コエロのアナル開発
ガチムチダイナレスリング優しく愛情を込めて、しかし激しく暴力的に。
相反するようなその両方を満たさなければシステゴは尻では達さない。
ゴリゴリと無遠慮に腸壁を削りながら口づけは貪るように情熱的に。
骨板が邪魔にならないように横たわったシステゴの片足を持ち上げながらそうやって舌を吸い上げつつ抽送を繰り返せば、ペニスに触れずとも精を漏らした。
「ぷはっ、どうして欲しいッスか?」
「もっと、いじめて……」
キングさん相手に悪い遊び方を覚えたようで、憐れっぽく懇願する顔も様になっている。
お望み通りに絶頂間もない敏感な亀頭を握り込み、精液を潤滑剤にグリグリと刺激しながら腰を振り続ける。
強すぎる刺激は痛みすら感じるほどだと思うのだが、それが良いと本人が言うのだから仕方ない。
みっともなく悲鳴のような嬌声を漏らしながら再び射精したシステゴの絶頂の痙攣に、俺も尻の中で果てた。
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「ふぅ〜、サッパリしたッス」
入れ替わりで浴びたシャワーから出てくると、すっかり身支度を整えたシステゴが帰ろうとするところだった。
「遅いし疲れてるだろうし、泊まっていっていいッスよ?」
「いや、同じ建物の部屋を移動するだけだし」
「泊まっていっていいッスよ?」
「はぁ、分かったよ……じゃあお世話になります」
言葉に圧を掛ければ素直に従ってくれた。
下着姿となったシステゴがベッドに横になり、俺もその隣に並ぶように寝る。
胸板に顔を寄せてみたが嫌がられもしなかった。
この状況、この雰囲気ならいける気がする。
「はは、なんだかこうしていると恋人同士みたいッスね」
「そうかな? まあ状況的にはそうなのか」
「いっそ俺と付き合ったりしてみるッスか?」
「は?」
「い、嫌ッスか……?」
「嫌っていうか、付き合ったとしてどういうことしたいんだよコエロは」
「えーっと、一緒にご飯食べたり、買い物出かけたり、遊んだり……?」
「それって今と変わらなくないか?」
「じゃあ俺とシステゴは実質既に恋人同士ってことッスね」
「そうなるのか? そうかもなあ……」
言質は獲った。
劇的な告白とはいかなかったがこのようなものでもいいだろう。
「えへへっ、好きッスよシステゴ」
「なんだよいきなり……んっ」
そうして唇を重ねた。
達成感に満たされながら舌を吸い絡め合う、長い長いキス。
「ぷはっ、これでもうシステゴは俺のものッスね」
「何だよそれ」
「俺のものなんだからもうキングさんとかカパプテラさんと遊んじゃダメッスよ?」
「え、じゃあ嫌だ」
「……………………はい?」
「そういうことなら恋人とかそういうの無しで」
いきなり足元が崩れ、目の前が真っ暗になった。
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「ふざけんなよチクショウ、誰だよクソ真面目のシステゴをあんな遊び好きのド淫乱にしたの!!」
「コエロでしょ」
「分かってるよチクショウ!!!」
空になった酎ハイ缶を握り潰しながら叫ぶ。
そうやって中身を失い元の形状も失った缶がテーブルの上に散乱していた。
飲まねばやっていられないと愚痴相手兼後始末役にマスターを呼んでの自棄酒だった。
「今まで抑圧されてたぶんの反動なんだろうね」
「俺だって十分愉しませてやってるじゃないッスか、他の男と遊びたいから恋人作らないとか何様のつもりッスか!!」
「はいはい……でも意外、コエロってそのあたり妥協するというか、むしろ自分も遊ぶからお互いフリーでみたいなキャラだと思ってたのに」
「うっ……そう言われたら自分の中の認識でも確かにそういう感じだったッスけどぉ……」
「惚れた弱みだねえ、分かるよ。 俺もパンクラトプスを裏切りたくない気持ちとそれはそれとしてキングとかスケベだなって思う気持ちがせめぎ合ってるし」
「我が身のこととして降りかかるとパンクラさんが不憫でならねえッス、マスターはクズ野郎ッス」
「自覚はある」
「開き直るのやめてくれないッスかね……はぁ、システゴ相手にもこれぐらい気軽に叩ける関係だったらなあ」
「一応簡単な解決策ならあるよ」
「マジッスか!?」
「コエロのお尻にシステゴのチ◯コを突っ込む」
「えぇ…………いやちょっとそれは…………」
「コエロ一人でタチやりたい時もネコやりたい時も満足できれば他の男が入り込む余地なくなるよ?」
「それはそうなんッスけどぉ……」
「男抱いてる内に尻で気持ち良くなれるか気になって試したくなるのは時間の問題だしただの前倒しだと思って」
「そういうものッスか? いやでも……」
「俺が手伝ってあげてもいいよ?」
「本性表したッスね!? 弱みに漬け込んで俺をマスターの玩具にしたいだけじゃないッスか!!」
「俺は友だちとしてコエロのことを思って……まあコエロのスケベな姿にも興味津々だけどね」
「ほらあ! マスターに身体を狙われるのは正直キツいッスマジでキモいから止めろッス!!」
「お尻ほぐすお手伝いするだけだから、ね?」
「いやダメッス、絶対流れでマスターに掘られて処女奪われた上にパンクラさんからのケジメ案件ッス、言語道断ッス」
「信用がない……」
「身から出た錆ッスよ、自覚はあるんッスよね?」
「純粋な老婆心も含まれているんだけど……じゃあ道具だけでも貸そうか?」
