キッドの過去鑑賞会【幼少期編】―観客の反応―

キッドの過去鑑賞会【幼少期編】―観客の反応―



 

【キッド幼少期編―観客の反応―】

 

ガチャガチャ カンカン 鉄を打つ音が辺りに鳴り響く

 

……‥……………………………

 

みんながスクリーンの中の街並みを見るとそこはスラム街のようなどこから見ても平和には見えない街だった。

「…改めて見ても汚ねぇ街だな」

「違いない」

「ここおれたちの故郷にも似てんなサボ!」

「確かにな」

かつての故郷に想いを馳せつつサボは答えた。

 

‥…………………………………

 

映像が変わりロボットを作る少年が映された。

「おーいキラー!今までで一番カッケェの出来たぞ!」

キラーと呼ばれた前髪の長い少年が振り向くと満面の笑みで油まみれの手でロボットを掴んだ少年がいた。

 

‥………………………………

 

「えぇ!あれがお頭にキラーさん!?」

「無邪気!かわいい!」

船員たちやナミの声にキッドは少し顔を赤くし無言になりキッドはファッファッファと笑い出す。

「えぇ!?こいつがこんなんになるのか?!」

ルフィは映像のキッドと今いるキッドを交互に見ながら叫ぶ。

「麦わら屋wまぁ時の流れは残酷だからな覚えとけ」

「てめぇら後で覚えとけよ…!」

 

…………………………………………

 

「おー確かに今までで一番でかいお前はすごいなキッド」

「だろっ!?ゴミ集めた甲斐があったぜ!よーしキラー!今からドルヤナイカにも見せに行ってくんな!」

「ヴィクトリアに?お前ホントにあいつのこと好きだな」

「はぁ!?ちげぇよ!!!あいつが見たいだろうから見せてやりにいくだけだわ!」

(あいつのことを俺が好き!?あんな強気な女好みじゃねぇし!!)

心の中で愚痴りながらキッドはドルヤナイカのいつもいる廃家に走り出した。

 

……………………………………

 

自分の他人に見られたくない映像を大勢に見られたキッドは心を無にしていた。

「アッパッパ!キッドてめぇ恋したこととかあったのかwくそおもしれぇぜこの映像!」

「お前今ここで殺されてぇか?」

「…ふっ」

「おいキラー、ヒート、ワイヤー…!なにてめぇらまで笑ってやがる」わなわな震えながらキッドは二人を睨め付けるが全く効果はない。周囲にはニヤニヤする者やニコニコ走るキッドの映像を見守る者、ツボに入って大笑いする者に溢れていた。

「ユースタス屋、、まだお前の過去は当分続きそうだが…がんばれよ」

笑っている周囲を見ながらローはキッドにとどめの言葉を告げる。キッドは早くもこの部屋に入ってしまったことを後悔し始めたのだった。


「おーいドルヤナイカあああ!居るか!?」

「あぁ!?うっせぇな!なんの用だよ!」

キッドの大声に耳を塞ぎながらしかめ面で出て来たのはミディアムロングのクリーム色の髪にそばかすが特徴的な少女だった。

 

‥…………………………

 

「へぇこいつがお頭の愛した女かぁ」

「お頭のことだからもっと美人なやつに惚れてるのかと」

「あぁ?美人だろうがこいつは」

ヤバいと思ったが既に遅く周囲がニヤニヤ笑い始めた。

「へぇ?今もその女に惚れてんのかお前、意外と純情だな」

まぁおれは全てのレディを愛してるがな♡とサンジが語る。

「おい黒足!勝手に人の好きな相手を捏造すん「ファッファッファなに言ってんだキッドお前まだヴィクトリアに惚れてるだろ?船こ名にヴィクトリアを付けてるぐらいだからな」

「キラァァァァァ」

 

……………

 

「見ろ!!新しいロボだ!前見せたのより色々すげぇんだぜ!?」

「…へぇ、、なにが変わったんだ?」

(やった!珍しく食いついた!)

