クインハーバーにて
【CPあり4ソフィ5ノレ(予定)】
早朝のクインハーバーを、ワーゲンバスが走っている。
生活のために中古車市場に行った時、ソフィが
「これがいい!なんかかわいいし!」
という鶴の一声で購入したものだ。
原型機はA.D.1900年代に製造されたものだが、エクステリア以外はもうすっかり別物になった今でも動いている。
強化人士4号、5号、そしてMIAとなったソフィ、ノレアの4人は、クインハーバーの惨劇、クワイエットゼロ事件、ILTS誤射事件などを経た今でも、クインハーバー郊外に用意された拠点で、それぞれに準備あるいは偽装された経歴をもとに過ごしていた。
「まあ、平たく言えばエージェントのようなものさ。クインハーバーにもそりゃあ居ることは居るんだろうがね」
早朝の市場につけると、目当ての食料品にむけてソフィが駆け出してゆく。
「後でね!」
喧騒に消えていくソフィを見送りながら、逆にこちらへ近づいてくる男に目を見やる。
「…エラン・ケレスからです」
すれ違いざまに媒体を渡していった男が消えるのを見て、4号は端末にそれをセットする。
「…しがらみは、消えないよね」
『よう。そう仏頂面すんなよ』
こちらの表情を見越したかのようなエランの冒頭から始まる。
『早速だが用件に入るぜ。アスティカシア学園の経営刷新にあたって、教習用MSの入れ替えがデミトレーナーからユザールへ機種転換が進んでいるわけだが』
画面の中のエランは実にまあ、さもありなんと言った表情だ。
『おかげで中古新古問わずのデミトレが出てきて、まあ不当廉売とかも有るわけよ。その程度なら民業のことだし口を出すまでもないんだが』
「───」
『一部が地球の反スペーシアン組織に流れてるらしい。俺はどっちでもいいんだが、秘書がうるさくてな。内偵を依頼するぜ』
「…なるほど?」
ふと見ると、堂々と戦利品を得たらしいソフィが、こちらに手を振るのが見えた。
「5号とノレアにも、話を通しておくか」