コハクの推し活
注意!ニ児パパ三次創作です
私は斉藤コハク。高校1年生。
無事兄ダイヤと同じ高校に進学した。周りからはもっと上の高校を狙えた、というけど勉強勉強な進学校よりある程度の自由さと勉強にも多少力を入れている、そこそこのレベルの高校が良い。私は適度に緩い方が好きなのだ。それにある程度のレベルならば推薦で良いところも狙えるし。
それに何より兄のダイヤが居る。1人だと心配だし、私も正直兄がいないと不安だから丁度良い。
そんなこんなで高校でも中学から続けていた部活動の文芸部、陸上部の掛け持ちすることにした。
幸いにも部の先生、先輩方は理解を示してくれたので変わらず続けられそうだ。
何故私が掛け持ちを続けるのか。
それはシンプルに欲張りだから、それに尽きる。
私は中学で鍛えに鍛えた陸上を続けたかったし、中学生の間は年齢的にも出来なかったが高校生になったら、いや「この高校の文芸部だからこそ出来る活動」…これをずっとやりたかったから。
それは、
「先輩!文芸部はコミケに同人誌出されているんですよね⁉︎私、小説書きたいです!!文芸部の合同紙にオリジナルと、二次創作の二本で!!」
「おっとー?体験入部に来た新入生代表ちゃんは思っていた以上にキャラが濃いぞー?」
「R-18とBL、生モノは自重します!」
「おっとー!高校卒業したら私と一緒にその3ジャンルで作ろうゼ?」
「はい!」
実は中学の頃から家族の誰にも気づかれないように大学ノートにこっそり、こっそりとネタを書いたり、プロットを作って小説投稿サイトに二次創作や好きな作品からインスパイアされたものを書いていたのだ。
ちなみに件のネタ帳は誰にも見つからない様に本棚の裏やベッドのスプリング裏に仕込んでいる。
よく部屋に入って文房具や電子辞書を借りに来る兄のダイヤ、事務所からそのまま遊びに来て漫画を読み漁るルビー姉さんにうっかり見つかるのを避けるために考えに考えた結果だ。
だが好奇心が刺激されて調べそうなこの2人。
2人の思考と行動を考えてベッド下の
収納スペースにはダミーノートを仕込んである。
こちらは見られても恥ずかしくない考察本だ。例え見られても
「ああ、この子は無邪気なのね…」
「今日は優しくしよう…」と済む、はずだ。
正直ダミーノートにUMAの生息域をツラツラと書いて出鱈目な考察を書くのは楽しかった。作品に活かしたい。
閑話休題
そんな訳で適度にゆるーく、コミケに参加を黙認されて、活動されていると兄が入学してから知った。
だからこの高校を選んだ、というのも過言ではない。
文芸部の現部長は大変活動的な人でコスプレもされるそうだ。
私は見る専だけど。
また推し活として部で好きな作品の上映会、品評会を開催しているとか。
すごく楽しそうなので入りたかったのだ。
中学の文芸部部だとお硬いモノしか作れなかったから、自由に創作活動するぞー!
こうして私は文芸部に入部して、週3(一部半日のみ)ではあるが活動に参加した。
その際に勧められたある漫画にどハマりしたのだ。
その名は「東京ブレイド」、略して「東ブレ」。
wiki大先生と部長が言うには
「主人公ブレイドがとある太刀を手にしたことで国盗の戦いに巻き込まれていく、実在の東京をモチーフにしつつも伝奇な世界観で仲間と友情や愛を育んだり、殺したり殺されたりな王道漫画」
だそうだ。
結論から言うと、滅茶苦茶ハマって全巻買った。グッズも色々買ったりもした。なんなら同人誌も買い漁った。
ちなみにこのお金は義瑠さんの雑貨屋さんと苺プロでの事務員のアルバイトで賄いました。
その中でもキザミが好き。大好き。超好き。婿にしたい。
迂闊なところあるけど諦めが悪くて最後まで喰らいつくところとか可愛しかっこいい。
特に舞台版!
当時私は部の大会に参加していたので1人見に行けなかった。
見てみたら鳴嶋さん演じるキザミがもう、最高!!
同時に鳴嶋さんのファンになってしまった。音楽活動も始めたのでCDも買った。ライブ行ってみたい。
兄と仲良くしている人なので少し気恥ずかしいけど。
ちなみに部長はキザミを倒した腹黒な匁が好きらしい。
…相容れない!
