カントラボーイ、自慰をする
これはエロSSなのか?と疑問を覚えるいつになったら治るんだ...
性器だけが男に戻れないまま数日、体になにか後遺症があってはいけないと検診だけは済ませたが、如何せん溜まるものがある。
元より性には淡白だったはずだが、なにも直前に自慰をしたわけでもないので仕方がない、と思いたい。
だが...大丈夫なのか?
元々男というのは絶頂時に射精するものだが、女の体では何も出すものはない、はず。
という所まで考えて、好奇心がむくむくと湧いていることに気がついた。
女の絶頂とは。
その時に何が出るのか。
そして、どう感じるのか。
手を出してはいけないパンドラの箱だ、と止める理性が勝つような人間なら海賊なんぞやっていないのである。
とりあえず準備を始めてしまうローだった。
悲しいかな、大海賊時代。
大概悲惨な時代だ、男に犯された経験は悲しいことにある。
ついでに女性経験はない。
なにせ自慰で事足りていたし、わざわざ金払ってまでしたいと思ったことがないので。
「...俺は、何をしているんだ...?」
鏡と、タオルと、ローション、男性器を模した玩具。
それに、医療用品としての薄い手袋。
ふと正気に戻ったせいで五分ほど頭を抱えたが、物は試しだ、やってみるか。
ぱち、と音を立てて両手に手袋をつける。
下半身だけ露出してタオルを敷いた上に座って膝を立てると、そろりと割れ目の上にある部分に指を沿わせた。
自慰、という状況でもそれなりに興奮はするもので、じわりと何かが腹の中で広がるような感覚がした。
今まで感じたことの無いそれは、おそらく女性器の中のものだと判断し、そちらに指を滑らせる。
粘膜に触れるか触れないかといったところでローションとは違うぬめりに触れた。
「っ...これが、濡れる、ということか...?」
これが分泌されているのなら大丈夫だろうと中に指を一本入れてみることにした。
何の抵抗もなくするすると入っていく。
変な感覚だ。
尻と男性器の間、本来ならば絶対に触れられない部分を荒らしているような感じ。
どこを触ればいいのかわからず、とりあえず壁をぐるりとかき回してみる。
ぐちゅりと粘度の高い音が響く。
おそらく腹側が気持ちいい、ような気がする。
指を曲げればちょうど触れられる所を指の腹で優しく撫で上げた、途端。
「~~~~ぅあ!?」
高い声をあげてしまう。
こんな直接的な快感を感じたのは初めてだ。
腹の奥が熱く、重くなった気がする。
薄いゴム越しにもわかる熱はきっとここで体温を測れば相当だろうと思うほどだ。
それに、タオルにまでぬめりが垂れてきているあたり、自分は感じているのだろう。
もう一度、と先程の場所に再び指先を沿わせる。
指から内部を確認するよりも先に内部が快感を拾ってしまって、自分の中を確認することができない。
「は、ふ...ぅん♡あ...♡」
いつの間にか快感を得るために指を動かしていた。
鼻にかかった甘ったるい喘ぎ声が自分から出ているとは考えたくないが、勝手に出てくるのだから仕方がない。
最初は1本だった指も3本に増えたし、ただ立てていた膝は横に開いて鏡に向かって股を見せつけているような格好だ。
それでもまだ決定的な快感は来ない。
もう少し奥なら、もしかしたら、もっと気持ちいいかもしれない。
でも、指では届かない。
…そういえば、用意したものがあったな...
