スパンダムとモブ部下

スパンダムとモブ部下


おれの上司であるスパンダムさんは驚くほどにドジだ。本当に。マジでちょっと引くくらいに。この間は給仕室ですっ転んで皿と食材とご自分の服をダメにしていた。

「ぎゃあーっっ!! クソっ! なんでこんなところにビショビショの布巾が落ちてんだよ!! 誰だ放置したやつっ!!!」

そして今は、先程本人がぶちまけたコーヒーを拭き取った布巾を床に落とし、それに気付かず踏み、こちらが助ける間もなく転び、頭を強かに打ちつけている。

「スパンダムさん、お怪我は?」

言いながら彼を起こすために手を差し出すが、いらないと言うように手を払われてしまったため、自分で起き上がるのを見守った。他に控えていた同僚たちは各々片付けをしている。

「スパンダムさ」

「うるせェ、平気だよバカ! てめェら掃除したら仕事だ! 我々CP5の地位向上のために失敗は許されねェぞ、いいな!」

「はい、スパンダムさん!」

同僚と共に声を揃えて返事をする。

スパンダムさんはドジだ。マジで心配になるほど。でも、ドジ慣れしているからなのか切り替えが早い。おれはそういうところは尊敬してるんだよな。……いやほんとドジだけはどうにかしてほしいけどさ……。

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