【グエスレ】その素晴らしい出会いに祝福を【クロスオーバー】

【グエスレ】その素晴らしい出会いに祝福を【クロスオーバー】


©2020 天野こずえ/マッグガーデン・ARIAカンパニー

【グエスレ】その素晴らしい出会いに祝福を【クロスオーバー】

グエスレが本編後に恋人どうしになって火星のネオヴェネチアに行く話


©天野こずえ/マッグガーデン・ARIAカンパニー


スレッタ「うわあ!ここがネオヴェネチア!すごぉい!綺麗!」


スレッタ「グエルさんは……」

連絡端末にメールがあり、土下座の絵文字がたくさん並んでいる。

グエル『すまない。会議が長引いてしまったので、到着に一時間くらいかかるどこか店に入って待っていてくれ』

スレッタ「到着するまであと一時間くらいかぁ……」

スレッタ「お店に入るのもいいけど、折角だし、お散歩して街の景色を楽しみながら待っていようかな………。でもでも、やっぱりグエルさんと一緒にはじめての街を散策するのも素敵だよね!」

体をくねくねさせながら迷うスレッタ。

そんなとき、彼女の視界に海際に向かう子供の姿が映った。

スレッタ「あ、あの子危なくないかな? お母さんかお父さんは? あれ? あれ?」

言い迷いながらも、子供のとことへ小走りに走っていくスレッタ。

子供「まぁってぇ! わたしのぼうし!」

どうやらかぶっていた帽子が風邪で飛ばされてしまったらしい。

子供は足元を気にする余裕もなく、海上に舞い上がった帽子を追いかけ、足場のない空へと足を踏み出してしまった。

スレッタ「危ない!」

スレッタは空におちかけた子供の体を石畳の上へと押し返した。

両腕で支え上げるようにすれば、MSのパイロットとして体を鍛え続けているスレッタの体力をもってすれば出来ないことではなかったが、自分の体を子供の位置と入れ替えるようにしたため、スレッタの体は空へ、そして、その下の海へと落ちていった。

ばしゃーん!

旅行鞄と一緒に水しぶきをあげてスレッタは穏やかな空色の海の中へ優しく引き込まれ、そして、なにかに抱え上げられるようにして波の上へ上半身が持ち上がった。

スレッタ「ぷはぁ!?」

灯里「捕まってください!」

目の前に差し出された手に捕まると、そのままスレッタの体は海の中から押し出される。

スレッタ「え? ええ?」

藍華「大丈夫ですか? 返事できます?」

スレッタ「あ、はい。大丈夫です」

アリス「灯里先輩すごいでっかい力持ちです!」

灯里「え?」

スレッタ(本当、水の中から私のことを引き上げるなんて、この子、すごい力持ちだなぁ)


