コレカラ
「先輩はどうするんですか?」
「んあ?何がですか?」
「タイホ先輩の引退式見てたら、ふと今後のこと…聞きたくなってしまって」
「ンアーッ!!リバティちゃんはアースが目の上のたんこぶだから居なくなって欲しいと!?」
「そう言う訳じゃ…負けるつもりもないですし。まあ…私たちの一存じゃ決められないのも確かですし。でも…先輩は勝てこそしなかったけれど、充分頑張ったし、"その"選択肢もあるんじゃないかなと」
「むむ…確かにアースはか弱い薄幸の二冠バです。と言うか…本当にあの頃は散々でしたよ。三冠を逃した女、ゲートでの挨拶を欠かさない女、地味な女、…よりにもよって翌年に同じ父から三冠バがでましたからね」
「…そんなジト目で見ないでくださいよ」
「そこから案の定順調に…とは行きませんでしたがシニア級に参戦する様になって…。まあ勝てなかったんですけど、アースのことを褒めて、応援してくれる人も増えていきました。それを肌で感じられました。現役を続ける、続けない。そんな話が多くなる時期でもあるからこそ、その声が身に染みるのかもしれませんね。…リバティちゃんだって例外じゃないでしょう?」
「それは…そうなんですが。私はまだ…」
「ンアー、アースたちはいつだって決断を迫られますから。自分の意志とは関係なしに、辞める時は辞めないといけません」
「意外とシビアなんですね」
「ンアー!!リバティちゃんは良いですね!脚の爆弾は一度爆発すると癖になるんですよ!また再発するんです!アースはMじゃないのに!」
「…私もそこまで頑丈じゃないので肝に銘じておきます」
「こんな怪我、無いなら無い方が良いですよ。…どんな道を行くとしても」
「…本当に、そうですね。それはそうと、これから空いてますか?」
「…未来の予定ですか?」
「…いえ、ただ単に今お茶でもどうかと誘っただけなんですが」
「……シリアスな空気に流される所でした。んあ、良いですよ。寒いところにずっと居ましたから暖かい物でも飲みたいです」
「決まりですね。行きましょう」
「…未来でも、貴方と競えることを願ってます。偉大な私の…"お姉さん"。…出来れば、お互いに怪我なく相まみえたいですね」
「ハードル高いですねえ」
「お互いに、ですよ」
「まあ正確に言えば姉妹ではないんですが…」
「言葉のあやですよ」
「んあ…まあ良いでしょう。…その日を楽しみにしてますよ、可愛い"三冠バのお嬢さん"。ま、未来なんてどうなるかわからないんですがね」
「…お師匠さんとも?」
「ンアーッ!!なんでそこでお兄さんが出てくるんですかね!!」
「…私は別にコントレイルさん、とは言ってませんよ?」
「んあ…あ…訂正!訂正!!貴方はにっくきライバルです!なーにが三冠ですか!なーにがお嬢さんですか!陣営のアイドルですか!!!滅茶苦茶羨ましい!!!ンアー!!笑うんじゃないですよ!!」