シーンSS“汚れた身体”
ちょっとだけえちい描写あるのでテレグラフで投下します。
隊長についていくか時間を置くか、ついていく方のが実は健全度が高い展開になる想定でした。(着替えるって言ってたの忘れてそのまま1分程度の差でドア開けちゃって服脱ぎ掛けフワ~オ♡なToLOVEる展開)
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自室に戻ったマッキンリーは後ろ手にドアを閉めると大きなため息をついて身体を覆っていたマントから手を離す。
僅かに下方へと視線を向け、下唇を噛み締めながら乱雑にマントをテーブルに脱ぎ捨てると衣装棚からタオルケットを一枚掴み取った。
「……情けなし、このような浅ましい身体に成り果てて…っ」
ソファに腰を下ろして改めて自分の胸元へと視線を向ければじわりと汗以外のもので出来た染みが広がっているのが見て取れる。
地面の僅かな凹凸や小石の欠片にその場所が擦れただけでこのざまだ。
散々玩ばれて嬲られ続けたその場所は、元々の敏感さ以上に無駄に快楽を拾う場所へと変わってしまった。
それでも、過酷な環境での心労からか強く絞られでもしないと出なくなるくらいには鳴りを潜めていた筈なのに、今はもう刺激自体は止まっていてもじわじわと滲み出るほどになっている。
「まともな環境に置いて頂いた事が、こんな事態に繋がるとは…。傷が癒えたのならこの変化も戻ってくれればいいものを」
誰ともなしの悪態は空しく室内に消え、残っているのはじくじくとした熱の残滓に疼きが治まらないという身体の訴えだった。
(鎮めなければ、どうしようもないのか…)
やるせない気持ちになりながらも、シャツを捲り上げて落ちないようにその端を口に咥えると、露わになったその場所へと指先を伸ばす
「…っ、ん……っ」
触れただけの刺激でも、びくりと身体が小さく跳ねる。漏れ出そうになる声を噛み殺しながら、きゅ、きゅ、と絞り出す動きで胸の先端を指で押しつぶした。
「っ、く、ふ……」
ぴゅう、と細い軌跡を描いて白い液体…乳汁がマッキンリーの乳首から飛び出して膝に敷いたタオルケットへと染み込んでいく。
勢いが足りず滲み出たものはぽたぽたと雫になりながらマッキンリーの両手を濡らしてタオルケットへと落ちていった。
シャツを噛んだ歯の隙間から荒い吐息を漏らしながら、絞るだけの行為ですら快楽を拾いじんじんと甘い疼きを生むその場所を恨めしそうに睨みつける。
しかしそれも長い時間は持たず、身体の中に増していく熱はその視線を蕩けさせて、うっすらと生理的な涙の幕が張っていく。
(こんな、ことは駄目だ、駄目、なのに…っ)
その意志とは裏腹に人差し指が乳を絞る動きから外れると、乳首の先端をぐりぐりとこね回すような動きへと変えられる。
「っく、ふ、んんん……っ!」
神経をビリビリと伝うような強烈な快感に身を震わせながら、より一層シャツを強く噛んで嬌声を噛み殺す。
ぷし、ぷしゃっと断続的に指先の隙間から噴き出す乳の勢いは増し、タオルケットはしっとりと湿り気と重みを感じさせるほどになっていた。
「ん、んっ、くふっ、ぅ……っ」
指の動きはもう搾乳ではなく快感を追い求める動きでしかなくなっていて、耳の奥をドクドクと早鐘のような心音が響いている。
——だから、気づかなかった。案じるように自分を呼ぶその声に。
耳に入ってきたのは、ガチャリとやけに浮いたように耳に響くドアの開放音。
「だいじょう……えっ」
「……っ、ぁ……!」
時が止まったようなその数秒は、マッキンリーにとって何時間にも感じるほど長い硬直で、あってはならないはずの状況だった。
背筋が凍り付いたように血の気が引いて、呆然と開いた口からパサリとシャツの裾が胸元へと落ちる。
「……ち、「——っ、ご、ごめんなさい……!!」
違う、と反射的に口にしかかった言葉に盛大に被さるようにして発せられたボンチの叫びに思わず息を呑む。
そしてボンチは勢いよく背を向けると、まろび出るようにバタバタと部屋の外に出てドアを閉める。そのままマッキンリーの言葉を待たずに早口でまくし立てる声がドア越しに聞こえてきた。
「あぁぁあの、ち、ちがくって、着替え終わったかなと思って部屋の前まで来たら、その、苦しそうな声が聞こえたから、てててっきり具合が悪かったのかと勘違いして、ノックにも返事が無いから緊急事態かもって……だ、だから覗こうとかそういうやましい意図は決して…!」
ああああ…、と頭を抱えたようなくぐもった声には狼狽や羞恥は色濃いが、非難や嫌悪の色は感じ取れずマッキンリーは信じられない気持ちでぽつりと言葉を零す。
「ボンチ様、は……咎めないのですか。このような、浅ましい…見苦しい姿を晒したわたくしを」
背を預けていたのだろう、ガタリ、とドアが揺れる音が響く。
「なん、でそんな風に言うのさ……勝手に部屋に入ったのも、はだ…デリケートな姿を見ちゃったのもぼくの方なのに」
悲しそうな声色に、この人はどこまでも労りの心が強いのだろうとマッキンリーは目を伏せて自嘲気味に口を開いた。
「お父君の言葉は……あながち間違ってはいないのです。わたくしはとうに、汚らわしく堕落した身体になっているのだから。せめて、醜態を隠し通して貴方の目を汚すことだけは避けなければならなかったのに、申し訳…ありません…」
——バタン!