男性器を模した──はっきり言ってしまおう。
ディルドを手に取る。
だいたい自分くらいの大きさのものだが、成程大きい。
今は無いそれを自画自賛しながらゆっくりと宛がって入れていく。
「...っは、っは...♡」
指なんかよりも質量のあるそれは、割れ目でしか無かったそこを押し開きながら奥に進んだ。
ずるずると、自分の中に、飲み込まれていく。
下腹部、特に鼠径部は特に男女で大きく異なる。
正しく男のものである自分の腹のその先、普通ならあるはずの遮るものがないままはっきりと見せ付けられるそれは非常に倒錯的で、否が応でも性的興奮が掻き立てられた。
そのせいで、力が入ったのだろう。
きゅ、とディルドを食い締めてしまう。
「くぅあ♡んん..っう!?ひ、っ~~~~お‘‘ぅ♡♡♡」
ある一定のところまではいっていたディルドが、その食い締めのせいでずるりと奥まで狭い隙間を割り開いてきたのだ。
十分すぎるぬめりと狭い隙間のせいで、奥までディルドを咥え込む羽目になったローの身体は大きく跳ねる。
そのせいで支えていた肘が滑りベッドに倒れ込んだ。
「っか、ふ...っ♡」
ぷし、と聞きなれない音が下半身から聞こえる。
ひくひくと震える身体を何とか起こし、その刺激にすら肩を跳ね上げながら鏡を見る。
そこにいたのは、はしたなく股を見せつけるように開いた自分と、そこに深々と突き刺さるディルド、そして水の飛沫。
なんだったのだ。
いつものように男性器を扱いて射精するだけの自慰と違って、ただ快楽を追った後の絶頂はローに困惑をもたらした。
今自分は何をしたのだろうか。
何も出すものがないはずなのに、何かがいつものように尿道を駆け上がった、気がする。
事実タオルは濡れているし、鏡も水がつたっているのだ。
一瞬漏らしたかとも思ったが独特の匂いもしない。
本当になんだったのか分からないまま、自分の腹に視線を落とした。
中になにか入っていることは、外からでは分からない。
本当にここに入っているのかと腹に手をやり...
「ひぐっ♡♡♡」
ぴしゃりと水がまた吹き出してまた達した。
別に押し込んだ訳でもないのに、外から腹を軽く撫でただけなのに、中に刺激が走ったのだ。
そしてまた何かが出た。
それがなにかわからなくとも、快感の末の絶頂時に女の体でも出るものがあるのだ、とローは薄らぼやけた頭で理解した。
これでは腰を痛めそうだと思い、体勢を変えるためにそろりと起き上がる。
膝立ちになって鏡を見る。
股からプラスチックを生やした滑稽な自分が写っていた。
二度の絶頂でまっとうな判断能力を失っていたのかもしれない。
例えばディルドをベッドで押さえて、そこに上から座り込めばもっと、もっと入るかもしれない。
そうやって奥をえぐれば、もっとキモチイイ、かも。
「ん、ふ...♡こう、して...すわ、っでぇっ!!??」
少し考えればわかったことだっただろうに。
中で得られる快感は非常に強い。
その快感で少しでも力が抜けてしまえば、80kgの体重が全てそこにかかる。
もちろん、自分の分泌したぬめりで摩擦はほぼない。
「っ、あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘ぁ‘‘♡♡♡あ、ぁ...♡」
ぺたりと尻がベッドにつく。
勢いよく壁を擦り上げるディルドのせいでまた達して、タオルにじわりと濡れたシミが広がった。
奥の奥、本来ないはずの子宮を押し潰すほど奥まで届いている。
今自分が使っているディルドは自分のサイズなのだ、それは大きいだろう。
その全てが、いま。
じぶんの、なかに、はいっている。
その事実でまた腹がきゅう、と締まる。
締め付けてまた快感が走って、それでまた何かがほとばしる。
「ふぎぃ...♡お、ぅ...♡♡」
つい、口と腹を押さえた。
まただ、腹に触れて刺激が襲う。
ずっと、イっている。
まずい、まずい、まずい...!!
気が狂いそうな暴力的な快感に動くこともできない。
呼吸ですら刺激となって快感を呼び起こされる。
息を潜めて快感の嵐が過ぎるのを待って暫く。
ようやく落ち着いた頃にゆっくり、ゆっくりと腰を上げる。
当然だがしっかりと食い締めるそこからディルドは抜けない。
時折動きを止めて小さく震えながら、濡れているところを避けてベッドに寝転がる。
胎児のように丸くなって、そろりとディルドを引いて抜いていく。
最初ほどの勢いをなくしてはいるが、ぷし、ぷしと水を出しながら、ゆっくりと抜いて...
「は、ぁ...♡♡♡」
太ももはまるで漏らした後のようにびしょびしょで、最後の亀頭を模した部分がずるりと抜け出たとき盛大に達し、今度こそ本当に――
しょろろろ...
「~~~~~~~~♡♡♡」
勢いなく漏らして、そのまま気を失った。
この後いろいろと調べ、自分が吹いていたものが潮と呼ばれていることと、達するたびに出るわけではないということを知った。
そして、自分にその癖がついてしまった、ということも。
男に、犯されたいと思う自分が居た。