コルサ御御足活劇:アトリエの侵入者

コルサ御御足活劇:アトリエの侵入者



あらすじ:コルサさんがアトリエに侵入した不審者を何とかしようとするお話です。

注意:コルサさんに蹴られたい踏まれたいという欲望に基づいて書かれているので、コルサさんがポケモンバトルではなくリアルバトル(脚技)をしています。それに伴いコルサさん身体能力が原作よりも上昇しています。予めご了承ください。



本編

草木も眠る丑三つ時のボウルタウンはまさに静寂そのものだ。太陽のような笑顔を振りまいてジムテストで活躍してくれる沢山のキマワリ達。彼らは皆草っ原に座って寝息を立てており、次の朝日が昇るのを待っている。


それは人間でも同じ事だ。ジムの受付係、キマワリおねえさん、ジムの前で「ヤバくない?」とか「やばーい」とか言っていた少年少女も、今は各々の家の寝床で健やかな夢を見ている事だろう。


そんな中、ボウルタウンのある小屋は未だ明かりが付いていた。これは町のジムリーダーでネイチャーアーティスト、コルサのアトリエだ。


しかしボウルタウンは静寂そのもの。このアトリエも例外ではない。立体芸術をメインに活動するコルサなら材木を切削する様子が聞こえても良いはずなのだが、その音もしない。


何故だ?小屋の側で聞き耳を立てていた男は扉をゆっくりと開き、作業場へと足を踏み入れた。そこには当然ながらコルサがいたが、様子がおかしい。コルサは自分のロープに絡まり、両腕を真上に縛り上げられていたのだ。


「誰だキサマは!こんな真夜中に、ワタシのアトリエに入るんじゃない!」

コルサは部屋に侵入された事に一瞬狼狽えたが、灰色の目でその不審者をにらみつける。


「ひっ」

Fの字マークの黒いヘルメットに全身水色の服装をした不審者は、茨のような鋭い視線に刺されて怯んだものの、その口元と目は喜悦に歪んだままだ。


「あはは……間近で拝見するコルサさん、と、とてもお綺麗で……えへへ……」

不審者の視線は、頬こけてはいるが丸顔の白い肌に、両腕を縛られたせいで強調された上半身のしなやかな紫の曲線美に、スラリとして艶やかな美脚へと流れ、そして深緑の高級な革靴へ。


「よく手入れされた、良い靴ですね……触っても良いですか?」不審者はコルサの返答を待たず足元に跪き、革靴へと顔を近づけ、両手を触れようとする。

「触るなッ!」「ぶべっ!?」

コルサは咄嗟にその鼻面を蹴った。弾き飛ばされた不審者は床を転がり悶絶する……顔は恍惚の表情のままで。


「あ、ありがとうございます……ふふふ……」

不審者は鼻が凹むような痛みを味わいながら、不気味に感謝の言葉を言った。彼にはコルサの綺麗な脚で無下にあしらわれた屈辱が、蹴られた余韻の鈍痛が、むしろこれ以上なく堪らないのだ。



男は鼻血を手で拭い、歪んだ笑顔を浮かべて立ち上がった。

「えへへぇ……今の、もう一回お願い出来ますかぁ……?」


時々よろけながらも、じわじわと再度コルサの元へ迫り来る男。何度も、どこを蹴っても起き上がって蹴られに来るだろう。蹴り続ければいつかは気絶するはずだが、こいつの言いなりになった気がして癪に障る。そしてあらぬ噂を呼ぶ恐れもある。


腕が使えなくとも音声認識でスマホロトムを呼べれば良いのだが、作業に夢中で充電を忘れてしまい現在のバッテリーはゼロ。よりにもよって一番必要な時に……。


思考している間にも変態はコルサへと確実に近づいてくる。一歩、また一歩とゆっくり迫ってくるのが逆に恐ろしい。2人の距離は40cm、30cm、20cmと縮まっていく。男の卑しい視線は、コルサの長い美脚に注がれる。

「なんと美しい御御足……もっと鑑賞しても良いですか?」



コルサの返答は意外なものだった。

「……ワタシの脚がキサマにとって芸術だというのなら、好きなだけ鑑賞するがいい。ただし、触るなよ」「えっ?あっはい……ありがとうございます……」男は予想外の答えにキョトンとした。敢えて拒絶されるような言動をすれば蹴りをもらえると企んでいたら、逆に御御足をガン見する機会を与えられたのだから。


しかし折角の好機だ。男は気を取り直し、コルサの脚を360°観察してまわる。「釘を刺すが、くれぐれも触るなよ」程よく肉のついた太腿、引き締まったふくらはぎ。それらが全てタイトなレザーズボンに包まれて、艶やかさと柔らかさを両立させた色気を醸し出している。男ながらこの脚には女性らしさを感じさせる色気があるのだ。男は、自分がコルサの脚が好きな理由を再確認した。


もちろんコルサ側も、戦略あっての一時的でやむを得ない許容である。男が10分位でひとしきり鑑賞を終えたのを見計らい、コルサは声を掛けた。「折角だから記念写真でも撮ってみるか?」「良いんですか、是非」

男はスマホロトムを取り出し、自撮りの姿勢になる。コルサを画角に納める為、コルサに背を向けた。


コルサが狙っていたのは、まさにこの瞬間だった!コルサは左脚を横から男の首に絡めて締め上げる!左右反転首4の字固め!

「がぁっ、コルサさんの御御足……!まさか、これを……」


コルサがやるべき事は2つだった。この不審者の身柄を確保することと、パルデア警察に通報すること。自分のスマホロトムで充電切れである以上、通報手段として男のスマホロトムを利用する必要があった。記念撮影を提案したのは、スマホロトムを起動してもらう必要があったからだ。


『ロトッ!?』

男の手に持っていたスマホロトムは持ち主の危機に、慌てて手元から離れた。まだスマホにロックはかかっていない。「ロトム、どうか聞いて欲しい!」

コルサは声を張り上げた。


「急に持ち主をこんな目に遭わせてすまない!心配だろう、焦る気持ちも分かる。キミは何も悪くない。」

「ロト……」

「だが、キミの持ち主はワタシのアトリエに勝手に入ってきた悪い奴なんだ!だから、乱暴だが取り押さえる必要があった!彼にダメなことはダメだと教える為にも、通話機能をオンにして、パルデア警察に通報させてくれ!お願いだ!」


まさかくさタイプではないポケモンを口説く、もとい説得する事になろうとは、コルサ自身も思いもよらない事だった。

「ロトロトロト……ロト!」

ロトムはスマホのボディごと頷くと、パルデア警察へ電話をかけ始めた……そして。


『もしもし、こちらパルデア警察ボウルタウン署です。』「ワタシだ、コルサだ!アトリエに不審者が入ってきた!取り押さえてあるから早急に来て欲しい!」『分かりました!至急向かいます!』


そこからの進展は至ってシンプルで、不審者は大人しく逮捕された。深夜だという事もあって野次馬はさほどなく、精々その時間まで起きていた1人か2人だった。ロープから解放されたコルサは諸々の手続きを済ませてアトリエに戻る。すっかり満身創痍だ。


「疲れたな……そろそろ寝るとしよう。明日……というより今日は、ジムチャレンジの予約もない……」コルサは倒れるようにベッドへ潜り込む。デスクの上のスマホロトムは、しっかりと充電ケーブルにつながっていたようだ。

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