「まずこのロボ持ってこのボタン押して見ろよ」

キッドはドルヤナイカにロボットを渡す。ドルヤナイカが赤いスイッチを押すとロボットは腕や足を上下させ動き出した。

 

……………

 

「「「おおぉ!!ギザ男すげぇぇぇ!」」」

ルフィ、ウソップ、チョッパーの歓声に少し自尊心を取り戻したキッドはまぁな!と言いながら胸を張る。

「確かにこんなガキの頃にあのレベルのもん作れるたぁすげぇな!こんどうちのスーパーな『フランキー将軍』乗せてやろうか?」

「な!!?麦わらてめぇの船ロボあんのか!!?詳しく聞かせろ!」

「おう!任せとけ兄ちゃん!!」

男性陣全員が聞き耳を立てるなか女性陣は何やってんだこいつらと言う目で見ていたが、再び映像に視線を戻した。

 

キッドは満足そうにその様子を眺めていたがそのロボットは動き出すたびに油が飛び停止するころにはドルヤナイカの服には結構な量の油がかかってしまっていた。

「な!!?今回のは動くようになったんだぜ!」

そんなことは気にもとめていないキッドは無邪気な顔で目を輝かせながらドルヤナイカの反応を伺う。

バチィィィン!次の瞬間強烈なビンタがキッドの顔へヒットした。

 

……………

 

ビンタの瞬間部屋には爆笑が広がる。

「あっはっは傑作!」

「キッド、、お前Mなのか?」

「アッパッパ!この映像録画してぇw」

「南無…」

最悪の世代たちの盛り上がりに加えて

「あっはっはギザ男おんもしれぇ!」と笑い転げルフィに

ツボって笑いを全力で堪えるローによりキッドのライフはとっくに0に達していた。

 

…………

 

「!!??な!?なにすんだお前!」

「キッドてめぇ…油飛んだらやないかワレ!!」

ドルヤナイカは服を指しながら叫ぶ。

「はぁ!?そんなことで殴ってくんな!ぶっ飛ばすぞ!」

「殴りてぇのはこっちだわ!」

 

…………

 

みんなが大爆笑している最中ゾロは幼馴染のくいなを思い出していた。

(おれもコイツらみてぇにくだらねぇ喧嘩してたな…)

思い出に浸り懐かしい気持ちになりながら大剣豪になる夢を絶対に叶えることを再び決意したのだった。

『もうお前とは口聞かねぇからな!』

『それはこっちのセリフだからな!いつもお前から絡んでくんだろうが!!』

喧嘩する2人を見てかわいいと和んでいたり茶化していた参加者たちたちだったが本気で話さないドルヤナイカに全員キッドに不憫さを感じ始めていた。

 

…………

 

(くっそ…謝りてぇのにあいつ話しかけても無視してきやがる…)

ドルヤナイカに嫌われてしまった…たったそれだけなのにキッドの心は泣きたいくらい乱れていた。

「…たしかヴィクトリアはカレーうどん好きだったよな?俺も好きだから材料は常に基地にある。作って食べて貰えばいいんじゃないか?」

キラーが案を出す。

「…!!あぁそうだな!流石キラーだ!早速行こうぜ」

(まったく切り替えが早いなこいつは…)

さっきまでのしおらしい表情からのあまりの切り替えの速さに呆れながらも相棒でもあるが弟感の強いキッドを眺めキラーは微笑んだ。

 

…………

 

みんなはその映像を見て(((大変だなあいつ)))とキラーに同情の視線を向けた。

「…?なんだお前ら?」

「あー…いやお前小さい頃からあいつの世話焼いてたんだな」とペンギンが言うと

「ファッファッファ確かにあいつの面倒見るのは大変だったが頼りになるやつだからな」

とキラーは言う。そして少し考えて

「確かになーうちも同じだわ」

昔4人で過ごした日々を思い出したペンギンは懐かしい気持ちで呟いた。


(うっ…なんで緊張してんだ俺は…!)

無事にカレーうどんを作り終えたキッドはキラーと一緒にドルヤナイカの住む廃家の前まで来た。

そんなキッドにみんなは

「ギザ男ぉ!がんばれぇ!」「お頭ファイトー!」と応援する(キッドには黙れ!!と言われた)

 

……………

 

「入らないのか?」

「今から入んだから急かすな!」

「…おいお前ら、人の家の前でなにやってんだよ」

!!?

