キアラさんの悪い夢

キアラさんの悪い夢


うふふふふ

ああ、マスターがこんなに小さく...蜃の霧の中で出口を探して歩き回る姿は本当に虫のようで......

ん?私以外の獣の視線を感じるような...?

ああ、なるほど...まあ楽しめましたがこれで終わりというのも勿体無いですものね。

ふふふ、再度今日という日が始まるまでこの羽虫のようなマスターを楽しみましょう

ああ、私が手を閉じればくしゃっと潰れ、羽もちぎれ、体も潰された物へと成り下がる蝶の様に私の手のひらで羽ばたくマスター......

せめて潰さず最後を...見届けて......?


マスター?何を見ているのでしょうか?

箱の中の人形...でしょうか?いつの間に何を見て

あれは......私?私を見ている?そんなことはありえない

だって私はあなたを見て

視線を感じ振り返る。

振り返る瞬間、マスターが見ていた私の人形が、

後ろを振り向いたのを視界の端に見た。

ああ、私は、悪い夢を、見ているのだ。


「はっ...!」

ああ、悪い夢を見たような気がする。

私が遊んでいるのに実は遊ばれているなんて......冗談にもならない

下を見て自分の体を見る。

ああこの黒い水着は、右手に持っている警棒のような物は、

意識が明白になってくると部屋の隅に拘束された女性が見える。

うふふ、今の私はマゾ豚の女王様

警棒のような物を振りかざし下に下ろした。

バシィンッ!

「ああんッ♡」

いっ♡気持ちいいっ♡

へ?なぜ?私は振り下ろした、

バシィンッ!

「ああんッ♡」

またぁ?!♡痛みとそれによる快楽が身体中に広がる。

よく見ると自分の手がいつもより小さく見える体も、特に胸がいつもより小さいような

「気持ちよかった?」

自分の口が動いた、活発そうな可愛らしい声

私の声ではない

叩かれた女の顔を見るために近づいた。

ああ、また、悪い夢を、見ている


「はっ...!」

ああ、悪い夢を見た

全く私が...冗談ではありません!

く、くん、と紐が引っ張られる。

握った紐、ああそうだ犬の散歩に行ってたのだ。紐を握り直す

「行こうかキアラさん」

「わん!♡はいマスた......

...ああやっぱり悪い夢だった。


「はっ...!」

「かわいいねキアラさん」

「はっ...!」

「ああ♡私めにお仕置きをしていただき...

「はっ...!」

ああまた悪い夢!


「はっ...!」

また夢から覚める。いや覚めた?

もしかしてまた悪い夢?

何度も悪い夢から覚めて、悪い夢をまた見て

また覚めて

体を触って確認する。私の体のように感じる...ほおをつねってみる。痛い♡。はっ...!いや違うそうではない

夢じゃない...?

「どうしたのキアラさん?」

と彼女の声が聞こえた。

振り返るとコーヒーを二つ持った彼女が、

「まだ寝ぼけてるの?かーわいー♡」

笑いながら片手のコーヒーを私に差し出す彼女

ああ、夢じゃない。

彼女...マスターのコーヒーを受け取り、飲む。

苦さと温かさでようやく目が醒めてきた。

ああ、悪い夢は醒めたのだ。

ああマスターをおもちゃにしようだなんてなんて悪い夢!

「悪い夢を見てしまって...」

「へぇキアラさんでもそんなことあるんだ。どんな夢?」

夢の内容を彼女に話してしまおうか、...あれ

「あら、忘れてしまいました...」

「あらら、まあ夢なんてそんなもんだよね」

ベッドの上の私にマスターが手を差し出す。

「さ、起きて。今日もキアラさんといっぱい行くところあるんだから!」

「......はい♡」

キアラはベッドから立ち、マスターと2人で部屋を出る。

そんな中ベッドの中のフォウくんが

「フォウフォウフォー...」

結構お互い様だなとため息をつくように鳴き、二度寝を決め込んだ。


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