クーリアさんにセクハラされる
天界の楽団、ドレミコード。彼女たちは"コード"を奏でて世界を浄化する、文字通りの天使だ。
その雑用係として最近加入した或る青年。妖精の世話に器具の整備に奔走する毎日だが、楽団メンバーも同僚の下級天使たちもとても良くしてくれるし、何より高潔な使命に燃える充実した生活を送っていた。
人のいない静かな倉庫で備品の片付けをしていた時のことだった。
「お疲れ様」
後ろから声をかけてきたのは楽団のリーダー格を務めるクーリアだ。よく通る爽やかな声が倉庫に響いた。
「あっ、お疲れ様です!何かお探しですか?」
青年は慌てて背筋を伸ばしお辞儀をする。
「あはは!そんなに畏まらないでいいわ。いつも苦労をかけているから、たまにはお手伝いさせてもらおうかなって」
青年はお言葉に甘えて手を貸してもらうことにした。
作業が九割九分片付いたころ、クーリアは青年の目の前で突然これ見よがしに伸びをした。
「うぅ……ん……♡」
悩ましげな声と共に腕を頭の上で組み、滑らかでしっとりと汗ばんだ腋が晒される。
「それにしてもここは蒸すわね……♡」
青年を流し目で見ながら服の胸元を摘み、パタパタと仰ぐ。引っ張られるたびに横乳が見え隠れし、横から見ると乳首が少し勃起しかけているのまで覗いてしまう。
「そっ……そうですね……!」
あまりに刺激的な光景に青年はドギマギして背中を向けてしまう。
その背中にクーリアは身体を委ねてくる。
「ふふ……♡心臓、すごい音よ……♡私の耳は誤魔化せないわ……♡」
青年の首筋に顔を埋め、艶かしい声で囁く。
手はソロソロと青年の股間へ伸びていく。
「貴方にも私を演奏してほしいな……コレを使って、ドレミコードにあるまじき下品で最低な音色で……ね♡」
青年が声をあげそうになった瞬間、倉庫の門が叩かれる音がした。
「クーリアさーん!ここですかー!」
キューティアの声だ。
クーリアは残念そうに首を竦めると青年を解放した。
「練習はまた今度…ね♪」
キューティアと話しながら立ち去るクーリアの声色はいつも通り爽やかで、さっきまでのねっとりとした声が嘘のようだった。
青年は暑さで幻覚でも見たのだと思い込もうとした。自分がいやらしい心を持っていたせいだろうと。
今日の出来事が現実であったことを青年が思い知るまでに、そう時間はかからなかった……。