「他人の使用済みはちょっと……」
「綺麗に手入れしてあるし、それでも嫌ならゴム被せて使ったらいいよ」
「…………これ俺の尻を開発することが前提に話がすり替わってないッスか?」
「勘のいいガキは嫌いだよ」
大量のアルコールによって鈍った頭ではどうやら今のマスターには勝てないらしい。
まあ試すだけならと、潰れない程度に自棄酒を切り上げてマスターから大量の大人の玩具を押し付けられるのであった。
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「いや、何でこんなことになってるんッスかね!?」
酒が抜けて冷静になると色々とやらかしてしまった実感が酷い。
目の前の段ボール箱に詰まった性玩具など最たるものだ。
「あー……最低1度は試さないとマスターに返しても受け取らないッスよねぇ……」
こうなれば仕方がない。
別に言い包められたわけではないが、何事も経験だと思おう。
箱の中身を見繕い、浴室へと向かう。
尻を洗い、ローションで竿を扱いて無理やり硬度を持たせてコックリングを嵌めた。
慣れない内は前を刺激しながらだとか、尻を弄るうちに萎えてくるだとか、そんな聞き齧りに対してコックリングで強制的に硬度を維持することにしたのだ。
そして肛門の皺に丁寧に丁寧にワセリンを塗り込んでいく。
他人の肛門なら弄り慣れている筈なのに、いざ自分自身のものとなるとどうしても気後れしてしまう。
しばらく入口を円を描くように弄り続けた後、覚悟を決めて指先を突き入れてみた。
案外とあっさりと入ってしまう。
「は、入っちゃったッス……」
そのままグニグニと指の関節を動かしてみたり、浅く出し入れしてみたりして広がり具合を確かめつつ、ついに指一本分根元まで飲み込んでしまった。
気持ちよさは……あるかも知れないが、こそばゆさと異物感の方が遥かに強い。
痛み未満ではあるが、あまり好ましくない感覚もある。
まあ本来モノを入れる場所ではないのだから当たり前なのだが。
ここからどうしたものかと所在なさげに惰性で指を動かし続けていれば、時間はかかったが異物感や拒否感は減ってきたように感じる。
快感が増したわけではないが、マイナス要素が減った分相対的に気持ち良くなってきた……気がする。
そうでなければやってられないという希望からの幻覚かも知れない。
案外中は広かったし、入口も指の動きに慣れてきたようだ。
そろそろいけるか。
マスターから押し付けられたものの内の一つ、エネマグラを手に取った。
やはり他人の使用済みというのは嫌悪感があるのでゴムを被せ、ローションをたっぷり塗した。
細くくびれた部分なら指一本の幅、太い場所でも指一本半程度だろう。
尻穴の力を抜くように努めてゆっくり押し込めば、意外なほどスルスルと入り込んだ。
太めの部分は相応に『通った』感覚があったものの痛みはない。
内部の形そのままを映し取った形状だという評判通りに無理なくフィットし思ったよりは異物感は少ない。
思い切って底部のスイッチを押し込んでみた。
何とこれ、電動機能付きである。
フル充電されたそれは機能を遺憾無く発揮し震え始め、未体験の感覚を与えてきた。
「はあぁ…………」
気持ちいいとは思うが、想像と違いそう激しくはなく、じんわりと痺れるような快感だった。
感覚に身を委ねながら亀頭を弄る。
快感が倍増するものとばかり思っていたが、案外尻に意識を持っていかれるせいかペニス側の反応が鈍く感じられた。
快感はあるが絶頂とは程遠い。
そうして弄り続ける内に振動で尻穴が広がったのか、エネマグラが抜けかけていた。
再びグイッと押し込むとその先端部が当たったところから今日一番強い快感が走った。
「へあっ!? あっ、これッスかぁ……」
同じ場所目掛けて浅く引いてまた押し込んで見れば、ペニスの根元奥深くから吐精感のような、排尿感のような快感が走ってくる。
これが前立腺か。
やっと目標が見えてきたこともあり、無心で押し込むようにエネマグラを前後させ続ける。
緩くなっていく尻穴に前後するペースは次第に早くなり、息も荒く絶え絶えに、更なる快楽を求めてペニスも同時に扱きながら。
そして。
「はぁ……はぁ……なんかすげぇ疲れるッスねこれ……」
もう少しで何か壁を突破できそうな予感があるのに達しきれずに先に疲労感で動きを止めてしまった。
姿勢的にもちょっとやりにくいんだよねこれ。
誰かに手伝って貰ってひたすら尻穴に前後してくれれば楽なのに。
「はっ!? 俺は一体何を……」
完全にドツボにハマり込んだ思考を自覚してちょっと怖くなった。
結局その日は電動機能でじんわり気持ち良くなる尻を意識しながら思いっきり竿を扱いてちょっと無理矢理めに射精して終わらせた。
果てた後もバイブレーション音を響かせ続ける道具に対しての虚無感は酷いモノだったが。
「今後も続けていかなきゃ駄目ッスよねコレ」
あくまで目的のための手段だと自分に言い聞かせてそれから何度も壁の突破を図ったが、体質なのか一人でやっているのが悪いのか結局尻だけで達するには至らなかった。
成果も得られず尻穴だけが広がっていく日々の中、最初は返品の口実に一度使うだけだった積もりでしか無かったことを思い出したのはしばらく後のこと。
結局ドツボにハマってるじゃねーかと虚しい一人ツッコミをする羽目になったのだった。