スピノ×キング
ガチムチダイナレスリング「挿れるぞ」
そう宣言して腰を落とし、キングの逸物を尻に受け入れる。
背鰭によって限定される体位の選択肢の中で、この対面座位が一番感度が良い。
本来ならこちらが優位な体位だが、しっかり奥まで咥え込んだ後に主導権をキングに任せる。
「今日こそ善がらせてやる」
瞳を真正面から見据えられ、強い意志が込められた声でそう告げられた。
最初に尻穴だけで絶頂させることにこだわりがあるようで、密着することで竿が擦れ刺激を与えることを避けるようにしながら胸板に舌を這わせてくる。
乳首を吸い上げるのに合わせながら腰を突き上げ、何度も身体を重ね知り尽くされた感度の良いポイントを重点的に責めてくる。
「はぁ……」
思わずため息を漏らし、感じ入る。
尻から発生した快感の波が背筋を通って脳を抜けていくような甘いひととき。
胸を這っていたキングの舌先がいつの間にか首筋を舐め上げながら登り、頬に吸い付き遂に唇同士が触れ合う。
舌を絡め合い、思わずその顔に手を添えたり、指同士を絡め合ってしまいたい衝動に駆られるが、以前の『演技をするな』という声を想起し思い止まる。
できる限り此方からのアクションを最低限にし、キングを受け入れることだけに集中する。
この男の竿遣いは本当に上手く、突かれる度にため息が漏れたり、喉を鳴らしながら息が鼻から抜けたりする。
そうする内に快感が頂点まで高まってきた。
我慢する謂れもないので素直に射精する。
「うっし!」
キングは未だ射精していない。
どうせこれから互いに何度も射精し合うのだからと思うのだが、キングにとっては俺を先に射精させることが余程重要らしい。
拳を握り込んで満足気に笑っている。
その愛くるしさに滾る性欲が『もっと欲しい』と思わず懇願しかけるが、これも演技と捉えられ折角の雰囲気を壊すのも悪い。
待っていれば彼方から竿を握り込み、身体を抱き寄せてきたのでこれで正解だったと安堵する。
密着し体温を一層感じ合うことで興奮を高めながら、精液に塗れた亀頭を容赦なくこねくり回される。
荒くなる呼吸を回数を増やさぬま一度の呼吸を深くすることで対処して、快感に反応する喉が鼻から抜ける呼気を震えさせる。
強すぎる快楽に眇められる眼がキングの表情を捉えれば、何処か不満そうだ。
恐らくは俺にもっと激しい反応を期待していたのだろうが、言葉で伝えたいことは幾らでも思いつくとはいえ、言葉にした瞬間に本質から離れてしまう気がする。
だからこそ自然に漏れるため息や呼気の震えに任せているのだし、それはキングも分かってくれている筈なのだが。
普段はあれほど気さくだというのに、行為中のこの男は気難しい。
そんなことを考えているうちに、業を煮やしたキングが更なる快感を与えようと抽送を続けながら亀頭を咥え込んできた。
陰茎の根本と先端、二箇所の敏感な部位を激しく責め立てられ二度目の射精に導かれる。
「あぁ……」
長く息を吐き続けながら快感に浸り続ければ、絶頂の痙攣に締め付けられた彼の肉棒も限界を迎えたようで尻の中に温かな液体が注がれる感触を覚える。
射精を続ける自らの逸物がその事実に再び興奮を得て吐き出す精液の量が増えてしまった気がするのだが、キングは溢さずに飲み干してくれたようだ。
そのまま吸い上げるように敏感な亀頭部を舌先で責め続ける。
快感の荒波に何も言えない。
仕方ないので労うように頭に手を置き撫でてやった。
すると何故かキングは動きを止め、逸物から口を離す。
「お前、気持ちよくないの?」
「いや非常に気持ちいいが、先程も盛大に射精したばかりだろう」
「はぁ……そうかよ」
どうしてそうなるのか理解できないがどこか不貞腐れた態度で、そのままベッドに倒れ込む。
「ほら、次はテメェの番」
「了解した」
