハンバーガーと焼きそばをあーんしている。何でもっと食べやすいものにしてやらないんだよ?いやそんなことはどうでもいい。


「あのさ、アルピニスタ……さん?アンタこいつに騙されてんじゃないの?」

「まあミスター。それはどうして?」

「この人アンタをナンパしたんだろ?別にステフ先輩を悪く言うつもりはないし、これは僕ら全員に対して言えることだけど、アンタみたいな立場の人がホイホイ付いてきていい男じゃないって」


アルピニスタさんは顎に指を当てて小首を傾げる仕草をした後、にっこりと微笑んで言った。


「ミスター、貴方少し誤解をしているわ。……ふふ、実はね、今と同じ言葉を彼のご友人やご親戚の方からも言われたのよ。」

「えぇ!?だったら余計に何で……」

「簡単なことよ。私、とっても素敵な恋をしているの!私にとっては最初で最後の一目惚れ、最初で最後の大恋愛よ。それから最初に行動に出たのは彼だけど、声をかけたのは私からよ。そこのところ、どうか勘違いなさらないで?」


隣でボンド先輩がヘタクソな口笛を吹いた。それが妙に癪に触って脇腹を肘でど突く。


「ああ、ミスター。貴方もとても素敵な恋をしているのね」

「 …………は?」

「ふふ、お節介だったらごめんなさいね。ねえあなた、彼にお義父様のお店を紹介して差し上げたら?」

「はっ、こいつにはまだ早いだろ」

「そうかしら?私は彼が勇気を出せば、すぐに進展すると思うけれど」


僕を見ながらこそこそ話すな。気になるだろ。そう思って声をかけようとすると、ボンド先輩から肩を叩かれた。


「まあまあ後はお二人の世界でごゆっくり〜プボ。ほらおどうくん回収して帰るプボよ」

「は!?結局僕ら何のために来たんだよ!?」

「さあ〜?ところでタイホくん僕メロちゃん特製年越しそば食べたいプボねぇ」

「誰がやるか!!あとその呼び方やめろ!」

「お蕎麦!?!?!?!?!?!?」

「うわ起きた」


挨拶もおざなりに去って行く後輩を見送り、ステイフーリッシュは小さく息を吐いた。


「……ホルダーの言う事は間違いじゃねえ。あの時、俺から声を掛けておいて何だが…」

「本当に俺でいいのか、かしら?」


極東の国に単身で嫁いできていい立場ではないだろうに、アルピニスタはそう言ってころころと笑った。


「私の夫となる男性の紹介は現役時代にも何件もあったわ。でもそのどれもがピンと来なかった。私ね、恋をするってことがよく分からなかったのよ。」

「………今なら分かるって?」

「Yes!」


大きな声で肯定し、アルピニスタは彼に抱きついた。



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