カードゲーム 前半
円形のダイニングテーブルに腰掛け、揺れる尾羽。
「〜〜♪」
ご機嫌そうに鼻歌を口ずさむ、そんな彼女の目線の先には2枚のトランプがあった。
事の始まりは少し前。
仕事を終えると彼女の自室にお呼ばれされた。
何かと思いドアを開けるとそこには沢山のボードゲーム、カードゲームがあったのだ。
前にゲームが好きだと話したが…それを覚えていてくれたらしい。
「折角のお休みなんですもの、一緒に遊んでいきましょう?」
こう誘われてしまえば乗るしかない。喜び勇んでトランプを手に取った…のだが。
何度やっても手の内を見透かしているかのようにするすると手札を減らす彼女とは対照的に自分は一度ババを引いたら持たされたまま、何も出来ずに2戦2敗。
そして今回もババを持たされたまま残り3枚。
チラチラと顔を見ながらカードを選ぶモネ。
「うふふ、こっちね」
彼女が選んだカードはクローバーのQ。
2枚のカードを捨てて微笑む彼女を恨めしげに見つめる。
「そろそろゲームを変えようかしら。
あなたも飽きてきた頃合いじゃない?」
モネはカードをまとめながらそんなことを言い出した。
ここまで良いようにされて勝ち逃げを許してはいけない…!せめて1勝しなければ!
ぶんぶんと顔を横に振る姿を見て翼を口元に当てて笑うモネ。