ステップ・オブ・ミルクトゥース/ダンシング・ブルートゥ

ステップ・オブ・ミルクトゥース/ダンシング・ブルートゥ



「クソがぁ!!お前にあのがらくたども、邪魔なんだよぉ!!」

落下しながらネルは叫ぶ。アビ・エシェフと激戦を繰り広げ、落下中には相当な演算負荷がかかることを見抜いたネルは落下しながら決着を付けようとしていた。だが、量産型サーカスから放たれるミサイルやグレネード、バズーカにより相当妨害されている。何回か落下中に的確に狙撃され、ビル内に叩き込まれているのだ。


「あなたには、ここで、果てていただきます」

ネルは冷静を務めて言葉を出す。相当脳に負荷がかかっているがここを踏ん張れば地上付近でサーカスと挟撃できるという計算だった。


爆発や殺到したミサイルで量産型サーカスが木っ端みじんにされるまでは


「なっ・・・?!」

「はぁ?!」

二人同時に驚愕の声が出る。どうしたんだ。何があった。二人は落下しながらあたりを見渡す。



いた。複数並ぶビルの一つ、その屋上。そこにいた。


大分破損しているがあのずんぐりむっくりなシルエット。

大分破損しているが変わらないあの頼もしさ。

そして聞こえてきた声。


「お前らぁ!!待たせたなぁ!!」


その声に全員がそれぞれ様々な反応を返す。


「ラミーおじさぁん!!」

「ラミー!!」

「ラミーさん!!」

「生きてたんですね・・・!!」

「やはり、か。お前はただでやられる奴だとは思ってなかったぞ」

「相変わらずだね、あいつは」

「・・・やはりマッドスタンプは修理されていた。だけどあそこまで修復されていたのは少し想定外ね」


『ラミーさん!大丈夫ですか?!』

すぐさまヒマリが通信を無理やりつなげてくる。それに対して広域回線で彼は応えた。


「おうよ!あのままくたばってると思ったかァ?

無敵のラミー、復活だぁ!!!」


「トキィ!!行くぞオラァアアアアア!!!!!!」

「・・・ッ!望むところです!!」

落下しながら両者が激突する。

そしてラミーは自身を迎撃せんと集まってきている量産型サーカスとアバンギャルド君に目を向けた。


「敵は・・・なるほどな、多いか。だが問題ねぇ」

ショットガンをガシャンと構えながらビルから飛び降りる。


「今の俺は一味違うぜぇ!!!!」


「ボス、迎撃に向かおう。アバンギャルド君や量産型サーカスではラミーを止めることはできない」

「・・・あぁ、準備するさ。リオ、私たちは今度こそラミーを墜とす。あんたは留守番しな」

「えぇ、健闘を祈るわ」




一方数時間前、矯正局では・・・


「おい!脱獄者が出たぞ!!」

「監視は何をしてたんだ!」

「監視員全員気絶してます!」

「壁が破壊されてる…何が、あったんだ…?」

「監視カメラに写ってました!これを!」

「これは・・AC?





そして現在、エリドゥ


「ラミー!帰ってきたのはいいことだ!だが今度こそ墜ちてもらうよ!」

「ボス、援護しよう」

「ここがあんな広い場所じゃねぇでしょボスぅ!!」

『連携がうまいですね…!ですが、今のラミーなら戦えるはずです!』

「おうよエア!俺たちの力、見せてやろうぜぇ!!」

「エアもいるのかい?!」

ビルを破壊しながら3機は戦闘状態に入った。その余波で量産型サーカスやアバンギャルド君は吹っ飛ばされているが問題の範疇ですらない。チャティ自身にとっても量産型サーカスはただのかさ増しであり、カーラはアバンギャルド君ではACの戦闘に追い付けないことぐらい理解していた。

ラミーはビルや瓦礫を盾にしてミサイルを防ぎ、それを打開するためにカーラが突っ込んでくる。そして追従するようにチャティがバズーカやグレネードを発射する。


「ボスぅ、なんかやる気なさそうですねぇ!動きにキレがないですよぉ!!」

「そういうあんたこそ、それホントに大丈夫かい?!ボロボロじゃないか!」

「素早くなってお得でしょうがぁ!!」

「アンタそういう奴だったね!!」

『様子のおかしい人たちです』

RaDらしい掛け合いをしながら戦闘は続いていく。

すると突然、ヒマリが通信に割り込んできた。


『ラミーさん!』

「なんだよヒマリィ!!」

『そちらに高速で接近している機体反応があります!気を付けてください!!』

「はぁ?!ビジターか?!」

『いえ、ロニーやハウンズの子たちにはここに来たことは伝えていません!』

「お前後で謝っとけよ!」

『参考にさせていただきます!』

するとウタハが今度は割り込んできた。


『待って!その機体からこっちの通信に割り込んでくる!!』

『ダメだ!あっちのほうが速い!!』


「スロー、スロー、クイッククイックスロー・・・」(広域通信)


「『あ』」

ラミーとエア、察する。


「スロー、スロー、クイッククイックスロー・・・!!」(広域通信)


接近している機体。それはミルクトゥースに乗り込んだブルートゥであったのだ!!


「新しいご友人達のピンチと知りこのブルートゥ、ミルクトゥースと共に恥を忍んで駆けつけました!!

さぁ!これまでのご友人も、これからのご友人も共に踊りましょう!!」(広域通信)

「「『『うわでた』』」」

『様子のおかしい人です』

『うわ!すごい鳥肌が!!』

『うげー?!あいつも来たのかよ?!』


「おや・・・?その声はミレニアムのご友人たちですか・・・素敵だ。この要塞都市エリドゥ、今は誰が管理者なのでしょう…?リオでしょうか…?」

「「「ブルートゥ」」」

「おや、カーラにチャティ、ラミーですか。素敵だ・・・久しぶりにRaDの面々が揃いましたね♡」

「おいブルートゥ!クッソ嫌だが手を貸せ!」

『『『ラミー/さん?!』』』

「ボスたちがアリスを破壊しようとしてんだ!お前の新しい友人なんだろ?!助けてやれ!!」

「それは大変ですね!ではこのブルートゥ、チャティをお相手します♡!ラミーはカーラをお願いします♡」

「お前いい加減ボスのことはボスって呼べ!」

「撃ち落しな、チャティ!」

「了解したボス。確実に落とす」

するとチャティとブルートゥが交戦を開始した。心なしかチャティの攻撃が激しさを増している気がする。


「・・・さて、割り込まれはしたが・・・これで1対1だ」

「あぁ、ボス。やろうぜ」

「改めて言おうか。

アタシのフルコースをとくと味わいな!!

デザートまで付き合ってもらうよ!!」

「デリバリーにもデザート配達はありますぜボスぅ!!」

再びRaDの面々同士で交戦が開始された。






「スロー、スロー、クイッククイックスロー・・・!

スロー、スロー、クイッククイックスロー・・・!!

素敵なステップです、チャティ!」

「お前いい加減広域通信ヤメロォ!!耳が変になる!!」

「黙れブルートゥ!!」

「そんな・・・?!サプライズをさせてくれないのですか?!」

「「お前/アンタが十分サプライズだよ!!」」



Report Page