「そんな事、ない!」
閉めた扉を再び開け放ってボンチは部屋へ飛び込むと、まるで泣くのを堪えているかのように歯を食いしばり、マッキンリーの側まで足早に歩み寄る。
「ボンチさ……」
「貴方は……綺麗だ! 心も身体も、誰が何と言おうと、過去に何があってもマッキンリーさんは汚れてなんかない!!」
部屋中に響き渡るような声でそう叫ぶと、感極まったのかそのままううう…と唸りながらボロボロと涙を零してしゃくりあげ始めてしまう。
いつの間にか飛び出していた耳と尻尾は両方とも力なく伏せて丸められ、鳴き声には特大のしゃっくりも混ざって大変なことになっていた
「……はっ! だ、大丈夫ですか、落ち着いてくださいボンチ様……!」
予想もしていなかったボンチの言葉と号泣に呆然としていたマッキンリーは我に返ると慌ててボンチを落ち着かせようと服を戻すと立ち上がりボンチの背を擦る。
しゃくりあげが次第に鼻を啜る音に変わり、ようやく涙が落ち着いたのを確認したマッキンリーは、ホッとしたように肩の力を抜くとボンチの前へと膝をついて視線の高さを合わせた。
「…ボンチ様、貴方を悲しませるつもりはなかったのです、本当に申し訳ありません。そして……ありがとう、ございます。貴方の言葉に、行動に、わたくしは何度も救われております」
「……もう、自分の事をあんな風に言わない?」
目を真っ赤にしながらも真っ直ぐに視線を返してくるボンチへとマッキンリーは強く頷いた。
「はい、決して。お約束いたします」
その言葉を聞いて、ボンチは反射的にマッキンリーへと飛びつくとそのままぎゅっと抱きしめるようにして肩口に顔を埋める。
「絶対だからね!」
イヌイヌの実の制御が効いていないからなのか、尻尾をぶんぶんと振り回しながら鼻先を擦り付けてくるボンチの行動に恥ずかしいような微笑ましいような気持ちでマッキンリーはポンポンとボンチの背に手を置いた。
「……マッキンリーさん、いい匂いがする。甘くて、優しくて……身体がポカポカしてくるよう、な…………ってうわぁ!? ごめんなさい!」
そう呟かれながら首筋ですんすんと鼻を鳴らされて、え、と思った瞬間ボンチが弾かれたようにバッと身体を離して降参するように両手を上げる。
「ちょ、ちょっと今イヌイヌの実の制御が効いてなかった…! セクハラじゃないです!」
もし獣型になっていたら腹でも見せていそうなその様子にマッキンリーは思わず吹き出すと「そんな風には思ってませんよ」と首を振る。
「部屋が乳臭くなってしまっていたせいでしょう、身体の方も落ち着きましたし、片付けたら換気をしておきます」
「そ、そう? うん、そうだね……? じゃあぼくは、執務の方にモドロウカナ?」
少しぎくしゃくとした動きで今度こそマッキンリーの部屋を後にしたボンチは、廊下の角を曲がると顔を真っ赤にしながら執務室までダッシュすると応接用のソファにダイブしてクッションに顔を埋めながらバタバタと足をばたつかせた。
(どうしよう、どうしよう、どうしよう…! なんかもう色々と! 色々とーっ!)
心中を言語化出来なくなるほどにめちゃくちゃになりながら、ボンチは一人悶え転げ続けるしかなかった。