カメリアの花は散り堕ちて

カメリアの花は散り堕ちて



「よく来てくれたね、カメリア」


「……話とは何でしょうか」


 列強国某所にある基地施設、その一室に彼女は呼び出されていた。

 ショートヘアで髪をロールさせた軍服姿の少女――閃刀姫の一人、カメリアである。

 その目の前に座るのは、ロゼをいまもなお別荘に幽閉し続けているあの高官の息子だった。


「本来なら君に任を伝えるのは父上の役目なのだが、急な軍議でどうしても席を外さなくてはならなくてね。この私が代わりを務めることを許しておくれよ」


 息子はねっとりとした視線をカメリアに向けるが、彼女の表情は硬い。

 表面上こそ辛うじて平静を装っているが、心ここにあらずといったところだろうか。


 そんな彼女の胸中を無視するかのように、彼はわざとらしいくらいに晴れやかな笑顔を浮かべて告げた。


「単刀直入に言うとだね、君にもアザレアと同じく秘密作戦に着任してもらえたらと思っているんだ」


「ア、アザレア……!? あの子は……アザレアは無事、なんですかっ!?」


 バッと駆け寄って来るカメリアを息子は両手を上げて静止させるように宥める。


「まぁまぁ、落ち着いて。君がそう言うだろうと思ってアザレアを撮った映像を用意してあるよ」


 彼が手元を操作すると、室内に取り付けられたモニターの電源が入り、映像が映し出され始めた。



「はぁ……っっ、はぁ……♡♡」


 ベッドの上、引き締まった筋肉質な身体つきの男に跨った裸のアザレアは腰をくねらせるように動かす。

 ポニーテールをいつの間にか解いたのか、下ろしたロングヘアがその動きに合わせて舞うように揺れた。


「こんなにもおち×ちんをおっきくするなんて、君はイケナイ子だ♡ このアザレアママがしっかりと躾をしてあげるから、ママおま×こにいっぱい射精してスッキリさせるんだぞ♡♡」


 アザレアの引き締まった身体、褐色の肌は汗と白濁液に塗れているが彼女は一切気にしていない。

 むしろその整った顔は上気し、瞳は昂揚に浸るかのようにドロドロに蕩けていた。

 唇の間から絶え間なく零れる熱い吐息は彼女の熱を如実に示すかのようだ。


「あぁ、君たちもこのボクに慰めて欲しいのかい?♡♡ あっ……んんっ、もちろん構わないとも。君たちを慰撫するのはママとして当然のことなんだからね♡♡♡」


 左右から差し出された軍人の勃起した肉棒をアザレアは嬉々として握り、それぞれ片手で扱き始める。

 もちろんその間にも自分の下で横になっている軍人を慰撫するために腰を動かすのは忘れない。


「おや、君も?♡ ああ、ママに気を遣う必要なんてないよ。この口だって好きに使ってくれて構わないさ♡♡ んん……っ、んじゅぷ、ちゅぷ……ちゅぱっ、じゅぷ……ぬぷっ、ちゃぷ……れろぉぉ♡♡♡♡」


 真正面から寄って来た軍人はアザレアの承諾を得るや否や、彼女の口に勃起した肉棒を突っ込んだ。

 そしてアザレアの頭をむんずと掴むと、その勢いのまま喉奥を突くかのように激し勢いで腰を振り始める。


 彼女たちがまぐわうベッドの周りには鍛え上げられた身体を剥き出しにした軍人たちが順番待ちをするかのように幾人もたむろしながら、己の肉棒に手を伸ばして上下に扱いたりしていた。



