サンジ不在の♀ルフィと♀ゾロのいちゃいちゃ

サンジ不在の♀ルフィと♀ゾロのいちゃいちゃ


サンジ×♀ルフィ♀ゾロ前提で♀ルフィと♀ゾロがいちゃいちゃする話。♀ルフィと♀ゾロの間には恋愛感情は無くあくまでスキンシップの延長線。





クソコックは食材の買い出しと、ついでにナミとロビンの荷物持ちに駆り出されるらしい。今日は島の宿に泊まるからと告げたナミの後を付いて船を降りようとしたら、アンタは留守番、と追い返された。文句を言ってやろうと口を開いたおれを無視してナミは、ルフィ、あんたもよ!と叫んだ。おれの後ろで呑気に笑ってたルフィも、えー!と抗議の声を上げている。 アンタらまたベッド壊したでしょう、その罰、お小遣いも抜き!材料費もタダじゃないのよ!

ありゃあルフィ……いやルフィとエロガッパが盛り上がったせいで……とルフィを指さしたが、ルフィもお前のせいだろとでも言いたげにこちらをじとりと睨んでいたので一旦口を噤む。まぁつまりは……何もかも全部丸ごと変態コックのせいってこった。




じゃあね、良い子にしてるのよ、と船を降りた奴らを見送って、2人だけで留守番するのは慣れたものだった。ルフィは他の奴らが構ってくれない分やたらとおれの辺りをウロウロしていたが、それに適当に構いつついつものトレーニングを済ませて昼寝して作り置いておいた飯を喰って酒も飲んだ。風呂は……めんどいからパスだ。後は寝るだけだなといつもより早めに新品のベッドに潜り込んだら何故だかルフィも一緒に入ってきた。


「おいルフィ……」

「暇だ!」


ルフィはぶすっとしながら掛け布団を剥ぎ取っておれに覆い被さるように抱き着いてくる。とっとと寝ろ、とルフィの顔を押し退けようとした掌に、ちゅう、とリップ音が重なった。


「なぁ~ゾロォ~~」


態とらしい甘えた声もルフィに限って態とじゃなく天然物なんだから余計にたちが悪い。こうなってしまったらもうルフィを大人しくさせるには時間と労力がかかるし諦めた方が遥かにマシだった。


「何すんだよ」

「ん~~~、くっつく!」

「はァ?」


だってよォ、とおれを見下ろす黒目が灯の影となっておれの全てを見透かすように。


「ゾロも、サンジといちゃいちゃしたかったんだよな?」 


違ェ!と怒鳴って頭を引っぱたいてやればよかった。それをしなかったのは、ゾロ『も』という微かに震えたその助詞のせいで。だから、黙っておれはルフィの円やかな頬に口付けを落とした。ルフィ『も』こういうスキンシップは嫌いじゃなかった。……いや、好きにさせられちまったんだろう。ここに1番居るべきなのに何故かいないどっかの馬鹿野郎のせいで。


アイツが居ないせいで広すぎて冷たいシーツを埋めるには2人でくっつくのが手っ取り早かった。ルフィを抱き寄せるようにして口付けを繰り返す。


ルフィの頬はいつからかその円さと柔らかさに磨きがかかったようだった。気になって尋ねようとしたその前にあの阿呆がぺらぺらと語っていたことを思い出す。化粧水だの何だののスキンケアが云々───。身の回りの手入れは面倒くさがるがやって貰えるなら喜んで享受するルフィの顔に、ごつくて指も細くないくせにやけに長い、ささくれひとつない掌が添えられていたのを鮮明に思い出す。思い出してしまう。チョッパー調合のナントカとかいう液体が、ルフィの皮膚に塗られていく。効能らしきものを呪文みたいに唱えながら、掌はルフィの頬を慈しむように摩り、撫でる。目元からすうっと、包み込むように。おれは、何でそれをじっと見ていたのだろう。