ピンク色の髪に蒼い瞳の少女を見つめて、スレッタはくしゃみをした。

スレッタ「っふぃっくしょん!」

灯里「はひ! お、お体冷えちゃいましたか?」

藍華「大変、早くお風呂に連れて行ってさしあげないと」

灯里「そうだ! お客さま、よろしければ、私たちの会社にいらっしゃいませんか?」

スレッタ「ふええ、い、いいんですか? ありがとうございます」

藍華「そしたら善は急げよ! 灯里逆漕ぎよ!」

灯里「はい! お客様、すぐにあったかいお風呂にお連れしますからね!」

スレッタ「うわぁ、早い」

灯里と呼ばれるピンクの髪の少女がオールで船をこぎ出すと景色がぐんぐん変わっていく。

アリス「すごいです!灯里先輩、今日はでっかい絶好調です!」

灯里「うん、すごい。まるで波が手伝ってくれてるみたい」

藍華「恥ずかしいセリフ禁止!」

灯里「ええ!?」

スレッタ「ふふ、仲良しさんなんですね」


©天野こずえ/マッグガーデン・ARIAカンパニー


ARIAカンパニーに到着すると、スレッタは灯里にお風呂に入らせてもらった。

スレッタ「ふわぁ、助かりました。ありがとうございます」

「はい、服のサイズはいかがでしょうか?」

お風呂から上がってきたスレッタに藍色の髪の毛の少女が話しかけてくる。

©天野こずえ/マッグガーデン・ARIAカンパニー


スレッタ「はい、ちょうど良いです。もしかして、わざわざ用意してくださったんですか?」

藍華「いいえ、わが社の社員のものをちょっと持ってきてもらっただけですから、お気になさらないでくださいね」

スレッタが貸してもらったのは、晃の私服でパンツルック。


スレッタ「いいえ、見ず知らずの私にここまでしていただいて、ありがとうございます。あのそれで、お聞きしたいんですが、私の荷物は……」

灯里「す、すみません。その……」

アリス「浮かんでこなくて、差し出がましいかと思いますが、一応警察に届を出しておいた方がよろしいかと」

©天野こずえ/マッグガーデン・ARIAカンパニー


ハッカ色の髪色の少女の言葉に、スレッタも頷いた。

スレッタ「そう、ですね。パスポートや端末は念のため紛失届けを出しておかないと、出し方を教えていただいてもよろしいでしょうか?」

藍華「はい、では、警察にご案内しますね」

スレッタ「ありがとうございます。あ、もう一時間過ぎちゃいましたね………」

灯里「もしかして、あの広場で待ち合わせをされていたんですか?」

スレッタ「あ、はい。その、こ、恋人と……」

灯里「はわ」

藍華「はわわ」

アリス「でっかいお惚気です」

顔をじわじわと赤くして両手で顔を覆うスレッタと、同じように顔を赤くする灯里と藍華。

アリスも興味ぶかげにスレッタを見つめている。

灯里「そ、そうしたら、警察へ届を出したら、また広場にご案内しますね」

スレッタ「あ、ありがとうございます。お礼はちゃんとさせていただきますね」

藍華「いいえ、アクアのために、体を張ってくれた人にお返しをさせていただいているだけですから、お礼をさせていただいているのは、私たちの方です」

スレッタ「え?」

アリス「帽子を捕まえようとして、飛び出しちゃった女の子。貴方のおかげで海に落ちずにすんだんです。子供は泳げず、そのまま沈んでしまうことが多いので、本当に良かったです」

スレッタ「あ、あの子、私突き飛ばしちゃいましたけど、大丈夫でしたか?」

藍華「勿論、大丈夫でしたよ。ご両親もすぐに駆け付けてきてくれたみたいですし」

スレッタ「よ、良かった~怪我させてちゃったらどうしようかと思っていたんです。教えていただいて、ありがとうございます」

灯里「………」この人

藍華「………」すっごくいい人ね

アリス「………」絶対アクアで良い思い出を残してもらうです!

視線を交わして会話をして、決意する三人。




一方そのころ、ネオヴェネチアに到着したグエルはスレッタを探していた。

グエル「やっと着いた! スレッタ!どこだ!?」


きょろきょろしながら広場でスレッタを探すグエル

しかし、スレッタは見つからない。

端末で呼びかけてみるが、スレッタの端末は海の底なので、つながらない。


はずなのだが、グエルからの端末の呼びかけに答えるスレッタの端末


グエル「スレッタ! 遅くなってすまない。今どこにいる?」

???「………」

グエル「……貴様、スレッタじゃないな!?おい、スレッタは何処にいる!?あいつに何をした!?」

???「………」

グエル「!?」

???「ぷいぷにゅー」

グエル「はぁ!?貴様、ふざけているのか!?」

???「ぷいー」

グエル「え、泣いてる、のか?あ、すまん。悪かった?って、なんで謝っているんだ俺は!?」

???「ぷにゅー!ぷいうぷいにゅー!」

グエル「とりあえず、お前に悪意がないのは分かった。頼むから、その端末の持ち主と代わってくれないか?」

???「ぷにゅー!ぷーにゅ!ぷーにゅ!ぷいぷいにゅー!」

グエル「……何を言っているのかさっぱり分からんが、代わりたくても代われないんだということは分かった」

???「ぷいにゅー!ぷいぷにゅー!」

グエル「そうか。聞きたいんだが、スレッタは怪我とかしていないか?」

???「ぷいにゅ!」

グエル「そうか、その声色なら大丈夫そうだな。教えてくれてありがとう。できたらその端末は警察に届けてくれると嬉しい」

???「ぷいにゅ!」

グエル「了解、か?じゃあ、通話をきるな。頼んだ」

???「ぷいにゅー!」


通話終了
















Report Page