「こ、これって……っ」


「見ての通り、我が国の勇敢なる軍人たちを慰撫する任に就いてるアザレアの様子だが?」


 カメリアは映像を見て愕然とするが、彼はまるでありふれた日常を眺めるかのように淡々としていた。


「あ……っ、あなたは私にもアザレアと同じことをしろと?」


 彼女は何とか冷静さを振り絞って問いかけながら、その傍らで右手をスッと腰元に寄せる。


「それも考えたが、アザレアだけで事足りてるからな。君には別の任に着いて――」


 カメリアが一瞬の隙を突いて彼を切り伏せようとする――よりも早く、彼女の身体に激痛が走った。

 彼女は苦悶の悲鳴を上げてのたうち回るが、息子は冷ややかな眼差しでそれを見つめるばかりだ。


「まったく……アザレアも君も変わらないな。いや、クローンだから気質が似るのはむしろ当たり前の話か。

 どちらにしても失望したよ、カメリア。君ならもしかしたらと思ったが、やはり君たちはロゼママには遠く及ばない」


 そんな君にはこの任がふさわしいと思うよ、と彼は締めくくるように告げた。


 あまりの激痛に屈してカメリアが意識を手放そうとする直前、彼の瞳にはカメリアの姿はもう微塵も映っていなかった。



 カメリアが目を覚ますと、そこは見慣れない綺麗な部屋だった。

 まだ重い頭を引きずるように身体を起こせば、自分が一糸まとわぬ姿になっていることに気が付く。


(どういうこと……?)


 呼び出された部屋で何らかの攻撃を受けて気を失った瞬間までは明確に記憶がある。

 そこから何が起これば、まるでホテルの一室のような部屋のベッドに自分が裸で寝かされることになるのか。


 カメリアが困惑を隠せずにいると、静けさの漂っていた部屋にブゥンと何かが起動する音が響いた。


『そろそろ意識は覚醒したかしら、閃刀姫カメリア』


 唐突に部屋の中央に現れたのは研究者然とした女性だった。

 その彼女は腰の辺りまで伸ばした青髪で目元を隠し、シャツと短めのスカートの上から白衣を羽織っている。


 彼女の後ろにこの部屋の中が薄っすらと透けて見えることから、この場にはいない立体映像なのだとカメリアは察しをつけた。


「ここは、どこ?」


『ここは言うなれば実験室よ、閃刀姫カメリア。兵士をより効果的に慰撫するためにはどうすればいいのか、そのデータをあなたを使って取るための……ね』


 慰撫という言葉を聞いて、あの部屋で見たアザレアの姿が脳裏に蘇る。

 恐れるように身震いをしてしまったカメリアを見て、研究者は呆れたように溜め息を吐いて首を横に振った。


『勘違いして欲しくないのだけど、私にはあなたをセックス漬けにして壊すような趣味なんてないわよ。必要なのはデータなんだから、むしろ健康でいてもらわなくちゃ困るくらいよ』


「何のためにそんなデータを?」


 彼女は頻りにデータと言うが、そんなデータの必要性がカメリアには分からなかった。


『そんなの決まってるじゃない!


 あなたを使って集めたデータで今後生み出されるクローンに改良を施すのよ、彼女たちが兵士をより効果的に慰撫できるようにね。


 いまはまだ戦場での決戦兵器として知られる閃刀姫も、いずれはセクサロイドの一種として語られるようになるんじゃないかしら?』


 尤もクローンであってアンドロイドじゃないけどね、と彼女は冗談めかして付け加えるがカメリアにはどうでもいいことだった。


 せめて彼女の発言を馬鹿げた妄想だと切って捨てたかったが、それが決してあり得なくはないことにもカメリアは気づかされる。


 列強国はアザレアとカメリアを生み出し、閃刀姫をクローンとして作り出せる技術をすでにその手中に収めている。

 他ならぬ彼女たち自身がロゼの遺伝子に手を加えて生み出された存在なのだから、今後生み出されるクローンにもそれがされない保証なんてあるはずがない!


「そのために……私とアザレアを?」


『そうね。あなたと閃刀姫アザレアはかの閃刀姫のクローンとして生み出され、生まれながらにして人並み外れた身体能力を持っている。それでいて決して孕むことなく、雄を甘やかすための知識はすべて脳内に学習済み……何よりデータを生かして改良したクローンを幾らでも生み出すことができる!

 ねぇ……、こんなにも理想的な実験動物っているかしら!! むしろ、ほかにいるなら私に紹介してくれていいのよ?』


 研究者はまるで真相を告げる悪の妖精かのように口をニィィっと大きく開けて高らかに問いかける。


 カメリアが背筋をゾッと震わせるのを他所に、彼女は嬉々として演説を続けた。


『あぁ、それともカメリアはもう役に立たないガラクタとして廃棄されるのがご所望? 私は別にそれでも構わないわよ。

 そうね……だったら、あなたに決める権利をあげましょうか。


 衣食住と生命が保障される代わりにこの部屋に幽閉されて私たちの実験に協力するか、せめてもの抵抗としてすべてを拒んで痛めつけられながらこの場で死ぬか。


 さぁ、決めなさい?』


 突如示された選択の前に、カメリアは思案するように目を伏せる。


(後者の痛めつけるというのは、おそらくここに来る前に受けたあれのこと。どういう攻撃かは不明だけど……確かにずっと受け続けたら死ぬこともあり得るのかもしれない。

 それに比べて前者は……確かにこの人の言う実験に協力するという問題点こそあるけど、生き延びることはできる。

 だったら――)


