ジ エンドオブ ドリームランド

ジ エンドオブ ドリームランド

まだポップスターが生きていた頃のお話

今から遡ること数十年前。この星の住民が、まだ生きていた頃の話。

「これで…終わりだ!」

再びこの星を侵略しに来たダークマターをごはんとおひるねの為に立ち上がったカービィは、目の前のデデデに対して星型弾をぶつける。

「ぐっ…あ、ぁぁぁぁぁ!!!」

1度倒れたと思っていたデデデは何故か空へと浮かび上がり、腹をカービィに見せみち、ぶち、と不快な音を立て腹が裂ける。割れた腹からは目玉がこちらを覗き込む。

「…!まだ、やるつもりなの…!?」

少し息が上がってきたカービィだったがぐっと堪え、再び敵の攻撃を吸い込みながら攻撃をし続ける。攻撃を何発か与えた後、ついにデデデはそのまま地面に落下し倒れ伏してしまった。

「…!デデデ、大丈夫!?」

「ぁ…が、は…」

「酷い怪我…待ってて、今助けを」

「がぁびぃ…ゔしろ」

「え?」

『油断したな、星の戦士』

カービィの気が大王に向いている隙に身体から抜け、剣を持ち背後へ回ったダークマター。反応がほんの数秒遅れ、攻撃を受けたカービィは倒れ込んだ。

「…!カ…」

『大王、よくやった。貴様のおかげで、我々の計画は上手く行きそうだ』

大王はカービィに触れる。か細いが、まだ息はある。カービィの身を守るように大王は覆いかぶさった。

『どけ大王。その者は我々の計画の邪魔になる』

「どけ、だと…?へへ、嫌だね…テメェらの操り人形になってるだけじゃ終われねぇよ…」

『…そうか、なら』

ダークマターはため息をつき、剣を振るう。次の瞬間、大王の体の右側が不意に軽くなった。ごとり、と嫌な音がたち、ずきずきと右側が痛み始める。

「………あ…?」

おそるおそる音がした方へ見ると、そこにあったのは。

…紛れもなく、斬り落とされた自分の右腕だった。

「…あ、あ…!あぁぁぁぁぁぁッ!!!」

あまりの痛さに転げ回る大王。それを見たダークマターは『やはり生物というものは脆いな』と呟いた。

「っは、あ゙、ぅ゙、あぁぁぁ………!」

先程の腹裂けのダメージとの併用で意識を失いかける大王。ダークマターはカービィを持ち上げ、どこかへ連れ去ろうとした。

「ま゙、まて…いくな………!」

手を伸ばすも当然届かず、そのまま距離が開いていく。もはやここまでかと思われたその時、上空から猛スピードでダークマターに突っ込んでくる人影が…

『…!』

ガキンッ!と剣と剣がぶつかり合う音。突っ込んできた相手はメタナイト、今回の騒動を聞きつけ駆けつけたという。

「…!メタ…」

「大王!これは一体どういう状況だ!?」

「カービィが…負けちまった……お前は、こいつを夢の泉に連れて行け…!」

ダークマターの集中がメタナイトに向けられた隙にカービィを掴む大王。そのままメタナイトにカービィを投げ、息も絶え絶えな声で叫んだ。

「しかしキミは…!」

「いいから行けェ!!!」

大王はメタナイトを突き飛ばし城の外へ追いやった。大王の背後には影が伸び、今にも大王を包もうとしていた。

「だいお…」

「……あとは頼んだ、メタナイト」

「………ッ!」

メタナイトは大きく翼を広げ、スピードを上げ去っていった。もちろんダークマターがこれを見逃す訳には行かず、下っ端を何十匹か送らせた。

★★★

場所はレインボーリゾートに移り、メタナイトは『メタクイック』を使い猛スピードで夢の泉まで飛ぶ。その背後で何十匹ものダークマターが攻撃を仕掛ける。最初の方こそ跳ね返したり逆に攻撃をしていたメタナイトだったが、徐々に数に押され始め装甲や羽がボロボロになっていく。

「……がッ!?」

ダメージを受けながらも飛び続けていたメタナイトだったが、ついに一線のレーザーが自分の身体を貫く。一瞬意識が飛びかけるも、メタナイトは飛び続けた。ダークマターたちも、レーザー攻撃が有効だと察したのかどんどん本数を増やしていった。

「…『ギャラクシアダークネス』!」

メタナイトは宝剣ギャラクシアに力を込め、一線上に斬り捨てる。見事全てのダークマターに命中し、ダークマターは散り散りになった。

「はぁ、はぁ…げほっ、ごほっ…」

ついに夢の泉へとたどり着いたメタナイトだったが既に身体はズタボロ、立つのさえもやっとな程だった。カービィを夢の泉の内部から溢れる水の中に沈める。

「…大王の目論見通りになれば、この泉のチカラできみの傷は元通りになるだろう。…何年、かかるかはわからないが…」

カービィの近くに腰を下ろす。おそらく自分の死期が近いと、悟ったのだろう。

「…きみばかりに、こんなことを押し付けてしまって。しかし…私は信じているぞ……きみが必ず、この悪夢を……終わらせて…くれることを…カービィ…きみは……われわれの…さいごの…きぼ………」

メタナイトは何かを言う前に倒れ込んでしまう。徐々に息継ぎが少なくなり、目の前が霞んでくる。

「おまえ…たち…すま……な…い……」

そう言い残し、彼は動かなくなってしまった。辺りには、永遠の静寂が訪れた。

★★★

『ゼロ様』

『帰ったか、マターよ。カービィはどうなった?』

『…申し訳ございません、メタナイトの妨害により、逃してしまい』

『そうか、もう下がってもよい』

『………承知』

一方、ハイパーゾーンではダークマターとゼロの会話が行われていた。ゼロはダークマターをハイパーゾーン外へ行くように言うと、大王の身体を自分たちのエネルギーで塗り替える。

『足掻け、大王よ。そして、我を楽しませてみせよ』

『夢の泉という厄介な産物はあるが…そうだ、あえてアレを壊さずにおこう。すぐ絶望にたたき落とすのはつまらんからな』

それは呪いと呼ぶべきか、祝福と呼ぶべきか。ゼロは不敵な笑みを浮かべた。

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