クソ鳥絶殺同盟
ローさんも可哀想
スタンピードは関係ない
cp要素無し
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七武海定例会前最後の補給。またいつものね、と受け入れたクルー達に見送られ、島へと降りる。来る者拒まず去る者追わず。土着宗教の影響により、実質海軍も海賊も互いに干渉できなくなっている。いくら七武海といえど、海賊のいざこざに巻き込まれるのも、海軍に媚びを売られるのも嫌いな身としては、好都合だった。
「記念コインはあるのか?」
民芸品を売る土産屋のじいさんに尋ねると、随分珍しいタイプのコインが手に入った。
「7角形なのは理由があってのぉ。海軍、島民、海賊、この島の地を踏む者は大抵この3グループじゃ。だから、3で割り切れない7角形を採用しておる。」
今まで、円、8、10角形あたりは見たが、7、とは。礼を言うと、ついで、とばかりに地図まで貰った。協会、修道院、学校、居酒屋、孤児院、定食屋。随分豊かな島だ。時間はまだ早いが、飯にしてもいいかもしれない。
地図を頼りに歩く。日光にさっき買ったコインを翳すと、3本の剣が互いに交差するような絵が彫ってある。これがあのじいさんの言う「不干渉」なのか。
「キャプテンご機嫌っすね!」
果物の値切り交渉中のクルーに言われた。いいだろう、浮かれたって。これからあの定例会に行くんだ。
「はぁ‥‥………行きたくねぇ‥…」
「何にだ?ルーキー。」
ばっと顔を上げれば、砂漠の英雄と言われたサー・クロコダイル。下から見ると迫力がすごい。だが、ここまで大物の気配にも気付けないとは。気を抜きすぎたな。
「ッチ。…‥定例会だ‥…」
「あぁ。アレか。」
クロコダイルが遠い目をする。英雄も嫌とかどれだけだ。ただ俺がキライなのはそこではなくて‥…
『なぁ、ロー。プレゼントだ。…なぁに、部下を待つのもボスとしての役割だ。そうだろう?』
ねっとりべっちょりぐっちょり。トレーボルよりもよっぽどねちっこいアイツ。俺はテメエの部下じゃねえしテメエをボスと呼んだこともねえ。しかもなんだよプレゼントって。情緒7歳か?のくせ内容はめちゃくちゃ、よくも集められるな。
「‥‥‥テメエもクソ鳥にやられてんのか。」
声出てんぞ、と頭上から言われ、頭を抱える。聞かれた。よりにもよってクロコダイルに。
「おい、ロー。付き合え……」
「俺に命令するな。」
「いいから来い。」
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個室のレストラン。俺達の顔を見てすぐヘコヘコと飛び出してきた料亭のオーナーに、ランクが高い酒を何本も渡され、ぴょこぴょこ震えながら進むオーナーに付いて行く。
ガラス製のテーブル、花瓶に飾られた花、革の椅子、控えめな照明etc。このレストランではおそらく最上級の部屋。クロコダイルはさっさと座ると、バカラグラスに高級ワインを惜しげもなく入れ、差しだしてきた。一杯いくらするんだろうか。金はあるしまぁいいや。飲まずにやっていられるか。
グイっと思い切り傾ける。作法なんざ知らねえ。芳醇な香りが鼻を抜ける。とっとと酔いたい。
「……で、プレゼントってのは?」
早速突っ込んで来たが、今更誤魔化せない。
「ネズミの死体、ムカデの標本、腐った魚の内臓、悲鳴が録音されてる音貝、人間から剥がした爪、あとは……」
「もういい。わかった。」
それ以上聞かせるな、とぐったりしたクロコダイルに言われれば黙るしかない。
「お前はあの記事を信じるか?」
あの記事、「ドフラミンゴがクロコダイルに誑かされた」、「恋仲まで発展か!?」、「淫乱な砂漠の英雄」、どこぞの低俗ゴシップと見間違うような内容の数々。あれを信じるほど自分は愚かではない。
「俺は、10年以上前、アイツの部下だった時期がある。」
クロコダイルがぴくり、と眉を上げるのを確認し、話を続ける。
「アイツは、能力者のくせにプールが好きで、プールサイドにチェア引っ張り出して女を侍らせるのをよく見た。少なくとも俺がいた2年半、男はいなかった。」
「部下の前だと気にしていた可能性は?」
「ねえな。アイツの部下は基本全肯定botだ。男を組み伏せるなんてさすが、くらいのことを平気で言う。」
それに、と更に記憶を引っ張り出していく。
「七武海としての地位が必要だった頃に、同じ七武海であるアンタに手を出すとは考えられない。」
国を乗っ取る、王になる。コラさんが止めたがっていた行為。かなりぴりぴりしていた筈だ。
「……告白や勧誘はされたか?」
告白、ではない、よな?
「あー、……勘違いDVをしてくる親みたいなことは言われたが。」
はあ………ビビり散らかしているウェイターから料理を受け取る。湯気を立てる蒸し鳥を口に入れている間に、クロコダイルが口を開いた。
「……先に手を出されたのはコッチだ。」
「………だろうな。」
「俺はクソ鳥が嫌いだ。」
「ああ……俺もアイツを潰そうと今計画している。」
「俺はクソ鳥絡みの情報をいくつか持ってる。」
「……いいな。」
「武力もある。」
「……ああ。」
「新世界には、お前より先に入った。」
「……ああ。」
「手を、組まねえか?」
「賛成だ。……ただ、俺がアイツを潰す。」
「好きにしろ。……そうだな。ジョーカーの密売ルートを消してやろう。」
「……そこまでは手が回らない、
助かる。」
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「おい店主。この店に、今日、誰か有名人は来たか?」
クロコダイルの鉤爪を向けられ、首を横にブンブン振る店主。
「テメエは、何も聞いていないよな?」
今度は縦にブンブン。
「バラせばどうなるか、分かるな?」
また縦にブンブン。
「さて、俺達はいくら払えばいい?」
震える手で伝票を渡してくる。2,000B。多分0を2つ消しただろこれ。
「おい、ロー。2,000B出せ。」
「俺に命令するな。」
さすがに同情する。俺は5,000Bだし、クロコダイルは何も払わなかった。
「待ってろクソ鳥。」
「絶対俺が潰してやる。」