ジョイボーイ&ワーテル撃破後
なんとかジョイボーイとワーテルを撃退した麦わらの一味とハートのクルー
無事にルフィとローをジョイボーイとワーテルから解放し、その後大聖杯を破壊した
激しい戦闘が終わりルフィは世間から"海賊王"と呼ばれるようになった
ローも通り名が"死の外科医"ではなく"ワンピース"と言う通り名に変わっていた
これには麦わらの一味もハートのクルーも大激怒した
ローは自分がワンピースと呼ばれることをあまり気にしていない様子でローがその調子なら自分たちも騒ぐわけにはいかないと大人しくなった
だが、ローの身体機能は元に戻ることは無かった
綺麗だった青みがかった黒髪も白銀に変わりローを象徴するような琥珀色の瞳も深紅の瞳に変わっていった
壊死してしまった四肢は真っ白に変わり皮肉にもローを苦しめた珀鉛病を発症したような見た目だった
ローは1人で生きることが困難になり誰かの手助けがなければ生活もままならない
麦わらの一味とハートのクルーは話し合いに話し合いを重ね、一緒に航海をしていくとになった
その方が何かあった時協力し合えるし、世界のパワーバランスを崩しかねないローを狙う輩からも守ることが出来る
その点からもこの2つの海賊団の利害は一致した
最初はローは反対していたが数ヶ月共に行動していくうちに文句を言わなくなった
ルフィもラフテルでのローの姿を見てから妙に過保護で何をするにもローのそばに居る様になった
時々黄泉の国からジョイボーイとワーテルがやってきたりするが毎回ルフィが黄泉の国に返していた
ルフィどころか麦わらの一味も全員ローに対して過保護になり、わざわざ船をローの生活しやすいように改築したり、フランキーやウソップがロー用の車椅子を制作したりした
サンジもローが好きな料理ばかりを作るようになりロビンやナミもやけに構ってくるようになった
ジンベエやブルックに関しては扱いがもはや孫
あのゾロでさえローの世話を仰々しくやきローは違和感で鳥肌が止まらなかった
ハートのクルーは特に変わりないと見せかけて昔よりも過保護が増した
「トラ男〜!ご飯だぞ〜!」
「ああ。わかったトニー屋」
そしていつものようにチョッパーはローの車椅子を押して食堂へ向かった
ローは足どころか手も聖杯のときの侵食で動かなくなってしまった
そのため自分で車椅子を動かすことが不可能なため毎回誰かが押さなければならない
ローは申し訳なく思っていたがそんなこと気にする人間などここにはいない
なんなら嬉々として車椅子を運ぶような連中だ
「ついたぞ!」
「お!チョッパー!トラ男!」
「ウソップ!」
右の通路からウソップがやってきてさり気なく食堂の扉を開いてローを食堂まで入れてやった
「お、来たかロー」
「ああ。……いい匂いだな。黒足屋」
「当然だ!」
ローはいつものように美味しそうな食事の匂いに目を輝かせていた
サンジは嬉しそうにローを席まで案内してローを椅子に座らせてやった
そのまま料理をローの元に運んだ
「とりあえずみんなが来るまで待っててくれ」
「ああ」
ローの体重は聖杯として覚醒してからやけに軽くなり、今やナミですら頑張ったら持ち上げられるほどだった
そして人としての機能が落ちたせいか子供よりも少食になってしまいローの体重は減っていく一方だった
それに危機感を覚えたチョッパーやハートのクルーたちは共同で少ない量で必要な分の栄養を取れる食事を考えていた
船のコックとしてサンジもその話し合いに参加しており日に日にローの食事問題は解決に進んでいっている
「ヨホホホホ!トラ男さん。お体は大丈夫ですか?」
「はっはっはっ!ほれ、お主の好きな果物を持ってきたぞ」
「悪いな海峡屋。それと体は大丈夫だ骨屋」
ブルックとジンベエはローに会う度に孫のように甘やかし、体を気にかけていた
「……?今日は2人が隣に座るのか」
「ええ。ようやく順番が回ってきましたよ!」
「はっはっはっ!全くだ!」
ローの隣に座るのは順番性だ
何故そうなったかと言うとローの隣に座りたがるルフィやチョッパー、ハートのクルーの争いが毎回のように起きたからだ
それからローの隣に座るのは順番性と決まった
「おっ。トラ男、体は大丈夫か」
「ゾロ屋……せめて汗は拭いてからこい」
「おう。悪りぃ」
ゾロはいつも通りに接しているように見え、実はローのことを気遣っている
ローを見かけると危険なものを遠ざけ、頻繁に話し相手になってくれていた
他にもナミやロビンもローに対してかなり過保護になっている
ローが出かける度にナミは金を渡してくるしロビンは牽制をしたりと忙しない
ハートのクルーは言わずもがなキャプテン至上主義なので基本的に過保護だ
そして1番厄介なのは
「トラ男ー!体大丈夫か!?」
「麦わら屋……」
ローにとって1番厄介なのはルフィとなっていた
別にルフィが嫌という訳ではなくルフィが1番ローに過保護だからなのである
自分のクルーとハートのクルー、そして自分の傘下以外の人間が近づこうとすると覇王色の覇気を撒き散らすのだ
それには麦わらの一味やハートのクルーも不思議に思い調べてみるとジョイボーイのせいだと判明した
ルフィはジョイボーイに強く意識を乗っ取られたせいでジョイボーイの意識が根付いてしまっていた
ジョイボーイのワーテル(ロー)の過激派SECOMの部分だけがルフィに移ってしまい今のルフィはジョイボーイの魔術師的な思考を抜いたローの過激派SECOMであふ
「ルフィ!早く席につけ!」
「おう!」
そうしてみんなで一緒にご飯を食べ始めた
「ほら、ロー口開けろ」
「あー」
ローは自力でご飯を食べることが不可能なのでローにご飯を食べせるのはもっぱらサンジの役割だった
サンジは食事を作るとき味見を頻繁にするため腹は脹れているし、みんなはご飯を食べるのに忙しいから必然的にサンジがローにご飯を食べさせるしかなかった
「よし、よく食べきれたなロー!」
「……俺は子供じゃないぞ」
そうしてローは騒ぎながらご飯を食べているみんなを見つめた
(……)
ふとローは自分の腕を見つめた
動くことができなくなった己の腕
ローは医者だ
それもかなりの腕の
ローは医者としての誇りを誰よりも持っていた
それに医者とは唯一父と母と繋がっているものだ
でも、こんな体じゃもうまともに医者として生きることは出来ない
もう、諦めはついている
(それでも……辛いものは、辛い)