夏の祭典は東ブレで行こう!と夏コミ参加班で決定した。
ちなみに私は小説を書いている、と話したのでシナリオ係となった。
劇中で語られた要素、明らかにされなさそうな物語の空白を利用したオリジナル東京のクラスターとブレイドとの戦いを私たちで作る、
となり私の生活は勉強・ネタ集め・部活(運動)・兄の勉強を見る
のサイクルで動くことになる。
そのせいか、ある日私は疲労でうっかりしていた…
ネタ帳その2…推し活ノート(生モノ)を出したままにしていたことを。
それは運動部から帰った日だった。
「ただいまー」
「おう、お帰り。晩御飯出来てるぞー」
「今日はお兄ちゃんの日だっけ?」
「つうか、何年か前からおまえは部活、母さんが相変わらず忙しい時は俺が作ってるだろ。おかげさまで色々作れる様になったわ」
我が家は両親が共働きなため、状況に応じて私達が料理をする。
私は部活もあるからダイヤが言ったように基本的に晩御飯はお母さんかお兄ちゃんが作る。
「感謝してます」ナムナム
「おう、もっと褒めてくれ」
お礼を言うと兄さんは嬉しそうに笑う。このアホな感じが
相変わらず学年問わず人気だと聞いた。
気をつけないと…兄さん、アホだからほいほい危ない女の人について行きそうだし。
「なあ、コハク」
「なにー?」
兄さんは洗い物しながらデザートのプリン食べていた私に聞いてきた。
プッチンプリンて美味しいよね。
リーズナブルなのに。
「メルトさんのファンなん?おまえ」
ギ ギ ギと擬音がするような形でゆっくり私は振り向いた。
バカな。メルトさんグッズは気恥ずかしいからネタ帳その2と一緒に直しているはず。
私は自宅では一切メルトさんファンなのも見せていない。
なのに、なんで
「なんで、そう思ったの?」
努めて平静に聞いたつもりだ。
冷静かな?私。
「いや、おまえの部屋に行ったらベッドの上にメルトさんのCDに写真集、大学ノートあったからさ…
あ、ノートは見てないぞ?
こう…明らかに男子高校生がエロ本を隠すような形で挟まれていたっぽいから…大事なのかな?って」
やばい、こいつ消さなきゃ。
1番見られてはならない奴(ダイヤ)が見て推察している。
というか、男子高校生レベルなのか。私のネタ帳の隠し方。
「兄さん。ノート、見た?」
「見てないぞ。お兄ちゃん、おまえが隠していたUMA研究ノート見たことあるから悪いな…て思ってさ」
好きなんだな。不思議なもの。
とか言いながら慈愛に満ちた目で見てきた。
やっぱり見たのかおまえ。予想裏切らないなダイヤ。
…とりあえずメルトさんをモデルに書いていたネタ帳見られて無いなら良かった。命拾いしたね兄さん。
「メルトさん、喜ぶぞ?ファンが近くにいるとか」
「や、やめてね?メルトさんは私からしたら遠くで見るに限るの。近くで見たら目が潰れちゃう…!」
「ごめん、実は既に伝えていて、メルトさん結構喜んでた。今度アクア兄と遊ぶ時良かったら来ないか?歓迎されるぞ」
「色々死ねぇぇぇ!!」
生まれて初めて兄を全力で罵倒し締め落とした。
ベランダに出て見た星は何故か滲んで見えた。
良い夜だった。
後日談
「コハクちゃんははじめまして、だよね?鳴嶋メルトです。職業はイケメンです⭐︎」
「ひゃいぃぃぃ…」
「メルト、コハクの脳がオーバーフローしてる。」
結局兄さんに同行して星野家に行くとメルトさんは既に来ていらした。
超イケメンだった。死ぬ。
「お仕事スマイルより素のメルトさんも見せてあげて下さいよー
残念なメルトさん見せたいんで」
「おまえね?仲良いし、友達だし、俺が認めるイケメンだけど礼儀は大事だぞ礼儀は!!マジで!!!
俺が芸能界で学んだことだから!」
「成長したな…メルト…」
アクア兄さんが目頭押さえている様を見てツッコむメルトさん。
ダイヤはそれを見てケラケラ笑ってチョークスリーパーを食らっている。
おお…推しのオフ、てこんな感じ?
私、凄いの見てない?
「ひゃぁぁぁ…気安いメルトさんイイ…」
「…アクア、ダイヤ。コハクちゃん大丈夫?なんか魂とか出てる気がする」
「まあ大丈夫っすよ。しばらくしたら落ちつきますって」
「コハクがこんな面白いの初めて見たわ」
途中で更にノブさん、ゆきさん、ケンゴさんも遊びに来て私はゆきさんとも仲良くさせていただいた。
モデルさんは凄く綺麗だった。