「ゾロ」


下腹部にまで痺れをもたらす低音ではなく伸びやかなソプラノで名前を呼ばれたことに落胆してしまった自分がいることに混乱する。おれの目の前にいるのはルフィだ、断じてクソ眉毛なんかじゃない。分かってるはずだろう。なのに。


「んん~?なーんか変な感じすんなー」


多分、ルフィにはバレている。おれが何を考えていたのかも。

それでもルフィはお返しとでも言うようにおれの頬にもリップ音をさせてから、寝間着の前を開ける。押さえ付ける布地が無くなった胸がゆさっと揺れてはまろび出るのを抑えるようにルフィの手が乳房に触れた。


おれ達にとって胸を触り合うことはただの遊びの一種だった。そこになにか出っ張っている物があるから触る幼児のようにルフィはおれの胸を掴むことはあったし、おれもお返しとばかりに揉むことは多々あった。いつもの戯れの延長線、のはずだった。

おれの胸にルフィの手が触れる。いや、触れるか触れないか、熱いくらいの体温がじりじりと薄い皮膚を焼く錯覚を覚えるくらいのギリギリの距離で撫でるように。それから、決して頂点を刺激しないように円周をゆっくりと人差し指がなぞっていく。鎖骨の下辺りから、谷間、胸の下まで。薄く汗をかいていたようできゅ、と指と皮膚が擦れる音が微かに聞こえておれはかっと耳が熱くなるのを感じた。

何だ、何だこれは。いつものルフィの触り方じゃねェ。いつもは乱暴なくらいだったじゃねェか。こんな、こんな中途半端でまだるっこしくて苛々してでもゾクゾクするようなこれは、


「……ゾロ」


幻聴。しかもいつもの喧嘩越しの怒鳴り声じゃねェ、聞いちゃいられないくらいに甘ったるくて重たい低音。


おれは『ルフィ』を見上げる。おれでさえこうなっちまったんだからルフィなんて酷いものだった。舌をべろりと出して熱で潤んだ瞳を瞬かせては空腹を訴えている。おれでは到底満たしてやることのできない飢え。それをどうにか散らそうとするかのように、ルフィはとうとうおれの胸を触りながら自分の胸を触り始めていた。そんなことをしたって、お前の掌じゃそれを包み込むには小さ過ぎるだろうに。おれは最早自分の熱を発散することに夢中になり始め疎かになっていたルフィの左手を押しやり、徐々にではあるが主張し始めているルフィの頂きをぴん、と軽く弾いてやる。


「ひゃん♡」


と随分可愛らしく鳴いたって、褒め讃えて舐めて咥えてやることはさすがにおれにはできない。ルフィもそれを知っているから、おれをじっと見つめただけで深いため息をついてベッドに倒れ込んだ。2人でくっついて埋められると思った隙間が何故だか広がっているだけだった。


気付いてしまった。

気が付きたくなかった。

口付けも愛撫も何をしようとも何をされようともどうしたって根底にあのぐるまゆがいる。無意識に無自覚におれはあいつだけを求めているし、ルフィだってそれは同じだった。今後、万が一に億が一に誰かに触れられることがあったとして、あの手つきと声音と煙草の香りを想起せずにはいられない。クソ、全部全部ド変態早漏野郎のせいだ!だからだから早く──


「ああ~~~!!!早くサンジとえっちしてェ!」


大声で叫んで、な!と満面の笑みを向けるルフィと一言一句同じことを考えていたなんてとてもじゃねェけど言えない。言えないけど多分全部ルフィにだけはバレていて。でもまぁこんな欲求不満じみたものを共有できるのはルフィだけっていうのは悪くは無い。できるなら一生あいつになんかバレたくないからな。おれは黙ることでルフィに同意を示した。


結局、芽生えた熱はそのままにとっとと寝ることにした。帰ったら覚えておけよ絶倫コック、三日三晩寝かしてなんかやんねェからな!

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