サプライズ計画

サプライズ計画


※アホエロですらないただのアホ


両面宿儺は激怒した。

必ず、かの愚かな小僧を理解らせなければならぬと決意した。


発端は先日、自室の床に敷いたペットシーツに向かってガニ股ダブルピース無様放尿をキメさせたことだった。

膀胱を空にした虎杖は泣いた。それはもう身も世もなく咽び泣いた。流した涙は漏らした尿の量を優に超えていたという。

15歳の高校生であるところの虎杖にとって、お漏らしはある意味で無様射精以上の羞恥を感じる行為であり、二度と同じことを強制されたくはない。

そういうわけで最近の虎杖は就寝前の水分補給にはカフェインの含まれていない白湯を飲み、尿意がなくとも必ずトイレを済ませてから布団へ入っていた。

ちなみにこの新ナイトルーティンを知った釘崎からは「OLと小学生の融合」というありがたいお言葉をいただいている。


これに不満を抱いたのは宿儺である。他にいてたまるか。

小僧の嘆きっぷりに大層満足した呪いの王は、しばらく放尿プレイで楽しむ気満々であったのに、出すものがない状態ではやりようがない。

「おおそうだ、放尿そのもののではなくともそれを強く連想させる行為ならいいのでは?」

最悪のコペルニクス的転回をキメた宿儺だが、具体的に連想させる行為とはどういうものかでまた悩む。ただ便器に向かって射精させるだけではインパクトに欠ける。というかそれに似た行為はすでに実行済みだ。

ただ年の功より亀の甲。千年越えのシワを刻んだ脳で虎杖のベッド下に押し込まれているアダルトグッズに使えるものはないかとラインナップを思い返していると、おあつらえ向きの購入物があったことに思い当たる。

犬耳カチューシャ、赤い革の首輪、尻尾ディルド。つまるところワンちゃん変身グッズだ。全国の愛犬家に謝れ。

「具体的な使い道が浮かんでいたわけではないが、なんでも買ってみるものだな」

過去の己のショッピングセンスに自画自賛を贈る姿は疑いようもなくアホだった。


ところで何故そんなことに使用されるグッズの数々が虎杖の手で捨てられていないかというと、誤解しないでほしいがもちろんあの手この手で廃棄を試みていた。ただし注文されたグッズを受け取り拒否したり廃棄したりすると、通常使用している配達伝票の品名に奥ゆかしく「雑貨」と書いてくれるショップの代わりに、"ご親切にも"詳細を記載してくれるショップへの発注がなされるのである。

高専の寮生への配達物は一旦職員預かりになり、職員によって各部屋に届けられる。他の職員が"そういった物"を渡すのを嫌がったのか、虎杖の元へはデリカシーを対価に強さを得たと評判高い五条が配達員として爆笑と共に派遣されてきた。

そんな虎杖の口座残高と精神力を削るだけで宿儺側に一切の損失はない攻防が数回繰り返された後、"あの"五条悟がドン引きを隠さず「ほどほどにね」とショッキングピンクの梱包物を渡してきた時点で、虎杖は宿儺の悪趣味ショッピングを阻止することを諦めることとなる。

配達伝票の品名に記された「馬ちんぽディルド」の文字が涙で滲んでいた。


「よし、次は野外だな。木に向かい片足を上げ、犬畜生の小便のように放精させてやろう」

虎杖の腹の中で「ケヒ、ケヒヒ」という笑い声が響いた。

サプライズとは往々にして、仕掛ける側は計画中が一番楽しいものである。

「玉犬〜お前はいい子だな〜!よーしゃよしゃよしゃ。ここか?ここか?」

「あのな…任務でもないのに無駄に式神出させんじゃねぇよ」

「えーいいじゃん、ケチケチすんなって。なー玉犬!」

「ワフッ」

アニマルセラピー中の虎杖も、善人セラピー中の伏黒も、ご主人の友人にもみくちゃにされている玉犬も、まさか自分たちが戯れる姿から連想してそんな悪趣味な計画が進行しているなど知る由もない。

一生知らないままの方が幸せであることは改めて言うまでもなかった。


続き

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