背後から突然現れたドルヤナイカに二人は文字通り飛び上がる。

「用がないならどけキラー!」

「待て!ドルヤナイカ!…昨日はその…わ、、悪かった…これお詫びに作って来たんだが、、貰ってくれねぇか?」

 

……………

 

「ふふっ素直じゃなくてかわいいわね」

「ホントにこの子があいつになるの?」とロビンやナミを始め多くの人が和んでいるがキッドは悶絶している。

「おおお素直に謝れてすげぇなギザ男!」

「ふっw褒めて貰えてよかったじゃねぇかユースタス屋」

チョッパーからの純粋な言葉ですら今の悶絶していたキッドにはダメージを与えた。

「もうやめろおおお過去のおれ!!!」

この映像の拷問のような内容+冷やかし+キラーの要らない新情報の開示に恥ずか死にそうになるキッドだった。


「おい皿出すからさっさとつげ」

「命令すんな!」

「まぁ落ち着けキッド仲直りできてよかったじゃねぇか」

軽口を叩きながらも三人分のカレーうどんをキッドは皿に注いだ。

「さきにお前らが食べろ」

「別にいいが…なんでだ?」

「毒味に決まってんだろ!」 

「ぶっ飛ばすぞ!!」

しかしさっきまでの喧嘩状態だったせいかキッドはドルヤナイカにあまり強く当たらずキッドと一緒に食べ始めた。

ずるずるっ ずずっ!二人はお腹が空いていたのもありどんどんカレーうどんを食べすすめている。

 

……………

 

「なんだあの食べ方は!これだから最悪の世代は!」

と最悪の世代を目の敵にするキャベンディッシュが叫ぶ。

最悪の世代への思わぬ風評被害に最悪の世代の数名とキャベンディッシュは喧嘩を始めそうになり、ウルージさんに止められた。

 

……………

 

やがて飛んだ汁がドルヤナイカの服に一気に着いてしまい気付いたキラーが

「おいキッド!食べるのをやめろ!」と止めるが遅い

「おいお前ら…しる飛んどるやないかワレ!!!」

またもキッド、そしてキラーまでも猛烈なビンタを食らい一触即発の事態になる所をキラーが必死で食い止めた。

 

…………

 

「あっはっはっ!ギザ男、おまえっ何回殴られんだよ!」

「麦わらてめぇも人の事言えねぇからな!!」

「ん?ルフィおまえもわしに何回もな」

「じいちゃん黙っといてくれ!」

「じいちゃんに向かってそんな態度を取るとは…後で覚えとれよ!」「ぎゃああああ!!」

「はっザマァねぇな!」

「うるせぇ!」

「ファッファッファそう言えばこの時からおれたちはカレーうどんがトラウマになったんだよな」

「キラーあああ」


「はぁ…ったく汚しやがって、、」

ドルヤナイカはため息をつきつつ自分の分のカレーうどんを食べ始めた。

「モグモグ…おぉうまいな!意外に」

「「意外は余計だ!」」

カレーうどんを満足そうに食べるドルヤナイカは満面の笑みを浮かべる。その顔を見た瞬間キッドの中に電流が走った。

(かわっ……てはぁ!?なんであんな奴のことを!どうかしちまったのか俺は!)

「おいキッド?どうした顔赤ぇけど」

「な、、なんでもねぇわ!!」

そういいながらキッドは無我夢中に走り出した。

なんだあいつ?と首を傾げるドルヤナイカ。そんな二人を見ながらキラーは微笑んでいた。

 

………

 

「ふふふ照れ屋さんでかわいいれすね!キドランド!」

マンシェリーの言葉を皮切りに周囲からの煽りが和みのオーラに一部変わった。現実逃避を始めたキッドにはあまり関係なかったが

(…自分の過去なはずだが、、あいつの声久しぶりに聞いたな…)

やっぱりおれは今でもあいつに惚れている。この映像を見てそう自覚した、おれはあいつ以上の女に会ったことがない。

これが終わってもあいつの記憶が消えないように目に焼き付けよう。そう誓ったキッドなのだった。




Report Page