腰を浮かせて竿を抜き放ち、立ち位置をずらしてキングの肛門に自らの逸物を当てがった。
前戯で充分に解れた肛門はほぼ抵抗なく亀頭を呑み込んだ。
キングの反応を見ながら少しずつ腰を押し進めていく。
「痛みはないか?」
「何回ヤってると思ってるんだよ、こんなんもう余裕だよ馬鹿」
「そうか、なら遠慮はいらんな」
そう告げれば何故か表情が引き攣ったように見えたため、念のために余裕を作るようにゆったりとした動きから始めた。
意趣返しにこちらも竿に触れずに絶頂させてやろうと、一度射精しても硬度を保つ前立腺に浅めの挿入で亀頭を押し込んだ。
「うっ、ああっ……チクショウ……ッ!!」
「我慢をするな」
「うっせえ……くうっ……ンッ!」
どうしてか絶頂を我慢しようとするキングを優しく諭しながら重点的に責め続ければ耐えきれずに精を漏らす。
これまたされたことと同じことを返してやろうとその亀頭を咥え込みながら、慣れてきた尻穴深くまで挿入する。
キングの逸物の長さなら首を曲げて咥えながら腰を振り続けることも難しくはない。
ストロークを長く取り、抽送のペースも上げて届く範囲の腸壁全体から快感を与えるぐらいのつもりで腰を振り続ける。
「ひあっ!? くっ、テメェマジざけんな……あひぃっ!! おほっ、おおおっ!?」
憎まれ口を叩きながらも喜んでくれているようで何よりだ。
シーツを必死で握りしめながら尻尾をバタバタと叩きつけ、口からも嬌声と淫語がよだれとともに垂れ流される。
…………このようなものを自分にも求められているのだろうか?
確かにこれほどに快感を表に出してもらえればこちらとしてもやり甲斐があって非常に嬉しい。
とはいえ演技のようなものは嫌いだと明言されている以上はどうしようもない。
どうも俺は内側からじんわり感じ入るような形でしか肉体に快楽を反映できない性質のようで、申し訳ないがキングの理想には届かない。
仕方ないので精一杯の奉仕はしようと咥えたままの亀頭を吸い上げれば射精してくれた。
随分と長く量が多いなと感じていたが、なんと絶頂後に吐精し切る前に再び絶頂を迎えて連続で射精しているようだった。
俺自身精力にも多少の自信はある方だが、これはちょっと真似できない。
先程不満気に咥えるのを止めてしまったのは、俺にもこういうことを期待していてくれたからだったのではないかと気づいた。
相手を満足させるための連続射精とは……まだまだ俺にも技術的に至らぬ部分が多々ある。
精進しなければ。
とりあえず一回中に射精しよう。
「ひいっ、無理……やめっ……はうっ!? し、死ぬ……」
咥内という感覚に優れた部位で相手の絶頂をダイレクトに感じられることが嬉しくてついつい同じ攻め方ばかりを続けてしまった。
キングの射精の勢いも弱くなってきたし反応も先ほどより鈍い。
一度逸物を尻穴から抜いて、ぐったりとしたキングを背中から抱えるように抱き起こして改めて挿入し直した。
背面座位の型となり、体重で一層深く奥まで挿入される。
腹や胸板を愛撫しながら、口付けるには少し角度が悪いので首を絡めて頬を擦り寄せながらキングの口内に人差し指と中指を入れ舌を弄んだ。
腰を強めに突き入れれば勢いよく射精して、白濁した飛沫が顔にまで届く。
「ふぁへ、ふぁひへほうふぁふへふ……ふへえ……」
舌を弄び続けているため何を言っているかは分からないが、体位を変えたおかげで再び良い反応をするようになったことだけは確かだ。
涙を流すほど悦ぶその姿が嬉しくてまた射精してしまった。
二人同時に精を放つ満足感。
マスターを含めたダイナレスラーの仲間たちのことは皆好きだが、この男には最近特に惚れ込んでしまっているように思う。
自らの種で孕ませた腹を優しく撫でながら、この想いに相応しいだけの奉仕を遂げようと夜通し腰を振り続けたのだった。