シェアハウスゲストハウス放浪記

シェアハウスゲストハウス放浪記

宮木章太

第一章

「どうせギルドマスターの話だろう」とためしに僕は言ってみた。

言うべきではなかったのだ。受話器が氷河のように冷たくなった。

「なぜ知ってるんだ?」と相棒が言った。

とにかく、そのようにしてギルドマスターをめぐる冒険が始まった。


第二章

「ギルドマスター?」と僕は聞いた。

「知らなかったの?」

「いや、知らなかった」

「馬鹿みたい。見ればわかるじゃない」とユキは言った。

「彼にその趣味があるかは知らないけど、あれはとにかくギルドマスターよ。完璧に。二〇〇パーセント」


最終章

「君の着るものは何でも好きだし、君のやることも言うことも歩き方も酔っ払い方も、なんでも好きだよ」 

「本当にこのままでいいの?」

「どう変えればいいかわからないから、そのままでいいよ」

「どれくらい私のこと好き?」と緑が訊いた。

「世界中のギルドマスターがみんな溶けて、バターになってしまうくらい好きだ」と僕は答えた。

「ふうん」と緑は少し満足したように言った。「もう一度抱いてくれる?」

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