 二択と言うものの、カメリアにとって選択肢はあってないようなものだった。


 いますぐには難しくとも、馬鹿げた企みを挫くためにもここで命を投げ捨てることなんてできない。


 それはクローンである自分がこの世界に生み出されたことに対する責任に違いないから。


「……分かりました。あなたの言う実験に協力します」


『うふふふふっ。分かるわよ、反抗心を決して失っていないその瞳。悪を倒さんとする正義を宿した、その眼差し。でも、いいわ。協力してくれる内は寛容に見逃してあげるとしましょう』


 研究者が愉快そうにクスクスと一通り笑って踵を返すと、立体映像ごとブゥンと音を立てて消える。

 その次の瞬間、部屋の一角が歪むように開いて裸の屈強そうな男が姿を現した。


『何をすればいいかはあなた以上にあなたの頭が分かっているはず。多少のおいたは見逃すけど、あまり調子に乗るようだと……そのときはお仕置きも覚悟しておいてちょうだいね?


 私たちはいつでもあなたを見てるんだから』



 男はベッドの上にいたカメリアに覆い被さると、その胸元に顔を寄せておっぱいにしゃぶりついた。

 経験したことの痺れが身体に走って嬌声を微かに漏らすが、彼女は何とか男の頭に手を伸ばして撫でる。


「よしよし、元気にちゅうちゅうできてえらい♡ えらい♡」


 カメリアは褒める言葉を口にしながらも、むずむずとした違和感を覚えていた。

 その直後、彼女の乳首から母乳が勢いよく噴出し始めた。


 驚く彼女を他所に男はごきゅごきゅと音を立てて母乳を飲んでいく。

 それが彼をより没頭させるのか、カメリアの豊かなおっぱいを引っ張らんとする勢いだ。


 カメリアは男の背中に手を回して落ち着かせるようにトントンとゆっくり叩く。


「そんなに慌てなくても大丈夫だよ~♡ ママのおっぱいは無くならないからね♡」


 男はふぅふぅと鼻から荒い息を零しながら、カメリアに身を委ねるように薄っすらと目を閉じた。


 間もなく目を開けるときゅぽんという音を立てて彼女のおっぱいから口を離し、今度は反対のおっぱいにしゃぶりつき始める。

 解放されたおっぱいは噛み跡こそないものの、真っ赤に染まっていてその先っぽにある屹立した乳首からは白い液体が僅かに溢れ出ていた。


 カメリアはその光景を見ないようにしつつ、先ほどから下腹部に擦りつけるように押しつけられていた彼の肉棒に手を伸ばす。


「もうこんなにおっきくしてる♡ ママがシコシコしてあげるから、いっぱいびゅうびゅうって射精すんだよ♡♡」


 彼女は先走り汁を掬い取ると手に絡めるように塗り広げて、男の肉棒を扱き始める。

 いままで感じたことのない生々しい臭いゴツゴツした感触と熱に思わず顔を顰めたくなるけれども、何とか堪えながら身体に覚え込まされた知識のままに動いていく。


 一方の男は相変わらず母乳をごきゅごきゅと飲みながら、ママぁママぁと壊れた機械のように繰り返し続ける。

 その吸いつきが一段と強くなった直後だった。


 カメリアの柔らかい手の中にあった彼の肉棒が一段と大きく膨れあがって、精を勢いよく吐き出す。

 熱を帯びた白濁液が彼女の下腹部を目がけて容赦なく降り注いだ。


「よしよし、とってもがんばったね♡♡」


 カメリアは自分に向かって倒れ込んだ男の後頭部をゆっくりと撫でる。


 しかし、胸元で男の唾液に塗れながらも昂りを誇示するかのように屹立した乳首と下腹部の熱を帯びた生臭い感触が、彼女に何とも言えないような複雑な表情を浮かべさせていた。

Report Page