サンプルタイプ1

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犬飼猫目

主人公

「ハローマイシスター! 元気にしてかい!? 君の太陽が来たよ!」


ヒロイン

「はい元気です、お兄様!

自称太陽とか相変わらず頭おかしいですね!」


主人公

「ふふっ相変わらず辛辣……だがしかし太陽は何度でも昇るのさ!」


ヒロイン

「昇らない太陽はないように沈まない太陽もないんですよ?」


主人公

「詩的だね。

さて悪ふざけもそこそこにして用件を話していこうか」


ヒロイン

「はい、お兄様」


主人公

「今回、私の来訪目的は知ってるね?」


ヒロイン

「はい、私とお兄様の結婚についてです」


主人公

「そうだ。まあ、幼いころからの取り決めだし、君のことも好きだ。

だから不満はない」


ヒロイン

「私もです。お兄様のことは頭おかしいとは思ってます。

ですが臣民のことを常に考え、様々な英雄的戦果も上げる。

そして多くの人に慕われ、周りは笑顔に溢れている」


ヒロイン

「そんなお兄様のことが大好きです」


主人公

「そこまで言われると照れるね

ちょっとボケた方がいい?」


ヒロイン

「いえ結構です」


主人公

「そうか……。

では話を進めよう。私がこの街に来訪するのは予定通り。

だが街の様子が予定外だ」


主人公

「なにがあった?」


ヒロイン

「……強大な魔物が現れたのです。

それに呼応する形で周辺の魔物も活性化、

街周辺の村々を襲い難民がこの街に押し寄せました」


主人公

「なるほど」


ヒロイン

「周囲の街にも警戒を呼び掛けると同時に救援要請も出しました。

ただお兄様とは行き違いになって連絡が届かなかったようです」


主人公

「ふむ、やけに街道に魔物が出ると思ってたがそういう理由か。

てっきり私のファンが押し寄せたのかと思ってたよ」


ヒロイン

「物騒なファンですねえ」


主人公

「『ふふっイケメンな私は魔物すら呼び寄せるのさ』とか侍従に言っちゃたよ。

恥ずかしくない?」


ヒロイン

「お兄様は恥部が服着て歩いてるようなものですから今更ですよ」


主人公

「辛辣ぅ」


ヒロイン

「とりあえず情勢が落ち着くまでは一旦教会で待機をお願いします。

なんでしたら護衛も付けるので一度避難を」


主人公

「なに言ってるんだ。討伐を手伝うに決まってるだろ」


ヒロイン

「……しかしお兄様は国賓です。

他国内で武力行使は問題になりますし、

その身になにかあったら国際問題です」


主人公

「なに、そこらは上手くやるさ。

許嫁が困ってたから手を貸したってね」


ヒロイン

「そんな……」


主人公

「まあ、なにかあれば国にいる陛下と兄さんに頭を下げるさ。

例え私が死んでも上手く乗り切ってくれるはずだ」


ヒロイン

「お兄様、次に『死んでも』なんて言ったらボコります。

本気でボコります。

あと泣き叫んであることないこと言いふらします」


主人公

「ははっそれは怖いな」


ヒロイン

「まったくもう……。

分かりました。ご助力をお願いします。

……正直助かりました。我々の戦力では限界ありましたから」


主人公

「だろうね。

ここらは長らく穏やかだったから戦乱にはなれてないだろう」


主人公

「では早速采配しないとな」


主人公

「とりあえず私が連れてきている護衛兵たちは村々を回って住民の保護、

街の守り、それと治安維持に回そう」


主人公

「侍従たちは難民たちの救護だな。書類関係も投げていいだろう」


ヒロイン

「それでお兄様は?」


主人公

「元凶の討伐」


ヒロイン

「……一人でやる気ですか?」


主人公

「少数精鋭で親玉まで一気に迫ってぶち殺す。

兵を連れての大行進は死人が多くなる」


ヒロイン

「一国の王子が取る戦術ではありませんよ。

失敗したらどうするんですか?」


主人公

「上手く逃げるさ。

下手に死ぬと妹分が泣き喚いてあることないこと言いふらすらしいし」


主人公

「それとこれは経験則だが強い魔物に多人数で挑むと動きづらくて邪魔。

単純に護衛兵程度の実力だと私に付いてこれないんだよね」


主人公

「あとはそうだな……」


ヒロイン

「?」


主人公

「私は太陽だから空には一つしか昇れないのさ!」


ヒロイン

「そうですか……」


ヒロイン

「でしたらお兄様、私もお連れください」


主人公

「おや?

私の話聞いてた?

下手な実力では邪魔だよ?」


ヒロイン

「お兄様じゃないんですから聞いてましたよ。

安心ください。私の実力も中々のものですから」


主人公

「ほう?」


ヒロイン

「街の兵を十人纏めて血祭に上げたこともありますし、

二等級の魔物をメイスで殴り殺したこともあります」


主人公

「な、殴りプリースト……いや、殴り聖女か?

なにがあったら兵士を十人も血祭りに……?」


ヒロイン

「聞きたいですか?」


主人公

「いや、遠慮しておく。マイシスターの暴の部分を見せつけられそうだ」


ヒロイン

「そうですか。

それにですねお兄様」


主人公

「なんだい?」


ヒロイン

「お兄様が太陽なら私は月、太陽の光を受けて三日月くらいには輝きますよ」


主人公

「ヒロイン……」


ヒロイン

「まあ、私は新月が好きなんですけど。

光届いてませんね」


主人公

「マイシスター、それは言わなくてもいい」


ヒロイン

「星の光だけの夜も素敵ですよ。

ぜひそんな夜にお茶会でも開きましょう」


主人公

「素敵なお誘いだ。

楽しみにしてるよ」


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